《甘え上手な彼3 秋編》第48話
『お、落ち著けお前ら!』
『馬鹿野郎! これが落ち著いて居られるか!』
『今日を逃したら、もうチャンスは無いんだぞ!』
聞こえてくる赤西と他の男子達のやりとりに、湯の子達は若干呆れてしまう。
しかし、朋香はし違った。
赤西が一生懸命に、自分のを他の男子に見られないようにしていると思うと、なんだか守られているようで嬉しくなってくる。
「あの馬鹿……聲が大きいのよ」
「そう言う割りには、顔が嬉しそうだけど?」
「べ、別に嬉しくなんて無いし!」
「ウフフ……はいはい」
焦って真っ赤になる朋香を見ながら、紗彌は笑みを浮かべる。
*
修學旅行最後の夜、赤西はまたしても買い出しに外へ出ていた。
しかし、赤西は旅館の前でウロウロしながら、いつまで経ってもコンビニに行こうとしない。
「遅いなぁ……」
その理由は簡単だ、朋香を待っているのだ。
赤西は事前に朋香と連絡を取り、一緒にコンビニに行く約束をしていたのだが、朋香がいつまで経っても現れず、ソワソワしていた。
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「何気持ち悪いことしてんのよ」
「あ! やっと來たのかよ! 遅れといてその言い草はねぇだろ!」
「うるさいわねぇ……さっさと行くわよ」
「なんだ……と?」
朋香はそう言うと、自然と赤西の手を握りコンビニまで歩き始める。
流石の赤西も、突然朋香から手を握られて驚き、言葉を止めてそのまま朋香に手を引かれて行った。
「……」
「……」
「ねぇ……」
「な、なんだよ」
「何か話しなさいよ、気まずいじゃない」
「い、いや……急に話せ言われてもなぁ……」
「彼氏でしょ、しは彼に気を遣いなさいよ」
そんな事を言われても、赤西は何を話して良いかわからなかった。
朋香との関係も変わり始め、赤西の朋香を見る目も変わってきていた。
今までの口うるさい馴染みが、今では彼だ。
よく見れば普通にだし、スタイルも悪くない。 そんなの子が自分に好意を持っていると考えると、自然と意識してしまう。
「ねぇ……」
「な、なんだよ」
「あんたさぁ……わ、私がそ、その……だ、抱きついたら……嬉しいの?」
「は、はぁ? 急に何を……」
「だ、男子はそういうのが嬉しいんじゃないの!?」
「ま、まぁ……た、確かに嬉しいかもしれないが……」
「じゃ、じゃぁ……ちょっとこっち來なさいよ」
「な、何だよ?」
朋香はそう言って、赤西を近くの公園に連れて行く。 公園は數個の街頭で照らされているだけで薄暗かった。
そんな薄暗い公園のベンチに二人は腰を落とす。
「お、おい。さっさとコンビニ行こうぜ」
「い、良いから! ちょっとそこに座ってなさいよ……」
朋香はそう言うと、赤西をベンチに座らせ赤西の正面に立つ。
「な、なんだよ?」
「……よし」
「よしってなんだよ」
「い、良いから黙ってなさい! 良い! 今から私がすることを誰かに言ったら殺すからね!」
「な、何をする気だよ……」
朋香はそう言うと、そのまま赤西を正面から抱きしめた。
赤西の顔をに抱き寄せ、そのまま優しく赤西の頭の後ろに手を回す。
「おっ! おま……な、何を……」
「い、良いから……喋らないでよ……」
朋香はそう言いながら、赤西を抱きしめ続ける。
赤西は顔を真っ赤にしながら、そのまま固まってしまっていた。
朋香の良い香りや、特有のらかさ、そして朋香の溫をじ、赤西は混し何も考えられなくなってきていた。
「あ、アンタに……この前助けて貰ったお禮……まだして無かったから……」
「きゅ、急にな、なんなんだよ! お、俺の事からかってるのか!」
「違うわよ……私のせいで……アンタ、腕まで……」
朋香は赤西の腕を見ながら、寂しそうな表をする。 自分のせいで赤西が怪我をしたと朋香は思っており。、ずっとそれを気にしていた。
だから、朋香は出來るかぎり赤西の世話をしたかった。
「お、お前のせいじゃねーよ……い、良いから離せ……が俺の顔面に當たってんぞ!」
「馬鹿……當ててんのよ……好きでしょこういうの……」
「す、好きだけどよ……」
「スケベ………」
「そう言うなら離せよ!」
「……好きなのよ……」
「は?」
「……そういうちょっとスケベなとこも含めて……私はアンタが好きなのよ」
「………な、なんなんだよ……」
「うるさいわよ……」
朋香は顔を真っ赤にしながら、赤西を抱きしめ続ける。
赤西もそんな前とは違う朋香の反応にドギマギしながら、朋香のされるがままだった。
「そ、そろそろ離せ……う、嬉しいけど……いい加減にしないと……コンビニに行く時間無くなるぞ」
「良いわよ……コンビニ行くなんてただの建前だし……」
「な、なんでそんな事……」
「アンタに會いたかっただけよ……いい加減気がつきなさいよ……本當に馬鹿なんだから」
「……お、お前……なんかへ、変だぞ」
「うるさいわよ……ねぇ……」
「な、なんだよ……今度は何をする気だ!」
朋香は赤西をから離し、赤西の顔を見る。
赤西の顔は朋香に負けず劣らず真っ赤な顔をしていた。
朋香は、そんな赤西を見てし不安そうな顔で尋ねる。
「アンタ……本當に私の事好き?」
「は、はぁ?」
「ちゃ、ちゃんと言いなさいよ……私の事好きって……」
「な、なんで俺が……そ、そんな恥ずかしい事を……」
「良いから言ってよ……じゃないと……不安なのよ」
いつもと違い、なんだか弱々しい様子の朋香に赤西の心臓は発しそうなくらいドキドキしていた。
そんな朋香を赤西は安心させたいと思い、自分の本音を話す。
「す、好きだ……こ、これで良いか?」
「な、名前も言ってしいんだけど……」
「わ、わがまま過ぎるだろ! これだけでも相當恥ずかしいんだぞ!」
「わ、私のを堪能したでしょ! 良いから言ってよ!」
「あぁ! わかったよ! 好きだよ! 俺は朋香が大好きだよ! これで満足だろ!」
赤西は立ち上がり、勢いで朋香にそう言い、顔を真っ赤に染めて朋香に背を向ける。
そんな赤西の背中に朋香は抱きつく。
「よかったぁ……」
「な、何がだよ」
「言ってくれて……凄く嬉しかった……」
そう言った朋香の瞳には、大粒の涙が流れていた。
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