「3つ目の催しは、まずはテーブルにあるカードを保護者と生徒が1枚ずつ引いてください。保護者用のテーブルはあちらです。生徒用のテーブルはあちらです。そのカードには番號が書かれてあるのでその番號の記されたところへ行ってください。」

俺たちは、3つ目の催しの説明を先生から聞き終わる。

「分かりました。優、行けるか？」

「……は、はい。大丈夫です。」

優は、今もし息がれている。本當ならし休憩を取りたいところだが……優が１位を取りたいって言ったんだからな。俺は、優を信頼して進むしかない。

俺たちは、すぐにテーブルの方に行って數多くあるカードの中から1枚、カードを引く。

そのカードには「8」と書かれていた。

「8番は………あ、あれか。」

俺は、8番と書かれてある箱を見つける。大人1人くらい余裕でれそうな箱だ。

「この中にれってことか？」

俺は、その箱についている取っ手を引く。するとそこには1著の裝が吊るされてあった。

その裝はタキシードだった。

「うわっ、こんなのを著なくちゃいけないのか？ってか、今著てる服はどうしたら………」

俺がそんな疑問を抱いていると橫に1枚の紙がはられていることに気づいた。

その紙には「今著てる服は吊るしてください。後で返します。」と書かれていた。

俺は、まず、タキシードを著て、今著ていた服は指示通り吊るした。

「これ、上手く著れてるのかな？」

俺は、そんな不安を抱きながら箱の中から出る。

「優はどうしてるかな………」

俺は、周りをキョロキョロとするとし離れたところで優がチラッと箱の中から顔を覗かせていた。何か照れた様子だ。

俺は、そこまで行き優に聲を掛ける。

「優、著替え終わったか？」

「え？あ、お兄ちゃん。は、はい、終わったのは終わったんですが………」

優は、なにかモジモジしている様子だ。まぁ、いきなりのコスプレだからな。恥ずかしくないわけないか。

「優、俺は笑ったりしないから出て來てくれないか？」

「………は、はい。」

優は、ゆっくりと扉を開けて出てくる。

そこにはクマさん裝にを包んでいた優がいた。

「お、おぉ………」

俺は、その姿にし息を呑んだ。

「や、やっぱりこんな姿、恥ずかしいです。」

「い、いや、すごい可いぞ。」

「ほ、ホントですか？」

「ああ、目にれても痛くないってのはこのことを言うんだなってのが理解出來たくらいだ。」

「そ、そうですか………お兄ちゃんもとってもかっこいいですよ、そのタキシード姿。」

「お、おお、ありがとう。」

俺たちは、お互い照れながら褒め合う。

「………って、こんなことしてる場合じゃなかった。早く先生のところへ戻ろう。」

「は、はい、そうでした。」

俺たちは、裝を著たまま先生のところへ向かう。

「わぁ〜！優ちゃん！とっても似合ってるわ！とっても可い！」

「そ、そうですか？ありがとう……ございます………」

「お兄さんもとっても似合っていますよ。」

「あはは、ありがとうございます。」

「それではそこに2人とも、並んで立ってください。」

俺たちは、先生が指さしている場所で指示通り並んで経つ。

「それでは何枚か寫真を撮りますね。ハイ、チーズ。」

俺たちは、流れで寫真を5枚くらい撮られてしまった。

「はい、もう大丈夫です。それではお兄さん、スタンプを押すので紙を貸して貰えますか？」

「あ、はい。」

俺が紙を渡すと先生がポケットにっていたスタンプを取りだし俺の紙に押した。

「それでは次も頑張ってくださいね。次で最後の催しですので。」

「あ、あの………この裝のままですか？」

「はい、そうですよ。」

この姿で地域を走るのか。だいぶ恥ずかしいな。普通に一般の人もいるし。

でも、恥ずかしがってる場合じゃない。今は、一刻も早くゴールへと向かおう。

「それじゃ、優、行こうか。」

「は、はい。」

俺たちは、先生に一禮してから矢印が示している方向へ進んでいった。

でも、優はし走っただけですぐに息を切らし始めた。

「はぁはぁ………」

「………これ以上はダメだな。」

「はぁはぁ………ぇ……」

俺は、走るのを止める。優も俺が止まったのを見て走るのを止めた。

「優、俺も1位は取りたいと思ってる。」

「はぁはぁ……わ、分かってます。だから、急ぎましょう。」

「ダメだ。」

「ど、どうしてですか？」

「1位は取りたい。だが、優にこんなに無理してほしくない。」

「む、無理などでは………」

「頑張ってくれるのは嬉しいよ。だから、俺もしは黙って見ていた。でも、俺はお義父さんとお義母さんに頼まれたんだ。優をよろしくお願いしますって。もし、優が倒れるようなことがあればそれは俺を信用してくれた2人への裏切りになる。あの2人は優のことになるとすごい熱くなる。それは優のことを大切に思ってるからだ。だから、俺もお前をちゃんと優のことを大切にするよ。」

「………嬉しいです。お兄ちゃんがそこまで思ってくれて。お兄ちゃんの言う通り、私、どこかで無理してましたね。」

「気づいてなかったのかよ。」

「気づきませんよ。お兄ちゃんがこんなに近くにいるんですからどこまで無理しても平気と思えてくるんですから。」

「自分の調管理はしっかりしような。」

「はい………でも、お兄ちゃん、このままだとゴールすら出來ないと思います。それだとお母さんたちが心配すると思うんですよ。だから、せめてゴールはさせてください。」

「ん〜、まぁ、そうだな。」

でも、優を走らせるのは止めておきたい。俺たちが今、どれくらい遅れているのか分からない以上、休憩も下手にできない。

こうなったらあれをするしかないか。

俺は、その場に屈み優に背を向けた。

「優、今からおぶって進む。優は、これ以上無理をするな。」

「そ、そんな！それだったらお兄ちゃんがキツくなるじゃないですか。」

「今さっきも言ったが男子高校生を舐めるな。まだまだ余裕だって。優1人、おぶったところでキツくなんかないよ。」

「…………分かりました。では、失禮します。」

優は、そう言ってゆっくりと俺の背中へ近づいて首に手を回した。

俺は、優の足を持ってちゃんと摑まっていることを確認してから立ち上がる。

「よしっ！それじゃ、行くぞ。」

「はいっ！」