《甘え上手な彼3 秋編》第25話

修學旅行當日、高志達は朝早くから駅前に集合していた。

新幹線で京都まで行き、その後バスでホテルに移する流れなのだが、早朝のなのにも関わらず、みんなテンションが高い。

その理由は簡単で、今日が修學旅行だからだ。

「おはよう」

「やあ、おはよう高志」

「ん……うぃーっす……」

高志は紗彌と共にクラスメイトが固まっている場所に向かい、泉と優一に挨拶をわす。

いつもながらのさわやかな笑顔を浮かべる泉に対して、優一はなんだか眠たそうだった。

「眠そうだな優一」

「ん? あぁ……まぁな」

目をり、何度も欠を繰り返す優一。

昨日は楽しみで眠れなかったのだろうか?

などと高志が思っていると、由華もやってきた。

「おはー! いやぁ~、朝の六時はキツいよねぇ~」

「おう、おはよう」

「由華、おはよ」

「紗彌ぁ~おはよう!」

華は紗彌を見つけると、直ぐに側に寄ってきて、紗彌に抱きつく。

普通なら子同士のじゃれ合いなのだが、由華が紗彌にやると、高志は不安で仕方なかった。

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「お、おはよう……門さん」

「あ、泉君もおはよう!」

泉は顔をし赤くしながら、由華に挨拶をわす。

高志はそんな泉を見て、なんで頬が赤いのか気になったが、あまり深くは考え無かった。

周りは修學旅行當日とあって、いつも以上に盛り上がっていた。

中でもより一層盛り上がっていたのは、繁村と赤西を始めとする高志達のクラスだった。

「いいか、修學旅行は子と自然に會話が出來る!」

「しかも、いつもは見ることが出來ない子の姿も!!」

「このチャンスを逃す訳には行かない!」

「そうだ! これを機會にみんなでかの……イデデデデデ!!!」

「朝っぱらから何馬鹿やってるのよ……」

赤西がクラスの男達を集めて、何やら話しをしているところに朋華がやってきた。

朋華は赤西の耳を引っ張り、話しを中斷させて自分の方を向かせる。

「何すんだよ!」

「アンタ怪我人でしょ!? あんまり馬鹿な事やってないで……その……わ、私の側に居なさいよ……心配でしょうが……」

「え? なんでお前なんかの側に?」

「…………フン!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! 痛い! 足が痛い!!」

朋華は赤西の足を思い切り踏む。

赤西はその場にうずくまる。

朋華はそんな赤西を放って、友達のところに戻ってしまう。

「おーい、お前らさっさと集まれ~」

そんな高志達を石崎は聲を掛けて一カ所に集める。

出欠を取り、校長の話しや學年主任の話を経て、高志達は電車の中に乗り込んでいく。

高志は紗彌と隣同士で座った、通路を挾んだ隣の席には由華が座り、泉と優一は高志と紗彌の前の席に座った。

「楽しみだね京都」

「そうね、清水寺とか金閣寺とか、楽しみだよね」

高志と紗彌はパンフレットを見ながら、楽しそうに話しをする。

男子はそんな高志の姿をいつもの三割増しで嫉み、子は紗彌と高志を羨ましそうに見ていた。

「おのれぇ~リア充が!」

発しろ!!」

「いいなぁ……彼持ち」

「私も彼氏とイチャイチャしたーい」

優一は眠気があったのか、電車に乗って直ぐに寢てしまい、泉は音楽を聴きながら本を読み、由華は他の友達と話しをしていた。

「ねぇ高志」

「ん? どうした?」

し眠いから、高志の肩に頭乗っけて寢ても良い?」

「うん、いいよ。朝早かったもんね」

「ありがとう、じゃあお休み……」

紗彌は高志の肩に頭を乗せ、イヤホンを耳に付けて目を閉じる。

高志はそんな紗彌を見ながら頬を緩ませ、高志は外の景を楽しんでいた。

そんな高志にクラスの子生徒は興味津々に尋ねてきた。

「ねぇねぇ八重君!」

「ん? えっと、何?」

「紗彌と付き合って、もう四ヶ月以上だよね?」

「えっと……そうだけど、それが?」

「「「どこまでいったの!?」」」

「は、はい?」

高志は一何を聞かれているのか、一瞬わからなかったが、直ぐに理解した。

「ど、どこまでって……いや、それは……」

「良いじゃん! 良いじゃん!」

「教えてよぉ~」

「紗彌って全然、そういうの言わないんだもん」

たまに高志は、こういうことを聞かれる事はあった。

修學旅行と言う雰囲気だからか、いつも以上に子生徒はしつこく聞いてきた。

そんなクラスメイトの子達に、高志はなんと返答したら良いかを考える。

「ひ、って事じゃダメかな?」

「折角の修學旅行じゃな~い」

「毎日のように學校でイチャつかれてるこっちのにもなってよ~」

「率直に言うと、気になって仕方ないのよ! だって、あの紗彌よ! あのクールビューティーなんて言われてた紗彌がよ! 八重君にだけはベタベタじゃない!」

そんな事を言われても、高志だってあまり話したくはない、恥ずかしい。

「そ、そう言うのは夜に旅館で紗彌に聞いてくれないかな? お、俺からはなんとも……」

「「「えぇ~~~~~!!」」」

なんで子はこんなにもバナが好きなのだろうか?

なんてことを考えながら、高志は橫で眠る紗彌の方を見る。

「なぁ……」

「なによ?」

「なんで、俺は西城の隣に座ってるんだ?」

「アンタが腕を折ったからよ」

「いや、だからなんで俺が腕を折ってると、お前がいつも以上に付きまとってくるんだよ!」

「その腕じゃ不便でしょ……それに……私のせいじゃん……」

赤西と西城は隣通しで新幹線の座席に座っていた。

西城は赤西の腕を自分のせいだと責任をじており、赤西の左腕の代わりになろうと、最近は赤西の隣に居ることが多かった。

「お前のせいじゃねーよ……俺が馬鹿だったからだっての」

「でも……」

「そんな顔すんなよ、いつも通りワーキャー騒いでおけ」

「どう言う意味よそれ!」

「おぉ! それだよれ! やっぱりお前はそうでなく……いっでぇぇぇぇ!!」

「うるさいのよ!!」

赤西の言葉が気に障り、朋華は赤西の足を踏みつける。

周りはそんな二人の姿を見て「あぁ、いつも通りだな」と、思わず和んでしまう。

當の本人達はそんな事は知らず、喧嘩を続ける。

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