《甘え上手な彼3 秋編》第37話
「ま、待ち人來ず……れ、、あきらめなさい……」
高志は真っ青な顔をしながら、書いてある言葉を読み上げて行く。
泉は気の毒そうに高志を見ており、その一方で優一はゲラゲラと笑っていた。
「おい優一! 笑いすぎだろ!」
「わ、悪い悪い!幸せの絶頂みたいな奴が大兇引いてるの見ると気分が良いな!」
「おまえ、修學旅行始まって一番良い笑顔だな……」
おみくじを見ながら、高志は深いため息を吐く。
「じょ、子はどうだったの?」
話題を変えようと泉は紗彌と由華の方に話を振る。
しかし、こちらもなんだか空気が悪い。
「えっと……さ、紗彌……気を落とさないで……たかがおみくじじゃない」
「……そ、そんな」
紗彌の様子の変化に気がついた高志は、こっそり紗彌のおみくじを覗く。
そこには高志と同じく「大兇」の二文字が記されていた。
「……大兇カップル」
「優一!」
「だって、こんな偶然あるか? 二人大吉ならまだわかるが、二人大兇なんて」
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「だからって、二人の前でそれは不謹慎だよ!」
ショックをける高志と紗彌。
泉は気を使って二人に言葉をかけるが、優一はこの偶然を腹を抱えて笑っていた。
「おまえら、近々破局すんじゃねーの?」
「「うっ……」」
「優一!」
優一の言葉に、紗彌と高志はますます元気をなくす。
泉がそんな優一にいい加減にするように言っていると、再び倉島が高志達の元にやってきた。
「やぁ、優一」
「ん? おう倉島。おまえらは今來たのか?」
「うん、あれ? 高志はどうしたの?」
「ま、いろいろあってな……たかがおみくじで……」
半分あきれた様子の優一。
倉島はそんな高志に近づき聲を掛ける。
「高志」
「ん……倉島か…悪いが今は、誰の相手も出來そうにない……」
「おみくじかい?」
「あぁ……」
「こんなのただの子供だましだよ。あんまり気にしない方が良いよ」
「そ、そうだよな?」
「うん、そうだよ。あ、ちなみに僕は大吉だけど」
「ちくしょおぉぉぉぉぉ!!」
*
高志が大兇を引いている頃、赤西と朋華の班は清水寺に來ていた。
「以外と高いな……下からスカート覗けるんじゃね?」
「そういう観地を狙った盜撮って多いらしいよ。やめときなって」
「い、いや、ただの冗談だっての! それより赤西どうした?」
「え?」
清水寺での観を楽しむ、繁村と土井に比べ、赤西は心ここにあらずと言ったじでぼーっとしている事が多かった。
「何ぼーっとしてんだよ。可い子居たか?」
「いや……そんなんじゃねーよ」
「じゃあ、どうしたんだよ?」
「そ、それは……」
そう言いながら、赤西はし離れたところで記念撮影をする朋華の方を見る。
いつも通りのように見えるが、今日になって赤西と朋華は一度も話をしていない。
「そう言えば、今日は西城がおまえに絡んで來ないな」
「喧嘩でもしたの?」
「いや……別に喧嘩じゃ……」
赤西はそう言いながら、昨晩の出來ごとを思い出し頬を赤く染める。
「な、何でもねぇーよ!」
「何急にキレてんだよ」
「き、キレてねーし! さ、さっさと行くぞ!」
「あ! おい!」
明らかに様子のおかしい赤西に、土井も繁村も朋華と何かあった事を察する。
「こりゃあ、俺たちがなんとかしてやらないとな」
「そうは言ってもどうやって?」
「簡単な事だよ」
「は?」
繁村の言う簡単な事がわからず、土井は首を傾げる。
一方で子達はというと……。
「朋華、なんか元気なくない?」
「え? そ、そんな事ないよ……」
「噓だー、やっぱり赤西になんかされたんでしょ!」
「さ、されてないよ…………むしろやっちゃったし」
「え? 何か言った?」
「な、何でもないわ! は、早く行きましょう」
そう言って朋華は足早に先に進んでしまう。
同じ班の子二人も赤西と朋華の様子の変化に気がつき気になっていた。
「なんか変だよね? あの二人」
「やっぱりそう思う? なんかお互い避けてるじよね?」
「そうそう、絶対なにかあったのよ!」
「おまえらもそう思うか?」
そう言って會話にってきたのは繁村だった。
「繁村もそう思う?」
「あぁ、絶対おかしいだろ? バレー部の鈴木にバスケ部の佐伯もそう思うだろ?」
「なんで説明口調なのかしら?」
「気にするな、それよりもなんかこのままってのも気持ち悪くねーか?」
「どう言うこと?」
「折角の修學旅行だ、喧嘩中の奴らが班に居たら、こっちも気を使って楽しむどころの騒ぎじゃないだろ?」
「まぁ、そうだけど……」
「俺に言い考えがある」
繁村はそう言うと、三人を集めて説明を始める。
*
「え? トイレ?」
「あぁ、俺と土井はトイレに行ってくるから、し荷を見ててくれ」
「あぁ、別に良いぞ」
繁村と土井はそう言って、赤西を駅のベンチで待たせ、トイレに走る。
殘ったのは、赤西と朋華。
そして子二人だったのだが、この二人も……。
「ごめん朋華。私たちもトイレ行ってくるね」
「え、二人も? じゃあ、私も……」
「いや、朋華はここで待ってて!」
「え!? わ、私もトイレ行きたいんだけど……」
「良いから! 朋華はここで待ってて!」
「な、なんでそんな必死なの?」
「じゃ、じゃあよろしく!」
「あ、ちょっと!!」
鈴木と佐伯もトイレに行ってしまい、赤西と朋華は取り殘されてしまった。
「………」
「………」
二人の會いだに気まずい空気が流れる。
お互いに視線どころか、顔も會わせようとしない二人。
仕舞いには、二人ともスマホを弄り始めてしまった。
(くそっ! あいつら早く帰って來いよ!!)
(なんでこうなるのよ! ただでさえ昨日の事があって気まずいのに!!)
互いに同じような事考えながら、お互いに背を向けてスマホを作する。
しかし、そんな沈黙に耐えられない赤西は、何か言った方が良いのかと考え始める。
(か、考えてみれば、昨日のあれはつき合ってくれって意味だったのか? それなら返事をしないと俺が悪者になっちまうし……あぁ!! モテた事ないからわっかんねぇよ!!)
赤西はそんな事を考えながら、ちらちらと朋華を見る。
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