《甘え上手な彼3 秋編》第10話

「うーむ……」

高志達がそんな話しをしていると、珍しくまともな繁村が何やら窓を見ながら唸っていた。

「お前がまともなんて珍しいな、繁村」

「なにか悪いでも食ったか?」

「いや……なんか引っかかってな……」

「引っかかるって……赤西の事か?」

「あぁ……あのの顔……どこかで」

いつもの繁村と違い、今日の繁村はなんだか真剣だった。

そんないつもと違う繁村の様子に高志と優一は聲を揃えて言う。

「「明日は雪か……」」

「お前らどう言う意味だよ!!」

「いや、繁村がそんな真剣なんて……なぁ?」

「あぁ、明日は恐らく吹雪きだな」

「俺だって真面目な時くらいあるわ!!」

高志達が教室の隅で騒いでいる頃、子トイレでは朋香と數人の子が話しをしていた。

「聞いた? 赤西に彼だって」

「聞いた聞いた、世の中何があるかわからないよねぇ~」

やっぱり話しの話題が赤西の話しだった。

朋香はそんな話しをスマホを作しながらつまらなそうに聞いていた。

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「ねぇ、朋香はどう想う?」

「え、何が?」

「だから、赤西が何日で振られるかよ。私は一週間って予想」

「あぁ……私は……」

朋香はそこで昨日の赤西と手紙の差出人の子の會話を思い出す。

わずかに視線を下に向け、朋香はし間を置いて笑いながら話す。

「案外長く続くんじゃない? ま、その方が大人しくなってありがたいでしょ?」

「アハハハ、確かに言えてるかも!」

「今日の男子メチャクチャ靜かだもんねぇ~」

「そうよ、靜かで良いじゃない?」

朋香は笑顔でそう言いながら、スマホを強く握り締める。

クラスが赤西の話しで持ちきりになっている頃、當の本人はというと……。

「えへ……えへへへ」

「キモいな」

「あぁ、キモイ」

これ以上無いニヤケようでスマホを見つめていた。

高志と優一はそんな赤西を見てそんなストレートな想を口に出すが、本人には聞こえていない。

赤西だけが幸せそうな顔をし、その回りの男子が真っ白になって死んでいる様子は、なんだか異様な景だった。

その狀態は授業中も変わらず、ってくる先生は度々そんな景に怯えていた。

「それにしても、赤西に告った子ってどんな奴なんだ?」

「一組の奴らしいが、晝休みにでも覗きに行くか?」

「あぁ、なんか最初はどうでもよかったが、気になってきた。泉も來るだろ?」

「うん、なんか話しを聞いてたら気になってきたよ」

「じゃあ晝休みにでも見に行くか」

高志と優一、そして泉は晝休みに一組に向かった。

もしかしたら「赤西と晝は一緒に食べるのか?」と思ったが、赤西は普通に教室で晝飯を食べ始めていたので、晝は別々の様子だった。

三人は一組に向かうと、そこには見覚えのある顔があった。

「ん? 西城?」

「あ、八重と那須……あと泉」

「何やってるんだ? 一組の前で」

「別に、ちょっと用があっただけ、もう行くわ」

「ん、そうか……じゃあな」

朋香はそういうと、高志達の教室である三組に戻って行った。

「なんだあいつ?」

「そんな事より、赤西の彼だろ? どれだ?」

「考えてみればさ、顔も知らないのに探しようが無くない?」

「「あ……」」

泉の言うとおりである事に、高志と優一は教室に到著したところで気がついた。

どうしようも無くなり教室に戻ろうとしていた三人。

しかし、そんな三人の元に思いがけない人が現れる。

「ん、何してるんだ? お前ら」

「あ、繁村」

やってきたのは繁村だった。

なぜ一組にやってきたのか、高志達は不思議だったがこれは好都合だった。

「お前、確か昨日赤西の彼見たんだろ?」

「え、あぁ……そのが気になって、様子を見にきたんだが……」

「どれなんだ?」

「あぁ、お前らも気になる訳な……ちょっと待て」

繁村はそういうと一組の教室を見渡し、赤西の彼を探し始める。

「あぁ、あの窓際に固まってる子の中のロングヘアーの子だ」

「どれどれ」

「おいおい、赤西にはもったいないくらいの子だな……」

し不服そうにそういう優一。

そこに居たのは友人に囲まれて楽しそうにお喋りをする癒。

「確かに可い子だな……まぁ、紗彌よりは……」

「あぁ、はいはい」

優一は高志の言葉を途中で遮り、教室を覗くのをやめて廊下で考える。

「なんで、赤西なんかにあんな良い子が……」

「優一もそう思うか? 俺もそう思うんだ。あいつに出來てなんで俺に……」

「それは関係無いと思う」

繁村の言葉に優一はため息じりに答える。

しかし、確かに繁村の言うとおりであった。

聞けば、赤西とその子は昨日會うまで會った會ったことすらなかったと言う。

そんな子がなぜ赤西を好きになったのか優一は引っかかった。

「うーむ……これは何かあるな……」

「だよな? それと俺に彼が出來ない事も関係していると思うんだが」

「それは一切関係無い」

「まぁ、それは置いといても、確かに変だな……」

「置いておくなよ……」

優一の考えに高志も同意する、

何らかのきっかけがあったならまだ話しは別だが、今回はそれが無い。

高志達は癒を疑い始めた。

放課後、赤西はいつものように部活に勤しんでいた。

いつも以上に気合いのった優一に、チームメイトは違和さえ覚える。

「なぁ、どうしたんだ? 優一の奴……」

「いや、なんか彼が出來たっぽくて……」

「え、マジかよ!?」

「あの優一にか!?」

ここでも赤西に人が出來たニュースは皆を驚かせた。

「キャプテン! 何サボってんだよ! 早くサッカーやろうぜ!」

「お前はどこの超次元サッカーアニメのキャプテンだ……」

目をキラキラさせながらボールを蹴る赤西をチームメイトは気味悪く思った。

練習終了後、赤西は著替えを済ませて直ぐに帰って行った。

いつも更室で雑談をした後に帰るのだが、今日はなんだか急いで帰って行った。

「あいつ、今日はなんか変だったよな?」

「彼が出來るとこうも違うのかね……」

「若干キモイんだが……誰かどうにかしてくんね?」

赤西のチームメイトはいつもと違う赤西にかなり困していた。

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