《甘え上手な彼2》第26話
*
「よし、次は高志と宮岡だな」
「あぁ、そうだけど……なんか人數なくないか?」
いよいよ高志と紗彌の順番が回ってきた。
しかし、高志は先ほどよりも後半メンバーがなくなっていることに気がつく。
不自然に思った高志は優一に尋ねる。
「気のせいだろ? それかまだ校だな、それよりも気をつかって、お前らをペアにしてやったんだから、さっさと行け」
「お、おう……帰ってきてたやつも居たと思ったが……」
高志は不思議に思いながら、紗彌と共に校にっていった。
「よし、行ったな」
「ちょっと、あんたまでどこに行くのよ?」
「決まってんだろ、先回りして高志を脅かしに行くんだよ」
「アンタは脅かす必要ないでしょ」
「いや、男子全員の意思で高志のかっこ悪いところを宮岡に見せようって話しになってだな」
「嫉妬深いわね……」
「何を言う、一人だけ幸せになんてなれるわけがないんだよ! 高志にはここで恥をかいてもらう!」
「はぁ……だから、男子が居ないのね……」
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優一は言い終えると、高志を追いかけて校にっていった。
由華は呆れた表で優一を見送ると、帰ってきていた他のクラスメイトの子のところにって行く。
一方その頃、高志と紗彌はというと……。
「いい加減にしろコラ!!」
「いちゃつき過ぎなんだよ!! 見てるこっちが恥ずかしいわ!」
「もっと人の目を考えろよな!」
「不潔!」
お化けの格好をしたクラスメイトに怒られていた。
高志と紗彌はそんなクラスメイトからの言葉に苦い顔をしていた。
「いや、お前らちゃんと脅かせよ……」
「やかましい! イチャイチャしながら歩いて來やがって!」
「別にそんな事……」
「あるわボケ!!」
「お前ら自覚無いかもしれ無いけど、そうとうイチャついてるからな!!」
一通り言われ終わった後、高志と紗彌は再び肝試しのルートを歩き始めていた。
「なんだったんだか……」
「なんか、怖くなくなっちゃった……」
複雑な表をしながら、高志と紗彌は二階に上がる。
「それにしても、結構暗いよな……」
「うん、脅かし役やってた時も思ったけど」
「気を付けて歩かないとな……」
「じゃあ……手繋ごうよ……」
「え……いや、他の奴らにも見らるし……」
「今更恥ずかしいの?」
「い、いや……そういう訳じゃ無いけど……」
「じゃあ、良いじゃん」
「あ……」
そう言って紗彌は高志の手を握る。
別に手を繋ぐこと自に今更抵抗は無い高志だが、同じクラスの連中が見てるかもしれないと思うと、し恥心が出てきてしまった。
「ほら、行こ」
「あ、あぁ……」
もしかしたらクラスの誰かに、こんなところを見られているかもしれないと思うと、高志は変に張してしまった。
「「「ちっ!!!」」」
「ん? なんか舌打ちが聞こえた気が……」
「気のせいじゃない?」
高志と紗彌は二階を順調に進んで行く。
途中數多くのトラップがあったのだが……。
「きゃ!! 急に足に何か!」
「大丈夫か紗彌!?」
「う、うん……何か踏んじゃったみたい……」
「気を付けろよ? 紗彌が怪我とかしたら……」
「うん……ありがと」
「「「ちっ!!!」」」
「ん? また舌打ちが聞こえたような……」
高志と紗彌は二人で助け合いながら、脅かしポイントを突破していく。
「あ、あのさ高志……」
「どうしたんだ紗彌?」
「ちょっとだけ怖いから……腕借りても良い?」
「えっと……あの……ど、どうぞ……」
「うん……」
高志から許可を貰い、紗彌は高志の腕にしがみつく。
「うん、安心する……」
「こ、こんなんで良かったら……いつでもやってやるよ……」
「ん……ありがと」
「「「ちっ!!!」」」
「いや、絶対気のせいじゃないよな! 絶対複數の人間が舌打ちしてるよな!」
目に見えないクラスメイト達からの怒りを買いながら、高志と紗彌は三階に進んでいく。
「グガァァァ!!」
「きゃっ!!」
「紗彌、大丈夫か?!」
「う、うん……」
三階では更に凝った仕掛けが高志達を待ち構えていた。
ゾンビのかぶりを被ったクラスメイトが脅かして來たり、火の玉が飛んできたり、高志に向かってが投げ付けられたり。
「いや、後半は絶対俺狙いだろ……」
高志は飛んでくるを避けながら、紗彌と共に四課に階段を目指す。
すると、突然高志達の後ろの方から何かが走ってくる音が聞こえた。
「ん……何か……っておわっ!!」
「え、な…何?」
走って來たのは、お化けの格好をしたクラスメイト(全員男子)だった。
高志は紗彌を連れて廊下を走って逃げる。
「高志ぃぃぃぃ!!!」
「てめぇだけえ何良い思いしてやがんだボケがぁぁぁ!!」
「しねぇぇぇ!!!」
「お前ら! 本音がれてるぞ!!」
高志は紗彌を連れてコースを外れ、空き教室にを潛める。
「クソ! あの野郎どこに行きやがった!!」
「逃げ足の速い奴め……」
「見つけたらただじゃおかねぇ……」
(俺が何をしたというんだ……)
高志は紗彌を守るように抱きながら、教室のドアに耳を當てて、クラスメイト達が居なくなるを待つ。
ししてようやくクラスメイトが居なくなった時、高志は紗彌を見る。
「もう、大丈夫みたいだな」
「う、うん……そうだね……」
紗彌は顔を赤くしながら、高志の顔を見上げる。
そこで高志は今の狀況に気がついた。
紗彌を抱きしめ、顔も近い。
自然と顔が熱くなるのをじ、紗彌から離れようとする。
しかし、そんな高志とは反対に、紗彌は高志にしがみつく。
「さ、紗彌……早く行かないと……」
「ん……もうしこのまま……」
「い、いや……でも、誰かに見られたら」
「別に良いもん……」
「もしも男子に見られた場合、俺が死ぬかもしれないんですが……」
高志はしだけ紗彌を抱きしめ、そのままで居る。
最近紗彌には々と迷を掛けたこともあり、高志はかなり紗彌に甘い。
しかし、誰も居ないと思われていたその教室には、多くの先客がいた。
高志はその視線に気がつき、再び顔を真っ赤にする。
「あ、私たちの事は気にせず」
「続けて続けて!」
「てか、キスしないの?」
高志達がった教室は、脅かし役の控え室。
男子が全員高志を捜索に行っていたため、今は子しかおらず、ニヤニヤしながら高志と紗彌を見ていた。
「ぎゃぁぁぁ!!」
恥心のあまり、高志はび聲を上げた。
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