《甘え上手な彼3 秋編》第54話
高志はとりあえず、紗彌にメッセージをれる。
先ほどの事は誤解だったと言う説明のメッセージを送信する。
「はぁ……また紗彌を……」
またしても紗彌を悲しませてしまった。
高志はそうそんな事を考えながら、紗彌の返信を待つ。
返信は中々無く、高志は不安になりながら、スマホの畫面と睨めっこをしていた。
そしてようやく……。
「來た!!」
紗彌からのメッセージが返ってきた。
高志は直ぐさま紗彌からのメッセージを確認する。
【旅館の外に來て】
それだけでメッセージは終わっていた。
「よし! 直ぐにいこう!!」
「どうした急に……」
高志はそうびながら、勢いよく布団を吹き飛ばして部屋の外に向かう。
見回りの先生に見つからないように、そーっと隠れながら外に向かう。
高志は無事に外に出ると、紗彌を探した。
し探したところで高志は紗彌を発見した。
紗彌は旅館からし歩いたところにある街頭の下のベンチにいた。
「さ、紗彌……」
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高志は紗彌に近づき聲を掛ける、しかし紗彌はゆっくりと高志の方を向いただけで何も言わない。
「あ、あのな! さっきのアレは本當に誤解なんだ! 信じてくれ!」
「うん、大丈夫……流石に高志がホモじゃないって言うのはわかってるつもりだから」
冷たい聲でそういう紗彌。
本當にわかっているのだろうかと、高志は心不安になりながら紗彌の顔を見る。
「歩こう」
「え、あ……うん」
紗彌は立ち上がり、旅館から離れていく。
高志もそんな紗彌に続いて歩いていく。
「さ、紗彌……あ、あのな! アレは俺も突然のことで……」
「良いから……ほら、早く手つなご」
「あ、あぁ……」
高志は紗彌の手を握り、いつも通り手を握る。
「な、なぁ……どこに行くんだ?」
「さぁ……どこだろうね」
「さ、さっきの事を怒ってるなら謝るから! き、機嫌直してくれよ……」
「謝らなくて良いよ……だって、高志だって無理矢理だったんでしょ?」
「あ、あぁ……」
「さっきは思わず逃げちゃったけど……それなら仕方ないよ」
「わ、わかってるくれればそれで良いんだけど……なら俺たちはどこに向かってるの?」
「とりあえず、この先の公園に行こ」
「わ、わかった」
高志と紗彌はし歩いて、旅館近くの公園に到著した。
高志と紗彌は公園のベンチに座る。
「修學旅行も終わりだね」
「そ、そうだな……」
紗彌は高志の隣にぴったりとくっつき、肩に頭を乗せ、手を握っていた。
いつも通り甘えん坊の紗彌。
そんな紗彌を橫目でチラチラ見ながら、高志は不安な様子で座っていた。
そんな高志に紗彌は話し掛ける。
「ねぇ……高志」
「な、なんだ?」
「ちゅーしよ」
「え!? あ、あぁ……良いけど……」
紗彌に言われ、高志は紗彌の方を向く。
高志から了承を貰うと、紗彌は高志と向き合いキスをする。
先ほどのおぞましい出來事を忘れるくらい、紗彌とのキスは高志にとっては嬉しい出來事であった。
しかし……。
「さ、紗彌……」
「なに?」
「な、長くない?」
「長くないよ? ん……」
「いや、ながい…ん……」
話しをしている途中でも、紗彌は高志の口を自分ので塞いでくる。
何度も何度も繰り返しキスをする紗彌。
いつもなら、こんなに長く熱的なキスをしない紗彌なのだが、今日はなんだか違う。
「さ、紗彌! ストップ! 一回ストップ!」
「なんで?」
「さ、流石に疲れちゃうよ……そ、それに……一応外だし……」
「見られたら困る?」
「そ、そりゃあ……」
「じゃあ、見られないところだったら、何回しても良い?」
「そ、そういう問題じゃ……そ、それに……戻らないと見回りの先生とかに見つかったら……」
「高志は私と居たくないの?」
紗彌は高志に潤んだ瞳でそう尋ねてくる。
そんな聞き方をされては「うん」などとは口が裂けても言えない。
「い、いや……もちろん一緒に居たいけど……」
「じゃあ良いじゃん……」
「ちょ……ちょっと……」
紗彌は高志の隣から、膝の上にまたがり、再び高志のに自分のを重ねる。
「そ、そろそろ満足してくれた?」
「ん……まだ……」
「も、もしかして……さっきのこと気にしてる?」
「……うん」
「うっ……ごめん」
「修學旅行の最後の夜に、彼氏が男とキスしてたらショックだよね?」
「で、ですよね……」
「だから、高志が変な事に目覚めないようにしないと……」
そう言うと紗彌は、高志の手を摑んで自分のにもってくる。
「さ、紗彌!?」
「どう? らかい?」
「や、らかいけど……その……」
「顔真っ赤だよ……」
高志は顔を真っ赤にさせ、そのままフリーズする。 紗彌はそんな高志を見て小悪魔のような笑顔を向ける。
「もっとって良いよ……」
「こ、ここは外だし……」
「外じゃなかったら、ってくれる?」
紗彌のその言葉に、高志は更に顔を赤く染める。
高志は、修學旅行の前もそして今日の晝も、紗彌からの関係を求められている事は知っていた。
付き合い始めてもうすぐで半年、高志は悩んでいた。 そういう事は、もっとお互いを理解してからだと高志は考えており、まだ自分達には早い行為だと思っていたからだ。
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