《甘え上手な彼3 秋編》第43話

「おい赤西、スマホなってるぞ?」

高志達の部屋では、赤西への質問責めが続いていた。 しかし、そんな時赤西のスマホに著信がり、一同は急に靜かになる。

赤西はスマホを取り出し、布団から飛び出るとコソコソ電話を始めた。

もちろん気になった同室の高志達は、電話の相手が気になって赤西の近くで會話を聞こうと試みる。

「も、もしもし」

赤西は若干息を切らしながら電話に出る。

『わ、私……だけど……』

電話の相手は朋香だった。

つい數時間前に彼になったの子からの電話。

赤西はなんだか変な気持ちだった。

「な、なんだよ……急に」

『べ、別に何でも無いわよ……』

「な、何でもないなら掛けてくるなよ」

『は、はぁ!? か、彼からの電話でしょ! ありがたく応対しなさいよ!』

「な、何が彼だ! つい數時間前までは他人だろ! それに彼として扱ってしいなら、もっと可げをだな……」

『なによ! 自分の彼でしょ! 世界で一番可いくらい言いなさいよ!』

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「あぁ悪い、俺は噓はつかない主義だ」

『どう言う意味よ!!』

「世界で一番可いのは、お前以外にも居るってことだな」

『そんなの私だって知ってるわよ!! しは彼に気を遣うって事が出來ないの!?』

「お前がいつも通りにしろって言ったんだろうが!!」

『いつも通り過ぎるのよ! しはアンタも……

赤西の様子を見て、同室の高志達はがっくりと肩を落とす。

なんだいつも通りじゃないかと思いながら、早々に興味を失い、みんなでボードゲームを始める。

「なんだよ、結局付き合ってもいつも通りじゃん……」

「あーつまんね」

「うぃ~、何がリア充だバーロー!」

二人の関係が変われば、二人の反応の変化を楽しめるかと思った一同だったが、あまりにも期待外れで落膽していた。

「高志と宮岡が付き合った時は、面白かったんだがな……」

「あぁ、言えてる言えてる」

「そうだったの?」

「そっか、泉は知らないよな?」

「そんなに俺変わったかな?」

高志の言葉に、土井と優一は大きく首を縦に振る。

そんな二人に高志は首を傾げる。

「くっそぉ~……なんで、なんで俺だけぇ~」

「あぁ、繁村がまた泣き出したぞ」

「土井、あの酔っ払いを頼む」

「うい~」

土井は繁村をめ、赤西は喧嘩口調で彼と電話をし、泉はなんだか上の空。

そんな修學旅行二日目の夜も更けて行く。

翌朝、修學旅行三日目の朝。

高志は自分の班の異変に気がついた。

今日は奈良の観なのだが、なんだか班の一部の子と男子の様子がおかしい。

「紗彌、紗彌」

「どうしたの?」

奈良に向かうバスの中で、高志は隣に座る紗彌に尋ねる。

「なんか、門と泉の様子おかしくないか?」

「あぁ……実は昨日ね……」

紗彌は昨日由華から聞いた話しを高志にする。

話しを聞いた高志は、昨日の泉の態度の変化を思い出し納得する。

「だから昨日……」

「そうなの……でも由華ったら、意識しちゃって……」

「目を合わせるだけで張すると……」

「うん、まるで付き合ったばっかりの頃の私達みたいに……」

「なるほどなぁ……」

高志と紗彌がそんな話しをしていると、後ろの座席で話しを聞いていた優一は肩を落としてため息を吐き、隣の土井に話し掛ける。

「なぁ、目の前の馬鹿二人は放っておいていいんだよな?」

「付き合ったばっかりっていうか、まだ付き合って半年も経ってないけどね……」

相変わらずだなと思いながら、優一は窓の外を眺める。

そして、更にその後ろの席では、赤西と朋香が互いに反対方向を見ながら話しをしていた。

「ね、ねぇ……」

「な、なんだよ……」

「なんでこっち向かないのよ……」

「お、お前もだろ!」

「わ、私は外を見てるのよ……そっち何も無いでしょ……こ、こっち向きなさいよ」

「な、なんでお前の方なんて向かなきゃ行けないんだよ」

「な、なんでも良いでしょ! 良いからこっち向きなさいよ!」

「強引過ぎるだろ!」

赤西はため息を吐きつつ、朋香の言うとおりに朋香の方を見る。

朋香は赤西と目が合い、思わず顔を真っ赤にし、窓の方に向き直ってしまう。

「こ、こっち見るんじゃないわよ!!」

「お前が見ろって言ったんだろ!」

「アンタの視線がいやらしいのよ!」

「そんな目でお前を……お前を………見てかも……」

「な、なんでそこ正直なのよ! 変態! ドスケベ!」

「いや、だって……俺らもう人同士だし……これからの事を考えたら……いつかは……」

「ば、馬鹿!!」

「ぐぼらぁ!!」

赤西のそんな反応に、恥心が限界だった朋香は思わず手を出してしまう。

朋香の拳を頬にけ、赤西はそのまま気を失う。

「まったく……馬鹿なんだから……」

そう言って朋香はそっと、赤西の手を握る。

そんな複雑なカップルの後ろの席には、泉と由華が気まずい雰囲気で並んで座っていた。

「………」

「………」

互いに気まずい様子でずっと黙っていた。

泉は振られた事を引きずっており、由華は泉が自分の事を好きだったという事実に困していた。

「な、奈良……楽しみだね」

「そ、そうだね……み、門さんは……奈良は始めて?」

「う、うん……鹿に鹿せんべいあげて見たいなって……」

「そ、そうなんだ……」

「う、うん……」

會話は直ぐに終了し、互いに反対方向を向いてしまう。

泉は振られた事を引きずっており、元気もあまり無い。

そんな泉の様子に由華は気がついていた。

(うぅ……やっぱり泉君元気無い……ちゃんと謝らないと……)

華がそんな事を考えている間にバスは目的地に到著。

奈良に到著した高志達は班に別れて観を開始した。 しかし、高志達の班は盛り上げ役の由華のテンションが低く、班の中はなんだか靜かだった。

「よ、よし! じゃあ鹿公園に行くか」

「そ、そうね! わ、私鹿見るの始めてなの!」

「え、紗彌もなのか!? じ、実は俺もなんだよー!」

「そ、そうだったんだー! お、お揃いだねー!」

周りから見たら馬鹿丸出しのようなオーバーリアクションで、班の空気を明るくしようとする高志と紗彌。

しかし、班の空気はあいかわらずだった。

「なにアホみてーなリアクションしてんだ?」

優一からそう言われ、高志はしイラッとする。

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