《甘え上手な彼3 秋編》第26話

「う~ん!! ついたぁぁぁぁ!!」

「何んでんだよ……」

高志達は京都駅に到著した。

狹い車にいたせいか、生徒の多くは大きくびをしており、中には欠をする者もいた。 由華は駅前で大きくばしまがら言葉をび、優一はそんな由華を見て呆れていた。

「だって、京都だよ! 修學旅行だよ! 興するでしょ!!」

「まだ到著したばっかりだろ……」

駅前に集合した高志達二年生はこれからの行を學年主任の先生から聞いていた。

これからは班行になり、高志達は並んで話しを聞いていた。

「えぇ~これからバスに乗りまして……」

「なぁなぁ高志」

「ん? なんだよ」

學年主任の先生が話しをしている中、優一が高志に話し掛けてきた。

「酔い止め持ってるか? 泉が電車で本なんか読んでたから、グロッキーなんだよ」

「マジかよ。俺は持ってねーな……紗彌は持ってるか?」

「あ、ごめん。手持ちじゃなくて、キャリーバックにれちゃった」

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泉は青い顔をしながら、頭を抑えていた。

「あ、私持ってるよ……はい」

そう言って由華は薬を泉に手渡す。

「あ、ありがとう……」

「大丈夫? 修學旅行は始まったばっかりだよぉ~」

「う、うん……そうだね」

泉は由華にそう言われ、頬を赤く染める。

そんな泉の様子に優一はし違和を覚える。

話しを聞き終え、クラスごとにバスに乗り込んだ高志達は京都の広隆寺を目指して出発した。

相変わらず、高志と紗彌は隣同士で座り外を見ながら寫真を撮ったりしていた。

優一は土井と隣になり、泉は由華の隣に座った。

薬を飲んだからか、泉の顔は大分良くなっていた。

「大丈夫? もう酔いは冷めた?」

「う、うん……段々気分も……回復してきたよ」

「良かった、折角の修學旅行で気分悪いなんて最悪だもんね」

「そ、そうだね……」

「これから行くお寺って、一番古いお寺で日本七大寺の一つらしいよ!」

「へぇ、そうなんだ。詳しいんだね……」

「ううん、ただパンフレット読んでみただけだったり」

「あ、なんだ……」

「アハハ、こう言う時でもないとお寺の事なんて調べないよねぇ~」

「あんまり馴染みもないしね……」

楽しそうに話しをしながら、泉と由華はこれから行くお寺の事を話していた。

そんな泉と由華の様子を観察していた生徒が一人居た。

「うーん……」

「どうした優一?」

「いや……なんかあの二人怪しい……」

「え? 泉と……門さん?」

「あぁ……まぁ、怪しいのは泉だが……」

「うーん、俺は良くわからないけどな……」

優一は泉と由華の姿を見ながら、顎に手を當てて考える。

そして一つの結論に至る。

「いや……そうであったとしても、なんで泉が門を?」

「なぁ、そんな事よりもこの生八つ橋の味しいお店ってどこかな?」

「知らん、スマホでググれ」

「いや、寂しい事を言うなよ。しは喋ろうぜ」

「なんで俺がお前と……」

優一は仕方なく泉と由華から目を離し、土井の話し相手になる。

「そう言えば……さっき新幹線の中で、高志の事を聞かれたんだけど……」

「はぁ? 誰にだよ」

「確か……二組の頭の良いあいつだよ……えっと、なんて言ったっけな……」

「何を聞かれたんだよ?」

「いや、高志の好きなとかだけど……なんでそんな事聞いたんだろうな?」

「好きな………」

優一は再び顎に手を當て考え始める。

「……なんだか、修學旅行も面倒な事になりそうだな……」

「ん? そうなのか?」

「お前は気にするな」

優一はそんな事を考えながら、由華と泉、そして高志を見る。

「はぁ………なんで俺が気にしなきゃいけねぇんだよ……」

高志達は京都の寺を見學していた。

ガイドさんの説明を聞いても、高志は良くわからなかったが、隣に紗彌が居るだけで楽しむ事が出來た。

「うーん……凄いな」

「何が凄いかわかってるのか?」

「いや、全然」

「ダメじゃねーか……」

高志は優一と共に、國寶と言われている彫刻を見ながら話す。

一通りの説明を聞き終え、高志達は寺の外に出る。

これからは班ごとの行になり、各班ごとに自分たちで決めた寺を巡る。

「で、俺らはこれからどこに行くんだっけ?」

「優一、忘れたのか? 俺たちはこれから三十三間堂に行くんだよ」

「あーそうだったな」

「興味なさげだな」

「いや、寺に興味があるやる奴なんているか?」

「まぁ、そうだけどよ。折角だししは京都の歴史とか文化にだな……」

「歴史も文化も食えねーし、面白くもなんともねーだろ? それよりも舞子さんとかの方が俺は興味がある」

「うーん……舞子さんか……俺もそれは興味が……」

「おっ! 珍しいなお前が宮岡以外に興味を持つなんて」

「いや、紗彌なら舞子さん姿も似合うかなって……」

「あぁ、そうだよな、お前はそういう奴だよな。泉はどう……泉?」

優一が泉にも尋ねようとしたが、泉はどこか他のところを見ており話しを聞いていなかった。

「泉、おい! 泉!!」

「……え? あ……ごめん、なんだっけ?」

「お前どこ見て……」

「ど、どこも見てないよ! そ、それより次のお寺に行かなくちゃ!」

泉は自分の見ていた方向を隠すようにしながら、高志と優一の背中を押して話しを変える。 高志はいつもと様子の違う泉に疑問を抱き、優一は何となく何かを察していた。

「ほら、早く行くよぉ~」

「高志も早くー!」

「あ、うん! 今行くよ!」

先を歩く由華と紗彌に言われ、高志と優一、そして泉は二人の元に急ぐ。

バスの時間や寺までの経路をスマホで確認しながら、高志達はお寺に向かう。

「高志、こっち向いて」

「ん? どうしたの?」

「はい、チーズ」

「え?」

紗彌が言った瞬間、スマホのシャッター音が高志の近くで鳴った。

紗彌がスマホで高志の寫真を撮っていたのだ。

高志は咄嗟の出來事に驚き、思わず目を瞑ってしまった。

「あ、目瞑っちゃったダメだよぉ~」

「あ、ごめん。でも、そんな咄嗟に言わなくても」

「高志の振り向いた寫真を撮りたかったんだもん」

「じゃあ、お返しに……」

「え?」

またしても、シャッター音が鳴り響く。

今度は高志が紗彌の寫真をスマホで撮っていた。

「お返しだよ」

「もぉ~!」

修學旅行でもイチャつく高志と紗彌を見ながら、優一は呆れた顔で呟く。

「二人の時にやれや……」

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