「次は飯野くんの保護者に質問です。飯野くんの將來の夢はサッカー選手である。マルかバツか。」

「マル。」

「正解！」

やっぱり、普通の家庭はそういうの分かるもんなんだなぁ。

「次は優さんの保護者に質問です。優さんは今、好きな人がいます。マルかバツか。」

「えっと………マル。」

「正解！」

優は、學校にも俺のこととか話してるの？いや、まさか、婚約者だなんて教えてるわけじゃあるまいし好きな人ってそういう意味じゃないよな。

ってか、なんで今さっきから優はそういう関係なんだ？

「では、最終問題です。これは2人に質問です。飯野くんと優さんは、家族のことが大好きである。マルかバツか。」

「……………マル……」

「マル。」

優奈は、ハッキリと答えたが俺は、今の答えに自信がなかった。だって………あれだもん。

でも、社的な優のことだ。きっと……

「2人とも正解です！さすが、よく分かっていらっしゃる。」

ほっ、良かった。

こういうのは肯定していた方が周りからの評価もいいからな。

こういうことを理解しているってことは優のことはしは分かってるってことなのかな。

「それでは質問は以上です。飯野くんとその保護者、優さんとその保護者を同率1位とします。」

先生がそう言うとこの競技に參加していない保護者から拍手を送られた。

するとすぐに1人の先生が優たちを連れてこっちへやってきた。

「それではこちらへどうぞ。」

先生はそう言って俺たちをテントまで案してくれる。

「他のみなさんがゴールするまでこちらへお待ちください。」

「はい。」

先生は、俺たちの返事を聞いたあと、その場を去った。

「やったな、優。1位だ。」

「はい、やりました。」

俺は、屈んで優に手のひらを出す。すると、優は俺の手のひらに自分の手のひらを合わせてハイタッチする。

「よく最後の質問分かりましたね。ほかの2問は別として。」

「まぁな。優の格とか考えると必然的にああなるよ。」

「ふふっ、よく分かってくれて嬉しいです。」

「でも、ほかの2問はあの問題で助かったよ。何とか答えられた。」

「良かったですね、お兄ちゃん。」

俺と優が話していると優奈と飯野くんが俺たちのところへとやってきた。

「よ、一くん、いいかな？」

「どうした？」

「えっと………くん、優ちゃんとしあっちに行っててもらえるかな？ちょっと話したいことがあるから。」

「分かった。……って、ことだから、天野、あっち行ってようぜ。」

「……………」

飯野くんは、し頬を赤く染めて照れたように頬を掻きながら優をった。

優は、飯野くんのその言葉を無視して目を閉じてし考え込む素振りを見せる。

「お、おい、天野！無視すんなよ！」

「………はぁ、分かった。それじゃ、あっちに行ってよっか。お兄ちゃん、し離れますね。」

「ああ。」

優は、ため息を吐きながら去っていった。飯野くんは、その後を慌てて追いかける。

俺は、2人をある程度のところまで見送ると優奈の方を向く。

「それでどうかした？」

「えっと……私、話したいことがあるって言ったよね？」

「ああ、分かってるよ。」

「い、今、話してもいいかな？」

「いいよ、いつでも。」

「ありがとう。」

優奈は、俺にお禮を言うとの前に手を置いて深呼吸をする。

「………うん、ちゃんと覚悟は出來た。」

「覚悟？」

「ううん、気にしないで。それでね、話したいことってのは……一くん、私が花火大會の後、2人で公園に行って話したこと覚えてる？」

「公園…………あ……」

それって優奈に好きな人がいるって教えてくれた時か。

俺は、それを思い出したのと同時にこの競技が始まる前に飯野くんが話していたことも思い出してしまった。

『一ってどこかで聞いたことのあるような名前だなって思ってたんだけど優奈姉ちゃんの好きな人か！』

「………覚えてるよ。」

俺は、どんな顔をすればいいのか分からず、顔を背けて優奈にそう返事した。

「確か、優奈に好きな人がいるって教えてくれた時のやつだよな？」

「う、うん…………えっと………それじゃ、くんが言ったことは？」

「…………覚えてるよ。」

「そ、そっか。…………正直、こんな形で言いたくはなかったんだけど…………」

優奈は、そこまで言うと再びの前に手を置いて深呼吸をする。今度は今さっきよりも長く、深く。

そして、深呼吸をし終わるとうるうるとした目を俺に向けた。顔は真っ赤で、しも震えていた。でも、目を背けたりはしなかった。

俺は、ドクンドクンと俺の心臓がうるさいとじるほど、張をしていた。なぜこんなに張するのか、自分でも分からなかった。

「わ……わた………私………は……一くん、あなたのことが……す……す……」

優奈は、目をカッと開きその続きを言おうとした瞬間だった。

ピピーッ。

大きな笛の音が鳴った。

「っ！？」

優奈は、口を開いたがその笛のせいでビクッと驚いて続きの言葉を飲み込んでしまった。

「………ゆ、優奈？」

「………………」

「優奈？」

「え？あ、うん、ごめんね………えっと……えっと…………」

優奈の目が今さっきとは違い右往左往している。

そして、みるみるうちにうるうるとした瞳から涙がぽろぽろとこぼれだした。

「ご、ごめんね……ごめんね………」

優奈は、涙を服の袖で拭いながら謝り続けていた。

俺は、無意識に手が勝手にいていた。

俺の手は、ゆっくりと、でも、迷うことなく優奈の頭に手を置いた。

「大丈夫だよ。」