《甘え上手な彼3 秋編》第41話

赤西達が良い雰囲気になっている頃、高志達は部屋でゲームをしながら、赤西の帰りを待っていた。

「帰って來たらどうなったか聞かないとな」

「そうだな、俺たちにも迷を掛けたんだ、當然だな」

「俺は嫉妬であいつを殺してしまいそうだ」

しは友達の幸せを願ってあげようよ」

ボードゲームで遊びながら、三人は赤西の話しをしていた。

土井も三人の會話から、なんとなく赤西が何をしに行ったのかに気がつき始めていた。

「てか、流石に遅いな……のど乾いて來た」

「じゃあ、自販機で飲み買ってこようか?」

そう提案したのは泉だった。

泉はそう言うと立ち上がって、財布を手に取る。

「みんな何が良い?」

「泉に任せるよ、悪いな」

「うん、じゃあ行ってくる」

「頼むね〜」

泉は財布を持って、部屋を出て自販機に向かい歩き始める。

歩きながら、泉はもしかしたらまた由華に會えるのではないかと期待していた。

しかし、自販機の前に由華は居なかった。

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「ま、そんなに人生上手く出來てないよな……」

泉はそんな事を思いながら、自販機にお金をれる。

「えっと……」

「あ、私はこれね」

「え?」

ボタンを押そうとした泉よりも先に、誰かが自販機のボタンを押してしまう。

誰が押したのかと泉が見ると、隣にはいつのまにか由華が居た。

「また、飲み買いに來てたの?」

「う、うん。ついでにみんなの分もね……」

「そうなんだ、大変だね〜。あ、これお金、勝手に押しちゃってごめんね」

華はそう言うと、泉にお金を渡して、飲みの蓋を開けて飲み始めた。

「はぁー! お風呂上がりはやっぱり冷たいだよねぇ〜」

ゴクゴクと由華は購した飲みを飲む。

そんな由華をぼーっと見ていた。

「ん? 私の顔をに何かついてる?」

「あ、いや! そ、そういう訳じゃないんだ、ごめん!」

「なら別に良いけど……あ! そんな事よりも! 泉君の好きな人、早く教えてよ!」

「え!? な、なんで?」

「気になるからよ!」

華は目をきらきらと輝かせながら、泉にそう言う。

もちろん泉は言える訳などない。

なぜなら、泉の好きな相手は目の前に居るからだ。

「ご、ごめん。本當に勘弁してくれないかな……」

「え〜! じゃあ、ヒント頂戴!」

「ひ、ヒント? た、例えば?」

「男かかみたいな!」

「いや、男って答える訳ないよね?」

「いや、もしかしたら同姓者かもしれないし」

「僕はの子が好きだよ!」

「私はの子も好きよ!」

「そんなカミングアウトされても……」

どや顔でそう言ってくる彼に、泉は苦笑いで答える。

「はぁ……紗彌は相変わらず八重君に夢中だし……私って男の子好きになれるのかな……」

そんな事を呟く由華の隣で、泉は複雑な気分だった。

自分のことはそう言う対象で見てはくれないのだろうか?

泉はそんな事を考えながら、全員分の飲みを買い終える。

門さんって……どんな人がタイプなんですか?」

「え? うーん……わかんないなぁ〜、強いて言うなら……優しい人かな?」

「そ、そうなんだ」

「まぁでも、誰だってつき合うなら優しい人がいいよね? 泉君もでしょ?」

「え? う、うん……ま、まぁ……」

泉はそう良いながら、由華の事を考えていた。

華から見て、自分は優しい男なのだろうか?

そんな事を考えながら、飲みを飲む由華の橫顔を見る。

「泉君なら大丈夫だよ」

「え? 何が?」

「好きな人、居るんでしょ? 泉君なら大丈夫だよ、優しいしカッコいいから、絶対にオッケー貰えるよ! だから自信持って!」

「あ、あぁ……ありがとう……」

その相手が自分自であってもだろうか?

泉は複雑なで、ニコニコ笑う由華の顔を見る。

「私はダメだなぁ〜、こんな格だし」

「そんな事無いと思うけど……」

「え〜、じゃあ私の良いところ十個言って見ろよ〜」

「えっと、すごい一生懸命だよね?」

「え? マジで言うの?」

「いや、多分言えるけど……」

「なんだよぉ〜もしかして私の事大好きかぁ〜」

そう言ってからかうように言ってくる由華。

そんな由華の言葉に、泉は顔を真っ赤にして黙ってしまう。

「え……な、なんでそんなマジ反応……」

う由華。

そしてそんな泉の表を見て、由華は気がつき、泉と同様に顔を真っ赤にする。

「な、なんだよぉ……そ、そんなは、反応したら……か、勘違いしちゃうぞ……」

「い、いや……か、勘違いじゃ……ないよ」

「うっ……ご、ごめん!」

「あ!」

華は顔を真っ赤にして部屋に戻って行った。

泉はそんな由華の背中を見送る。

「……振られた?」

ごめん、その一言が泉の頭の中でやまびこのように鳴り響いていた。

そんな泉を置いて、逃げるように走り出した由華は、ダッシュで部屋に戻り、部屋の前でうずくまっていた。

(い、泉君が……わ、私を……)

顔を真っ赤にしながら、由華は先ほどの泉の顔を思い出す。

「う、う〜……」

考えたら急に恥ずかしくなってきた由華。

うなり聲をあげながら、部屋の前で小さくなっていると、部屋のドアが開いた。

「由華? 何してるの?」

「さ、紗彌〜……私、わからないよぉ〜」

「え、え? きゅ、急にどうしたの?」

華は紗彌を見た瞬間、そう言って紗彌に抱きつく。

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