優のところの車で移すること一時間弱。

その間、俺がしでも過去のことを思い出すため優の俺との思い出をずっと聞いていた。だが、これと言って何かを思い出せなかった。何回か頭痛がする時があったけど前みたいな激しいやつはなかった。

「お兄ちゃん、しでも何か記憶を取り戻すきっかけが作れたでしょうか？」

「………分からない。ごめんな、優にいっぱい話してもらって悪かったな。」

「何を言ってるんですか。私は、お兄ちゃんのためならなんだってしますよ？」

「ありがとう、優。ゆっくりと記憶が回復するのを待つことにしてみるよ。」

「はい、私も待ってます。」

醫者の話によると俺の記憶は時間が経つにつれどんどん思い出してくるらしい。だから、別に焦る理由はないんだけど………優にとっては俺の記憶を早く取り戻してしいだろう。今は、待ってるとか言ってたけど記憶がない俺では正直に言って優の気持ちに応えられる気があまりしないのに優もそれは分かっているだろう。

「優お嬢様、著きました。」

俺がし落ち込んでいると優と一緒にいたお付きの人がそう言った。そして、お付きの人は、車から降りてわざわざ俺たちのいる後ろ側の席の扉を開けてくれた。

「ありがとう。お兄ちゃん、行きましょう。」

「あ、ああ、分かった。」

俺は、車を降りたのと同時にお付きの人に頭を下げて優について行った。

「あれ？あの人は來ないのか？」

「車を駐車場に置いてくるだけですよ。」

「そっか……と言うよりも………ここ、どこ？」

車を降りた先は靜香の家よりも大きい屋敷だった。まさかとは思うがここが優の家なのだろうか。

「ここは、私の家ですよ。」

そのまさかだったわ。

「い、いいのか？俺がこんなすごい家にっても。」

「何を言ってるんですか。私と結婚したらここに住まないといけないんですからね？」

「こ、ここに！？」

背中から流れる冷や汗が止まらない。

俺がこんなところに住むなんて想像が出來ない。

ってか、やっぱり想像していたけど優ってお金持ちの家の子なんだな。俺、この1年に2軒の豪華な屋敷にることになるなんて……

「お兄ちゃん、どうしたんですか？」

俺が屋敷を見ながら苦笑いしていると優がなかなか來ない俺を不思議に思ったのか聲を掛けてきた。

「……い、いや、なんでもないよ。」

「そうですか？お兄ちゃん、早くってください。」

「あ、ああ………」

俺は、し戸いながらも優に連れられて屋敷の中へとって行く。

そして、俺が通されたのは客間と思われる畳がひかれている部屋だ。なんだかめっちゃ日本ってじのする部屋だ。

「ここでし待っていてください。」

「え？あ、ああ、分かった。」

優は、俺の返事を聞くと部屋から出て行った。

「………………」

この空間で1人というのはものすごい居心地が悪い。恐らく優が部屋から出て行ってからまだ1分も経っていないだろう。だが、今の俺にはものすごく時間が経っているようにじる。

まだか〜、優〜。

とその瞬間、どこかから視線をじた。

じている視線がなんなのか気になりキョロキョロと周りを見回してみるが特に誰もいない。

だが、またも視線をじた。

次こそはと思いくるりと背後を見る………が、誰もいない。

「………なんなんだ？」

俺は、一旦前を向こうとする。だが、その瞬間、また後ろを振り返る。今度は視線をじたとかではなくもしかしたらいるかもしれないと思い振り返る。

「…………ぁ………」

「…………あ………」

引き戸越しに目と目が合いお互い直する。

目が合ったのはとても綺麗な俺よりも歳上と思えるだった。だが、俺はその人にどこかで會ったことがあるとじた。優の時よりは薄いがどこか既視を覚えたのだ。

「……えっと………」

俺は、なんて言っていいか分からず戸ってしまう。

するとは見つかったからか隠れるのを諦めて引き戸を開いた。

そして、スタスタと歩いてテーブルを挾んで俺の向かい側に座った。

「あ、あの……」

俺が聲を掛けようとした瞬間、また引き戸が開いた。

「お母さん！ここにいたんですか！？」

「………お母さん？」