「種目名は『息を合わせろ親子との絆』ですね。」

「何それ？」

種目名からして親と子どもが一緒に何かをするみたいだけど……恥ずかしくないものがいいな。

「えっと……保護者と子どもで一緒に手を繋いで走るみたいですね。ただ、普通に走る訳ではなくいくつもの障害があるらしいです。」

「ってことは障害かけっこってことか。まぁ、それくらいならいいかな。」

「ふふっ、良かったです。運會が楽しみにじたのは初めてです！」

マジか。運會くらいは誰でも楽しみにしてるんだと思うんだけど………本當にお義母さんたちは何をしたんだか……

「それじゃ、約束通りちゃんとお義母さんにも言うんだぞ？」

「は、はい……分かってます……」

「なら、いい。」

まぁ、その場合苦労しそうなのは俺なんだけど。

「それでその運會はいつあるんだ？」

「來週の日曜日です。」

「結構早いんだな。この頃、院とか多かったから力がだいぶ落ちてそうだな。この1週間、し力作りでもやっておくか。………それで優は、何に出るんだ？他にも競技はあるだろ？」

「4年生が出る競技は全部出なくてはいけないので……『かけっこ』『學年対抗大縄飛び』『キラキラダンス』『別リレー』それとお兄ちゃんとやる保護者參加型競技ですね。」

「5つか。よしっ！頑張って応援しなくちゃな。」

「私もお兄ちゃんが応援してくれるなら一杯頑張ります！」

と、そこまで話していると引き戸の方から人が歩く音が聞こえてこの部屋の前で止まり聲を掛けられた。

「優〜、一くん〜、もう7時だけど一くん、うちで夜ご飯食べてる？」

「え！？も、もう7時！？」

「もうそんな時間だったんですね。お兄ちゃんと話していると時間が経つのがすごく早くじます。」

「俺もめちゃくちゃ早くじたよ。」

「それで夜ご飯どうする〜？私としてはそろそろ夫が帰ってくるからぜひ食べていってしいんだけど〜。」

「そうです！お父さんにもお兄ちゃんのことを紹介しなくちゃいけません！それに昔、よくお兄ちゃんと私とお父さんとで々と遊びに行ったのでお父さんを見たらもしかしたら記憶が戻るかもしれません！」

「そ、そうかな………」

まぁ、記憶がもしかしたら戻るかもしれないし……それにこれからも優と付き合っていくなら挨拶くらいはしておいた方がいいだろう。

「分かった。なら、一緒に食べようかな。」

「良かった。もう、一くんの分作っちゃったからね。」

「最初から食べさせる気満々だったんですね。」

「………ねぇ、お兄ちゃん。もういっそ今日は泊まっていったらどうですか？」

「さすがにそれは無理！」

食事をするのも気が引けるのに泊まらせてもらうなんてまず無理だ。

「えぇ〜、遠慮なんかしなくていいんですよ〜。」

「いや、これは俺の気持ち的な問題だからな。」

「むぅ〜」

「2人とも、そろそろリビングに來てね。私は、夜ご飯の準備をしてくるから。」

お義母さんは、そう言って來た道を戻っていった。

「それじゃ、俺たちも行くか。夕飯の準備くらいは手伝わないといけないからな。」

「ふふっ、お母さんのことだから手伝わなくていいって言いそうですけど。」

「ははっ、確かに言いそうだな。」

俺と優は、そんなことを話しながら部屋を出てリビングの方へ向かった。

そして、リビングに著くと今さっき言っていた通りお義母さんは、夕飯の準備をしていた。

「もう盛り付けが終わったからあとは運ぶだけだから座って待っててね〜。」

「いえ、手伝いますよ。」

「別にいいわよ〜。一くんは、お客様なんだから座っててちょうだい。」

「ふふっ、予想通りです。」

「ははっ、そうだな。」

「え〜？なになに？」

俺と優が顔を見合わせて笑っているとお義母さんが首を傾げた。

それから俺はお義母さんの言葉を無視して盛りつけが終わっている料理の乗った皿を慎重にテーブルに運んだ。優も俺と一緒に料理を運んでいる。

「も〜、別にいいのに〜。」

「これくらいはお手伝いさせてください。」

俺は、お義母さんが止めるのも構わずどんどん料理を運んでいく。お義母さんも途中から諦めたのかしため息を吐いて料理を運ぶ。

そして、全ての料理を運び終えた時くらいに玄関の方からドアが開く音がした。

「ただいま〜。」

その聲とともにリビングのドアが開かれる。

「あなた、おかえり〜。」

「お父さん、おかえりなさい。」

お義母さんと優は、笑顔で帰ってきた父親にそう言っていた。

「お、おかえりなさい、お義父さん。お邪魔してます。」

「………………」

俺もし張しながらもちゃんと挨拶をした。

だが優のお父さんは、俺を見ると何故か固まってしまった。

「お父さん！こちらがずっと探していた一お兄ちゃんです！」

「…………う、うぅ」

「え！？」

優が俺のことを説明すると優のお父さんがいきなり涙を零した。

だが、優のお父さんは、そんな涙を拭うこともせず、俺に駆け寄ってきてギュッと抱きしめてきた。

俺は、いきなり男の人に抱きつかれてさすがにどうすればいいか分からずあたふたする。

「良かった！本當に良かった！元気そうだ！」

優のお父さんは、俺の格を確認するかのようにりながらそう言った。

「あなた、一くんが困ってるでしょ。」

「あぅ……」

お義母さんが優のお父さんの襟をつかみ俺から離してくれた。

「ごめんね、一くん。」

「い、いえ、大丈夫です。」

「す、すまん、私もし取りしてしまった。……でも、本當に元気そうで良かったよ。」

「もう、お父さんったら。お兄ちゃんに會えたのが嬉しいのは分かりますけどあまり迷をかけないでください。」

「分かってるよ。と言うよりも優、よく一くんの居場所が分かったな。」

「ふふっ、お父さんがいない間に頑張って探しました。」

「さすが私の娘だ！よく探し出したな。」

優のお父さんは、そう言うと優の頭を優しくでた。

「さて、そろそろ夜ご飯にしましょう。せっかくのご飯が冷めちゃもったいないでしょ。」

お義母さんがそう言うとみんな、返事をして席につく。

そして、そのまま俺は夕食をいただくのだった。