《甘え上手な彼2》第30話

「ふあ~あ……眠い……」

肝試しの翌日。

大石は學校の職員室で欠をしていた。

「大石先生、昨日は大変でしたね。生徒に付き合って肝試しでしたっけ?」

「えぇ、あいつらは良いですよね。夏休みなんですから……」

「まぁ、我々も明日からお盆休みじゃないですか、今日一日の我慢ですよ」

「それもそうですね」

先輩教師と話しをしながら、大石は明日からの休みの事を考える。

も居ないし、別にコレといって趣味も無い大石は、実家の墓參りに行った後の事を考えていた。

そんな時だった、大石の元に笑顔を浮かべた保険醫の保永奈(ほながまな)が近づいて來た。

いつもニコニコしている奈は、生徒から人気があった。

大石の五つ年下で有り、この學校で一番若い先生だ。

「大石先生、ちょっとよろしいですか?」

「はい? 何かありましたか?」

「えぇ、個人的な事で申し訳ないのですが……」

「はぁ……一なんですか?」

「今日の夜はお暇ですか?」

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「え?」

奈がそう言った瞬間、職員室がざわついた。

大石と奈に聞こえない用に、周りの先生はコソコソと隣近所の先生に耳打ちを始める。

「今年度にって十回目のおいですけど……大石先生、今回はどうするんでしょうね?」

「そろそろ保永先生の気持ちに気づいてあげても良いと思いますけどねぇ……」

「ま、大石先生もああいう先生ですから、あまり事にも興味が無いようですし……」

「教育熱心なところもある、良い先生なんですけどねぇ……」

大石には周りの先生の話はってこない。

そんな大石は奈のいをどう思っているかと言うと……。

(……めんどうだな……)

今まで何度も奈からのいを斷っている大石。

その理由は単純に面倒だからだ。

仕事が終わったら、家に帰ってゆっくりしたい。

大石は新年會や忘年會などの大きな酒の席には參加するが、數の飲み會は斷る事が多かった。

しかし、同じ相手から十回われて十回斷るのは、その人に失禮だと大石は思っていた。

なので大石はとりあえず……。

「ま、まぁ暇ですが……」

「なら、私と食事に行きませんか?」

またしてもざわつく職員室

「保永先生は積極的ですなぁ~」

「まぁ、あれくらい積極的じゃないと大石先生は落とせませんよ」

「橫田先生も……ひぃ!!」

「私が……何です?」

「「「ご、ごめんなさい……」」」

35歳、ただいま絶賛婚活中の數學教師の橫田先生に、周りの先生は顔を真っ青にしながら謝罪する。

婚期を完全に逃し、婚活でもなかなか相手の決まらない橫田先生にとって、この時間はひたすらイライラする時間だった。

周囲がそんな事になっていることにも気がつかない大石と奈。

大石は奈のいをどうやって斷ろうかと悩んでいた。

「あ、いや……今日はちょっと……」

「用事があるんですか?」

「いえ、そういう訳ではないんですが……疲れているので早く帰りたいなと……」

大石がそう言った瞬間、職員室の教師のほとんどがため息を吐きこう思った。

((((そんな理由かよ……))))

大石の答えに奈はし考えると、笑顔で大石に言う。

「わかりました、食事はやめておきましょう! なので……」

「へ?」

仕事が終わり、後は帰るだけとなった頃。

大石は奈を自分の車に乗せて、帰宅していた。

「……どうして、こうなった……」

「大石先生が疲れていると言われたので、私がお食事をつくって差し上げるって話しにまったじゃないですか?」

「………そうでしたね……はぁ……」

食事にわれるよりももっと厄介な事になってしまったと、大石は思った。

部屋は片付いているし、別に見せて恥ずかしいも無い。

問題は、一人暮らしの男の部屋にを連れて行くということだ。

「保永さんって、いつも電車で通勤してるんですよね? 家はどの辺りなんですか?」

「えっと……最近引っ越しまして……」

「あ、そうなんですか」

「はい、なので……今は先生のマンションの近くです」

「あぁ、そうだったんですか。なら帰りはあまり心配しなくても良さそうですね」

「はい! 大丈夫です! 帰りません!」

「え?」

「失禮しました、間違えました」

「あ、あぁ……はい」

大石は何故か奈の言葉に嫌な予がした。

(はぁ………大石先生って本當に鈍)

奈は車の助手席に乗りながらそんな事を思っていた。

大石以外の先生は全員、奈が大石に好意を抱いている事を知っている。

なので、奈の事を応援してくれる先生も多い。

しかし、肝心の本人が驚くほど鈍なので、なかなか奈の就しない。

(食事は斷られたけど、これはこれでラッキーね……必殺の「ちょっと、酔っちゃったみたい……」を使わなくて済んだうえに、簡単に大石先生の自宅にれる!)

運転する大石の隣で、奈は笑顔を浮かべながらそう思う。

奈は大石の事を好いていた。

なんでそうそうなったのかの経緯は々あったのだが、奈は大石にべた惚れだった。

しかし、肝心の大石はなど全く興味無く、奈からのアプローチをことごとくスルーしてきた。

(フフフ……今日は意地でもベッドに押し倒して……ウフフフフ……)

「えっと……つきましたけど……どうかしました?」

「なんでもないですよ。じゃあ、お邪魔しますね」

「は、はぁ……」

大石は奈の笑顔に若干恐怖を覚えながら、マンションの自分の部屋に奈を連れて行く。

「へぇ~綺麗にしてるんですねぇ~」

「まぁ、定期的に片付けをしてるので……適當に荷を置いて下さい」

「はい、じゃあ早速キッチンお借りしますね」

「あ、どうぞ」

奈は當初の目的通り、大石に食事を作り始める。

その間大石は買いに向かった。

買うは酒や足りない食材など。

「はぁ……俺は何をしてるんだ?」

結局上手く奈に言いくるめられてしまった。

そう思いながら、大石は奈に頼まれた酒を買いかごにれる。

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