《俺の許嫁は!?》33話 男と男の本気の勝負です
「はぁ、結構遊んだなぁ。」
俺と靜香は、海から上がり更室へと向かっていた。
更室の前にはもう和博さんと忍さんが待っていてくれていた。
「すいません、待たせてしまって。」
「いやいや、全然大丈夫だよ。二人の楽しそうに遊んでる姿を見るのも良かったからね。」
「靜香、すごい楽しんでたわね。あんな楽しそうにしてる顔、久しぶりに見たわ。」
「べ、別に楽しかったわけじゃないですよ!あいつのはしゃいでる顔を見るのが面白かっただけです!」
「あらあら、そうなのかしら?まぁ、いいわ。早く著替えて戻りましょうか。」
「そうだね、みんな疲れてるそうだし。」
その後、みんな更室で著替えを済ませホテルへと帰った。
そしてそれからみんなで夕食を食べて溫泉へった。
「いや〜、サッパリした〜。」
「今日は、のぼせなかったようね。」
「あはは、昨日は恥ずかしいところを見せたな。」
「全くよ。………ふふ」
あ、靜香が笑った。珍しい。
まっ、靜香も人間なんだからそりゃ笑うこともあるよな。
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でも、笑った顔は結構可らしかったな。
「靜香、一君、あれで遊ばないかい?」
和博さんが指さしたのは卓球臺だった。
これはまた王道なやつだな。
まっ、でも楽しそうだ。
「楽しそうですね!やりましょう!」
「めんどくさいからやだ。」
「おい!せっかくってくれたんだからやれって!」
「え〜、だってお風呂にったのにまた汗かくの嫌だもん。」
だもんってお前……可いじゃねぇか。
ってそんなこと考えてる俺、気持ち悪!
「汗かくぐらい別にいいだろ?またお風呂にればいいんだから。」
「はぁ、仕方ないわね。しだけならしてあげてもいいわよ。」
「よし!やりましたよ、和博さん!」
「「…………」」
ど、どうしたんだろう?
和博さんと忍さんが口を開け、ボーッとしてる。
「………ど、どうしたんだ、二人とも?」
「………し、知らないわよ。」
俺と靜香は、顔を寄せてコソコソと話す。
すると和博さんと忍さんがハッとしたように意識を取り戻した。
「ふ、二人とも、どうしたんですか?ボッーとしちゃって。」
「い、いや、すまない。」
「二人のやり取りが隨分変わったなって思っちゃってね。靜香もだいぶ一君に慣れちゃったようね。」
「な、慣れたとかじゃないですよ!お母様!ただ、こいつが話を無視してもずっと話しかけてきて面倒だから仕方なく話しているだけです!」
「あらあら、本當にそうなのかしら?それにしては顔を赤くしてるけど?」
「も、もう!お母様!」
「うふふ、ごめんなさい。」
どうやらいつもの二人に戻ったらしい。良かった。
それよりも靜香が俺に慣れた……か。まぁ、確かに一番最初に會った時と比べたらそりゃすごい変わったよな。あの時は、俺から話を振っても本當ひとつ返事で終わりやがったからな。
だけど、まだ俺と靜香の間には大きなみたいなものがあるんだよな。
俺と靜香の過去。靜香と和博さんとかは知ってるんだよな。なんで俺だけ記憶が無いんだろ。
「……ねぇ……ねぇったら!」
「わっ!?な、何!?」
「何じゃないわよ。卓球、するんでしょ?」
「あ、ああ、そうだったな。よし!やっちゃるか!」
「はは、一君、気合ってるね。でも、僕も負けられないよ。一家の大黒柱の威厳としてね。」
「こっちも負けませんよ!運とかに関しては得意な方なんで!」
ってか運以外を抜きにしたら俺はほとんどダメなんだけどね。
それから俺と和博さんは、お互いに卓球臺の端につき向かい合うようにして構える。
最初のサーブは、正當なジャンケンの結果、和博さんからということになった。
「二人とも〜、頑張って〜!」
「頑張れぇ〜。」
「靜香、ちゃんと応援しなさい。」
「はぁ〜い。」
靜香は、忍さんから注意されても嫌な顔を変えない。これが思春期というやつだろうか。
まぁ、そんなことはほっといて、俺と和博さんの真剣勝負が始まった。
それから時が過ぎ白熱した勝負もそろそろ終盤。和博さんがマッチポイントだが俺と和博さんの點數の差は1點差。
次取られれば負けるが俺が取ればまだ勝負は持ち越しになる。
「ははっ、やるね、一君。し甘く見ていたよ。」
「へへっ、そうでしょう。」
「でも、僕の方はもうマッチポイント。次を取って勝たせてもらうよ。」
「ははっ、甘いですよ!俺も次取ってそのままの勢いで勝たせてもらいます!」
俺は、そう言ってサーブをする。そしてそれから數分間、ずっとラリーが続きお互いに力が限界に來ていた。
だが、若さでは俺の方が圧倒的に勝っている!だからここで勝負を決める!
俺は、そう思い懇親の一撃のスマッシュを放った。
「待ってたよ!その勢いで來るのを!」
「なっ!?」
和博さんは、俺がスマッシュを打つことを見越していたのかいつの間にかそのスマッシュに備えて制を取っていた。
そして、そのスマッシュを返されてしまった。俺は、スマッシュを打った反か全くくことが出來ずボールが地面に落ちるのをただじっと見てるだけしか出來なかった。
「ああ!負けたァ!」
「よっしゃぁ!勝ったぞ!」
俺と和博さんは、年甲斐もなく悔しがったり喜んだりする。
すると靜香が顔を真っ赤にして俺に向かって怒鳴ってきた。
「あ、あんた!もうちょっと聲のボリュームを抑えなさいよ!周りから見られてるでしょ!」
「なんで俺だけなんだよ!?」
「いいから!ほら、早く立って!」
俺は、靜香に注意されその場に立った。
「和博さん!もう一度、もう一度お願いします!」
「ははっ、さすがにもう止めておくよ。僕と一君の年の差じゃ次は絶対に一君が勝つだろうしね。」
「くぅ〜!そ、それなら今度またやりましょう!」
「それなら構わないよ。それまでに腕を上げておくんだよ。」
「はい!」
俺らがそんな會話をしている中、し遠くで靜香と忍さんも會話をしていた。
「ふふ、いいわねぇ。男の人の真剣勝負って。ね?そう思うでしょ、靜香?」
「べ、別に、私は、そうは思いませんけど。」
「ふふ、本當にそうかしら?なら、なんで今さっきまであんなに一君のことを応援していたのかしら?ああ、そっか。真剣勝負がカッコイイんじゃなくて一君がカッコイイんでしょ?」
「ち、ち、違いますよ!お母様、何を言ってるんですか!?」
「ふふふ、素直じゃないわねぇ〜。」
と、こんなふうに騒ぎながら2泊3日の旅行、最後の夜が終わった。
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