《甘え上手な彼3 秋編》第52話

「そ、そんな事言われても……」

「わからない?」

「うん……」

「そうよね……私もわからなかったし……」

紗彌は昔の自分の事を思い出しながら、由華に話し始める。

「昔、私が事故にあって高志に助けてもらった時は、まだ高志を好きだったかどうかわからなかったわ」

「そうなの?」

「えぇ……でも、同じ學校になって、々と高志を知っていくうちに……どんどん好きになっていったの……」

紗彌は頬を赤らめながら、自販機の脇の大きな窓の方に向かう。

「由華ももうし、泉君を知ってから答えを出しても良いんじゃ無い?」

「泉君を……知る……」

転校してきたばかりの泉の事を由華は良く知らない。

考えて見れば、どんな料理が好きなのか、どんな趣味を持っているのかも知らない。

知っているのは、名前と學校での様子くらい。

しかも知り合ってまで半年も経っていない。

何も知らない泉の事を由華は始めて、知りたいと思うようになっていた。

「そっか……確かに私……泉君の事何も知らない」

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「うん、だから……」

紗彌がそう言いながら由華の方を向こうとした瞬間、窓の外の中庭を見た紗彌はフリーズした。

そんな紗彌の様子に気がついた由華は不思議に思い、紗彌に尋ねる。

「どうしたの?」

「……た、大変な事態よ……」

「え? 急にどうし……え!?」

華は紗彌の方に寄っていき、紗彌の視線の先にある中庭を見る。

中庭を見た瞬間、由華は思わず聲を上げてしまった。

その理由は……。

「あ、アレって……」

「高志よね……」

「き、キス……してる……よね?」

「由華にもそう見えるのね……」

「お、男同士で……」

「良かった……私の目が腐った訳じゃ無かったのね」

「いや……腐ってた方が良かったかもよ……」

紗彌の視線の先には、高志が誰かとキスをしているように見えていた。

しかも男と……。

「で? どうした? 何かあったか?」

「あぁ、高志に彼が出來てからずっと言おうと思ってたんだ……」

「そうなのか? 何か大切な……」

「高志、僕は君の事が好きなんだ!」

「話しでもあるのか……って……はい?」

高志は倉島のまさかの言葉に耳を疑う。

「えっと……すまん……もう一回言ってもらっても……」

「僕は高志が好きなんだ」

「あぁ……と、友達としてってことな……」

「一人の男としてだよ」

高志はその一言で背中から汗が噴き出すのをじる。 なんと答えたら良いのかわからず、高志は戸ってしまう。

高志はに隠れている優一に視線を送り助けを求める。

しかし……。

(逃げやがったあの野郎!)

既にに優一はおらず、中庭には高志と倉島の二人だけ。

しかも、しづつ倉島は高志に近づきつつあった。

「ま、まて! お前は男だろ!?」

「関係無いよ……子なんて汚らわしい! 男の方が良いと思わないかい?」

「いや待て! この一年でお前に何があった!!」

「高志……僕はずっと……」

「顔を赤らめるな! ジリジリ寄ってくるな! なんか怖い!」

「高志……逃がさないよ」

「や、やめろ! な、何をする気だ!」

高志は倉島に肩を摑まれる。

意外にも強い倉島の力に、高志は倉島の拘束から逃れる事が出來ない。

「高志……」

「な、なんで顔を近づける! やめろ! 落ち著け! 考え直せ!」

「大丈夫……高志も直ぐに目覚めるよ……」

「何が!?」

逃げようとする高志を倉島はガッチリと摑んで話さない。

しづつ近づく倉島の顔から逃れようとする高志。

しかし、高志の健闘空しく、そのは倉島に奪われてしまう。

そして、高志はそのまま倉島の元を離れて走り出す。

「はぁ……はぁ……」

旅館り、高志はそのまま玄関先で崩れ落ちる。

「はぁ……け、汚されちゃった……」

「何やってんだ馬鹿」

「イデッ! な、何しやがる! 人がショックをけてる時に!」

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