《甘え上手な彼3 秋編》第40話

赤西も顔を赤くしながら、朋華の顔を見る。

外は秋になり、寒くなったはずなのだが、二人の溫は高くなっていた。

「き、昨日の事だけど……」

「お、おう……」

「わ、私……ずっと前から!」

(あぁ……來たぞおい、ついに來ちまったぞ! 大言われることは想像がつくけどよぉ)

真っ赤な顔の朋華を見ながら、赤西はそんな事を思う。

赤西は正直、朋華をあまり異として意識した事がなかった。

だからこそ、朋華の気持ちを知ってから、赤西はずっと考えていた。

朋華の事を自分はどう思っているのだろうと……。

「あ、あんたの事……す、す……」

(あぁぁぁ! 早く言え私!! もう既に恥ずかしくて死にそうなんだから! 早く言って終わらせろぉぉぉ!!)

「す、す……」

「す……?」

「す……スケベだと思ってたのよね!」

「………は?」

(本當に何言ってるのよ私ぃぃぃぃぃ!!!)

朋華がなかなかちゃんと言葉に出來ずにいると、赤西は朋華を見て首を傾げる。

(やべー……俺、こいつの考えてることわかんねー……)

「だ、だからなんだよ……」

赤西は肩をがっくりと下げながら、朋華に尋ねる。

朋華は話しをごまかす為に、いつもの強気のじで答える。

「ど、どうせ湯覗こうとか考えてたんでしょ!? 馬鹿!」

「うっ! ひ、否定はしねーけどよ……それと昨日のあ、あれと何が関係あるんだよ!」

「そ、それは……そ、そう! スケベな事を私にすれば、あんたが犯罪を犯さなくてすむと思って……」

「………」

(私は本當に何を言ってんだぁぁぁぁ! これじゃあただの癡じゃないの! 健輔も健輔よ! しは私に気を使いなさいよ!)

(え? マジでこいつ何言ってんの? 何? それじゃあ俺は西城に々エロいことしても良いってこと? それはそれでうれし……って違うだろ俺!!)

「お、おまえなぁ……いい加減に……」

「い、言われなくても分かってるわよ!!」

「おまえは昔から、なかなか本音を言わねーしな。 小三の遠足の時も……」

「う、うるさいわね!! 告白しようとしてる子に向かって何よその言いぐさは!! だからモテないのよ! あーあ! 何でこんな馬鹿好きになったんだろ!!」

「うるさい馬鹿! 自分がモテるからって調子に乗るな! 訳の分からんことばっかり言いやがって! そんなに言うならもむぞ! むぞ!」

めるもんなならんでみなさいよ! どうせそんな度無いくせに!!」

「え……も、んで良いんすか?」

「なんでそこだけマジな反応なのよ! やっぱりスケベじゃない!!」

「それが男ってもんさ」

「どや顔で言ってんじゃないわよ!!」

先ほどまでにあの雰囲気はどこへやら、赤西と朋華はすっかりいつもの二人に戻ってしまう。

二人はひとしきり互いを罵りあった後、ようやく落ち著きを取り戻す。

「な、なんでこんな話しになったんだっけ?」

「わ、私が聞きたいわよ」

「お、俺もだよ」

「あっそ……で、つき合うの?」

「この流れで聞くなよ……」

「う、うるさいわね! 良いからつき合いなさいよ!」

「強引かよ……」

「ど、どうするのよ……え、エッチなこともす、しなら……良いわよ」

「え、マジで!?」

「だからなんでそこに反応するのよ!」

「お前が言ったんだろ!」

「言いましたけど、何か文句あります!?」

「開き直るなよ……告白ってもっとドキドキするものじゃねーのかよ……全然そんなじしないんだけど……」

「で、どうするのよ……」

「………じゃあ、つき合うか」

「………うん」

「お、おい。急にそんなしおらしくなるなよ!」

赤西の返事に、朋華は顔を真っ赤にして答える。

先ほどまではいつも通りだったのに、赤西と朋華の間にはまたしても沈黙が訪れる。

「か、帰るか……」

「……うん」

俯いた狀態の朋華に赤西はそう言い、再び旅館に向かってあるき出す。

こんな狀態でこれからどうやって朋華に接していけば良いんだろうと考えていると、朋華に袖を摑まれる。

「あ、あのさ……」

「な、なんだよ……」

「で、出來るだけいつも通りで過ごしてよね……へ、変に意識することも無いから」

「わ、わかってるよ」

「あ、あと……名前で……呼びなさいよ」

「え? あ、あぁ……と、朋……華」

「な、なによ……」

「「………」」

恥ずかしさのあまり、二人は顔を赤面させて黙り込む。

「な、なんか言えよ……」

「な、何をよ……」

「なんかだよ」

「なんかってなによ」

「とにかく沈黙が嫌なんだよ」

「仕方ないでしょ……恥ずいんだから……」

「な、何恥ずかしがってんだよ……」

「あんたも顔真っ赤じゃない……」

「うるせぇよ……」

二人は互いに視線を合わせ顔を赤く染める。

月が綺麗な京都の夜。

朋華と赤西はようやく互いにしだけ、素直になることができたのかもしれない。

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