《甘え上手な彼3 秋編》第16話

もうダメだ、諦めにも似たを朋香が抱き始めたその時、赤西が勢いよく立ち上がり、男達に摑みかかる。

「な、なんだこいつ! やめろ!!」

「うぐっ!! か、勘弁してくれよ……こいつのストリップなんて、目が腐るっつの……」

赤西は毆られながらも、朋香を庇い男達から逃がそうとする。

しかし、赤西にはそこまでの力無く、背中や腹、顔を毆られ続ける。

「がはっ!! う……うぅ……」

「格好つけてんじゃねーよ……おらぁ!」

「うっ!! あが……」

赤西は腹を蹴られ、地面にうずくまる。

うずくまったところを更に追い打ちを掛けるように、蹴りをれられる。

そんな赤西を見た朋香は涙を浮かべながら、男達にやめてくれと懇願する。

「やめて! お願いだからやめて!!」

「なんだよこいつ……格好つけてた割には全然弱いじゃん」

「かっこ悪ぃなぁ~」

赤西の顔はぼこぼこに腫れ上がり、左手は青く変していた。

そんなボロボロになった狀態でも赤西は無理矢理に笑顔を浮かべながら話す。

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「ハハッ! そ、そうだよ……俺は………かっこ悪ぃよ……だからモテない……」

「アハハ~、自覚は有るんだぁ~」

赤西が這いつくばる姿を癒も笑いながら見ていた。

赤西は相変わらずの笑顔で言葉を続ける。

「あぁ……だから、告白された時は嬉しかったよ……はぁ……はぁ……だからよぉ………これは俺の責任なんだよ……だから……関係無い西城を……巻き込む訳にはいかないんだよ………だから……西城だけでも……」

「はいはい、わかったから……し寢てようか!!」

「ぐはっ!!」

「赤西!!」

立ち上がった赤西を癒の兄が顔を思いっきり毆り飛ばす。

またしても地面倒れ込む赤西を見て、その場の癒達は笑い、朋香は涙を流す。

それでも赤西は立ち上がり、笑顔で朋香に言葉を掛ける。

「大丈夫だ……俺が絶対……」

「な、なんだこいつ……まだ……」

「おいおい、そんな警戒するなって。立ってるのがやっとだぞ? これでとどめだっての!」

「赤西!!」

癒の兄が赤西にとどめを刺そうと赤西に毆り掛かる。

赤西はその瞬間、走馬燈にも似た覚を得た。

朋香との昔の思い出を思い出し、そして世界がゆっくりに流れているかのように思えた。

(あぁ……本當……俺って格好悪ぃな……の子一人……守れないのか………)

そんな事を考えながら、赤西は涙を流す。

もうダメだと、赤西は諦めかけていた。

しかし、そのとき……。

「あだっ! だ、誰だ!!」

癒の兄の腹部に小さな小石が當たる。

癒の兄は腹部を押さえ、小石が飛んできた方向を見る。

「見たかこの野郎! これが野球部自稱エースのコントロールじゃボケ!!」

「自稱かよ」

「うるせぇよ!!」

そこに居たのは、高志と繁村、そして優一の三人だった。

「お、お前ら……なんで……」

「通りかかっただけだ」

「おいおい優一、ここは素直になれって、本當は心配してたくせに」

「うるさぇ! それは繁村だろ!」

「俺は赤西の無様な姿を笑いに來ただけだったつの!」

三人はそんな言い爭いをしながら、赤西達の元にゆっくりと近づく。

「な、なんだお前ら!」

「なんにん増えようが……」

「あぁ……お兄さん……やめた方が……」

臨戦態勢の癒の兄達に高志が注意を促そうとすると、言い終える前に優一が飛び出して行った。

「あーあ、だから言ったのに……」

「んー! ん!!」

優一は癒の兄貴の口元を押さえつけ、地面に押し倒す。

「うるせぇ、し黙ってろ」

優一はそう言うと手を離して、赤西に近づく。

赤西は腫れ上がった顔を上げ、赤西を見て微笑む。

「わるいな……西城のこと……頼む」

「これに懲りたら、安易にと付き合うんじゃねーぞ」

優一はそう言って赤西の狀態を起こさせ、壁にもたれ掛けさせる。

「腕……折れたのか?」

「ははは……さっきから痛くてさぁ……これじゃあ……クラスマッチは無理……だな」

「……高志、繁村。赤西を頼む」

「あいよ」

「任せろ」

高志と繁村は赤西の側に行き、看病を始める。

そして優一は立ち上がり、指を鳴らしながら癒の兄達の元に歩いて行く。

相手は六人、癒達はまだ余裕の表を浮かべていた。

「え~、一人で大丈夫~?」

「こっちは六人もいるんだぞ? 一人でやるきか?」

「ガキのくせに……生意気だな……」

やる気満々の癒の兄たち。

そんな癒の兄達に優一は睨みを聞かせながら、薄らと口元を歪めて靜かに言う。

「赤西……こいつらボコボコにするから……そこで待ってろ」

「ハハハ! 何言ってんだこいつ!」

「バッカじゃねーの! やっちまおうぜ!」

「テメェらみたいな見てるとよぉ……イライラすんだよぉ!!」

優一はそう言うと、癒の兄たちに向かって突っ込んでいく。

絶対に自分たちが負けることなんて有り得ない。

そう思っていた優達は、數分後には恐怖とのダメージでけなくなっていた。

「おい……もう終わりか? お兄さん……」

「か、勘弁して下さい……」

「ば、化け……」

優一は數分ほどで癒の兄達を倒していた。

地面に倒れる優の兄たちを見て、優一は無表で頭を踏みつける。

高志や繁村には晝休みにあんなことを言っていたが、優一は優一で赤西を心配していた。

だからこそ、朋香の怪しい行をに気がつき、こうしてこの事態にこうして駆けつける事が出來ていた。

「西城……大丈夫か?」

「う、うん……ありがとう」

優一は癒の兄の頭を踏みつけながら、西城に尋ねる。

癒はそんな優一を見て、恐怖で腰を抜かしていた。

けるなら、赤西のとこに言ってやれよ……俺はあいつを……」

「ひっ!」

優一はそう言うと、ゆっくりと癒の方に向かって歩いて行く。

そんな優一の姿を高志は心配しながら見ていた。

「おい」

「ご、ごめんなさい……許して……」

「俺は赤西や高志ほど優しくねぇ……だから……だって容赦する気はねぇ!」

「や、やめて……許して……」

「泣けば済むと思ってるのか? ……確か、赤西は腕を折られてたな……」

そう言うと、優一は癒に向かって拳を構える。

それを見た高志は慌てて優一の元に走って行く。

「赤西、安心しろ……俺がこいつの腕、へし折ってやる!」

「や、やめて!! ごめんなさい!!」

「ごめんで……済むかよっ!!」

そう言って優一が拳を振り上げた瞬間、その肩を高志が抑えた。

「高志……」

「優一、もう十分だ。気持ちはわかるけど……し落ち著け」

笑顔でそういう高志を見て、優一は拳を下ろす。

癒は恐怖のあまり気を失い、そのまま地面に倒れ込んだ。

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