《俺の許嫁は!?》116話 ちゃんと向き合いたい
「…………俺、優奈に伝えたいことがあるんだ。」
俺は、優奈の方を向いてそう言った。
「………な、何?どうしたの?」
優奈は、視線を右往左往させていた。
そんな優奈に俺は、真剣な表を崩さず言葉を発した。
「まず1つは俺は、優奈に謝らないといけない。」
「え?あ、謝る?なんで?」
「俺、正直優奈の気持ちにはずっと前から気づいていた。」
「っ!」
「………もしかしたら間違ってるかもしれないけど……優奈の俺に対する気持ちには気づいてる。優奈は、その事を何度も言おうとしてくれたのに……俺がそれを何度も潰してしまって本當にごめん!」
「っ!そ、そんな!わ、私がちゃんと言わなかったから悪いんだよ!」
「いや、1回目の花火大會の日の時はハッキリと好きって言ってくれただろ?」
「ぁ、う、うん。」
「あの時はし俺の方で々な事があって人を作れないって環境があったってのも一つの理由なんだけど……でも、それよりも、今の居心地の良さから変わると思ったら優奈に俺の気持ちを告げることが出來なかったんだ。だから、その事についての謝罪だ。本當にごめんなさい!」
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俺は、今までの一生の中で1番気持ちのこもった謝罪をした。
でも、これで許されるとは思ってもいない。
告白なんて絶対に張するだろう。それをあの恥ずかしがりやな優奈が言ってくれたのだ。そして、それを俺はなかったことにしてしまったのだ。
本當に悪いことをしてしまった。
「…………一くん、頭上げて。」
「………」
俺は、優奈に言われ渋々頭を上げる。
優奈の瞳には涙が溜まっていた。
…………泣かせてしまったか。
「………もう謝らなくていいから。」
「え?」
「それよりも……その……聞きたいことがあるの。」
「な、何?絶対に答えるから。」
「本當に絶対?」
「ああ、絶対だ。」
「なら……………一くん、今度こそ返事、聞かせて。」
「っ……………」
「聞かせて…………」
優奈の顔は、夕日のせいか照れているせいかは分からないが真っ赤だった。でも、それでも俺から目を反らすことはしなかった。
俺は、手汗で濡れていた手をギュッと力強く握りしめた。
「………2つ目がそのことだ。俺の想いをちゃんと優奈に伝えるってこと。」
「…………うん、聞かせて。」
「正直、ずっと考えてた。この想いが優奈へのなのか、友的なものなのか。でも、ちゃんと向き合ってみたら呆気なく答えは出たんだ。……………俺は、優奈のことが好きなんだって。」
言った。言ったんだ。好きって。
その瞬間、の中がものすごく暖かくなった。
「っ!…………そ、そっか。…………そっか………えへへ………」
優奈は、顔をさらに赤くさせてから笑っていた。それと同時に溜めていた涙がポロポロと零れていた。
でも、俺にはまだ伝えないといけないことがある。
「でも……ごめん!」
「………え?」
「俺は今、誰かと付き合うってことが出來ないんだ。」
「っ…………そ、それって私の告白の返事を誤魔化したもう1つの方の理由?」
「ああ。」
「どんな理由か聞いてもいい?」
言っていいのだろうか?
優やお義父さん、お義母さんに何も伝えずに?
本當はダメなんだろう。
でも………
「俺には今………仮だけど許嫁がいるんだ。」
俺は、優奈にちゃんと向き合いたい。
「っ!?………い……許嫁?……ど、どういうこと、一くん?」
優奈は、驚きを隠せておらず目をぱちぱちとさせながら俺に問いかける。
「昔、よく遊んでいた子がいたんだ。その時に結婚するって約束してたみたいで。」
「む、昔って………それって私が知ってる人?」
「確かに知ってるけど………優奈がその人と會ったのはついこの間が初めてだ。」
「え!?だ、誰!?一くんが私の知らないの人と一緒にいた記憶が無いんだけど……」
「………いや、確かにあるはずだ。1週間前。」
「え?1週間前って……………え?……えっ!?……も、もしかして、その許嫁って優ちゃん!?」
「………………ああ。」
7歳も歳が離れたの子と許嫁の約束をしてるって分かったら………さすがに引くよな。
「そ、そうなんだ………そうなんだ………へ〜………そうなんだ………」
優奈は、頭の処理が追い付かず目をグルグルとさせていた。
「………その……許嫁っていつからなの?」
「もう1ヶ月以上は経ってる。」
「1か月前?………でも、それじゃ、花火大會時は何も無かったの?」
「いや、しそこら辺はややこしいけど………その時は靜香と婚約関係を結んでいたんだ。」
「っ!?え!?し、靜香ちゃんって、花火大會の時の子?」
「ああ、そういう事だ。でも、それは今は解消されてある。」
「…………」
「ごめん、こんな大事なこと、ずっと隠してて。優奈は、ずっといつまで経っても俺のそばを離れないでいてくれて助けてくれたのに………」
「…………」
夕日はどんどん落ちていき東の空は、し暗くなっていて星も見えていた。
閉園を告げるアナウンスが再び流れる。
俺は、それを聞き握っていた拳を解いた。
「………さすがにもう帰らないとな。」
俺は、そう言って振り返り歩きだそうとした。
その瞬間、俺の袖口が摑まれて歩きだそうとした俺の足を止める。
「…………一くん、私との約束はどうなるの?」
俺の歩みを止めた優奈は、真剣な目付きでそう言った。
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