優の運會から約1週間経ち、今日はみんなで園に行く日だ。

俺と太輔と康介は、待ち合わせ場所の駅に著いていて優奈と麻を待っているという狀態だ。

「なんで康介は麻と一緒に來なかったんだ？」

「なんか、先に行けって言われて。こっちに來る前に寄るところがあるって。」

「そっか。それなら仕方ないな。」

太輔と康介は、そんなやり取りをしていたが俺の耳にはほとんど容がってこなかった。

理由は簡単だ。ずっとソワソワしているからだ。

「おい、一。お前、大丈夫か？」

「…………ん？何が？」

「何がって……なんかこの頃のお前、ずっとどこか上の空っていうじじゃないか？」

「そうか？…………まぁ、そうかもな。」

「なんか悩み事か？」

「悩み事っちゃ悩み事だけど……別に気にしなくていいぞ。今日はちゃんと切りかえて思いっきり遊ぶからな。」

「………無理、するなよ。」

「分かってるよ。」

太輔と康介は、し俺を心配する素振りを見せたが俺が大丈夫だと言うとそれ以上深くは追求してこなかった。

そして、待つこと10分。

待ち合わせ時間ギリギリに優奈と麻がやって來た。

「ごめん！遅れちゃった。」

「待ち合わせ時間には間に合ってるんだし別に気にしなくていいぞ。それよりも何してたんだ？」

「あー………」

麻は、一瞬優奈の方をちらっと見てからし苦笑気味にこう言った。

「ちょっとした子會みたいなもの。男子は制の話よ。」

「なんだよ、それ。ま、いっか。それじゃ、早く行こうぜ。電車がそろそろ來るからな。」

太輔のその言葉に俺たちは、駅のホームへと行き、電車に乗った。

電車の中の席は向かい合わせても4席しかなかったので3対2に分けてから座ることにした。

…………のだが、組み合わせがこれまたタイミングのいいこと？いや、悪いのか？

俺と優奈の2人で座ることになった。

あの運會から俺と優奈の間にし距離が出來てしまった。

どちらかが避けているのではなく、どちらとも避けている。

本當はここは男の俺から………と行きたいところだがまだ、ちゃんとした経験など1度もしたことの無い俺が積極的に話しかけるというのは今の俺には無理だ。

なので結果的に無言になってしまうのが今の現狀だ。

「…………」

「…………」

チラッと優奈の方を見てみる。

すると優奈もちょうどこっちを見ていて視線が重なった。

「ぁ………」

「ぅぅ………」

だが、それは一瞬のことでお互いにすぐに視線を外してしまった。

…………もしかしたらこれからずっとこの調子なのだろうか。

そう思うとの奧がチクリと痛くなった。

それは嫌だと直的に分かってしまう。

いや、まぁ、それは當然といえば當然だ。もう十數年という時を一緒に過ごしているのだから。

だから、これは話題を振るとかそんなじではなくただ、言いたいと思ったことを口にしただけだ。

「………ごめん。」

「………え？」

俺から出た言葉に優奈は、目をキョトンとさせた。

「いや、なんかこの頃、優奈のこと、避けちゃったから悪いなって思ってな。だから、本當にごめん。」

「ぁ、ぅ……そ、それは……………違うよ。私が悪いんだもん。一くんから謝ってもらわなくてもいいよ。と言うよりも私から謝らなくちゃいけないのに私の方こそ避けちゃってごめんね。……本當にごめんなさい。」

お互い頭を下げて謝り、顔を見ると不意に笑みがこぼれてしまった。

「ははっ」

「ふふっ」

「さて、この件はここで終わりとするか。もう気まずい雰囲気は終わりだ。」

「うん、そうだね。一くんとは仲良しでいたいもん。」

なんだかあっという間に前の狀態に戻れたな。こんなことならさっさと謝っとけばよかった。

「それよりも園なんて久しぶりだな。」

「そうだね。確か最後に行ったのは………私たちが小學校のときだったよね。私と一くんの家族で行ったよね。」

「………あ、ああ、そうだな。」

「あっ、その反応もしかして忘れてるね〜。」

「あ、あはは………」

これが単なる忘れなのか、それとも記憶喪失によって忘れてるのか。

そんなことを考えていると麻が隣から顔を出してきて俺たちの話題へとってきた。

「2人とも、なんだか楽しそうだね。なんの話してるの？」

「えっとね、私と一くんとで昔、園行ったねって話をしてたら一くん、忘れてるっぽいんだよね。私としては結構楽しくて覚えてるんだけどなぁ〜。」

「ごめんって。俺、結構忘れ酷いだろ？」

「そうだね。」

「いや、そこはしくらい否定してしかった。」

そんな會話をして俺と優奈は、笑い合う。その景を見て麻も笑う。

そして、それから太輔と康介も話に加わり楽しい會話をしながら目的地の園へと向かったのだった。