《甘え上手な彼3 秋編》第55話

「ね、ねぇ……」

「な、何だよ……」

「なんか凄い場面に出會しちゃったんだけど!?」

高志と紗彌が居る公園には、他にも人が居た。

それは赤西と朋香だった。

赤西と朋香は、二人でコンビニに行った帰りに公園を覗いてみたところ、高志と紗彌がキスをしている瞬間に出會してしまい、咄嗟に公園の草むらにを隠したのだった。

「いや……ラブラブなのは知ってたが……」

「何!? あのキス何! なんであんな舌を……」

「き、聞くなよ! そ、そういうアレだよ……」

「アレって何よ! わ、私達がしたのと全然違……」

「お、お前は黙ってろ! てか、覗き見なんて良くないだろ!?」

「だ、だって気になるでしょ!」

「いや……そ、それは……」

「あ! 今八重が紗彌のを!」

「何!?」

朋香の言葉に、赤西は視線を高志達の方に戻す。

赤西と朋香は顔を真っ赤にしながら、高志と紗彌の様子を見ていた。

「な、何してるのよ! あの二人は!!」

「いや……あの……アレだろ……エロい方のキス」

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「エロい方って何よ!」

「だ、だから! する時の……キスだろ?」

「するときって、何をする時よ!」

「だ、だからアレだろ……セックs……」

「何言ってんのよ馬鹿!!」

「ぶふっ!! お前が言えって言ったんだろ……」

赤西は朋香に顔を叩かれ、言葉を止められる。

朋香は顔を真っ赤にしながら、高志と紗彌の様子を興味津々で見ていた。

「な、なんでこんなところであんな! 普通はベッドじゃないの!?」

「俺に聞くなよ! どっちかが外でやる趣味でもあるんだろ!」

「外って何よ! そういう趣味って何よ!」

「だ、だから……外でやる事に興を覚える癖ってことだろ……」

なんでこんな事を説明しなければならないのだろう、そんな事を考えながら赤西は隣の朋香を見る。

先ほどまで凄く良い雰囲気だったのに、結局はこうなってしまう。

「はぁ……」

そんな事を考えていると、赤西の口からは自然とため息が溢れる。

「ねぇ……」

「んだよ」

「あ、アンタも……私にああいうこと……してしいの?」

「は、はぁ!? い、いきなりなんだよ!」

赤西は朋香の言葉に顔を赤くさせる。

「だ、だって……アンタスケベだし……」

「そ、それでも良いって言ったのは、お前だろ……」

「だ、だけど……あ、あのキスは……まだ……私には無理……」

「そ、それは……わかってるよ……」

互いに気まずくなり、赤西と朋香は互いに顔を反対の方向に向ける。

「……む、くらいなら……別に……」

「え!? マジ!!」

「や、やっぱりダメ! 目がエロい!」

「し、仕方ねーだろ! 俺だって男なんだよ!」

朋香は自分のを隠しながら、顔を赤くする。

そんな朋香の仕草をいつもの赤西だったら気にも留めなかった事なのだが、先ほどの事があったからか、そんな朋香の仕草でさえも、可く思えてしまう。

(何だこいつ……か、可いじゃねーか……)

「な、何よ……」

「な、何でもねーよ」

思わず見過ぎてしまった赤西。

朋香はそんな赤西の視線に気がつき、ジト目で赤西を見ながら尋ねる。

「も、もう行こうぜ……」

「そ、そうね……あんまり見てても悪いし……アンタが変な気を起こしそうだし……」

「起こすか!」

そんな事を話しながら、赤西と朋香はその場を離れる。

「あいつら……公園でしないよな……」

「何考えてるのよ」

「いや、あんなの見ちまったら考えちまうだろ」

「もう……アンタはスケベなんだから……」

「うるせぇな……」

そう言いながら、赤西はそっと朋香の手を握る。

その瞬間、朋香はビクッと肩を震わせる。

「な、なんだよ……ダメかよ……」

「だ、ダメなんて……言ってないわよ……」

朋香は顔を真っ赤にしながら、赤西の手を握り返す。

「さ、紗彌……あの……こ、こう言うことは……外でやるべきことでは無い気がする……」

「私は高志が相手ならどこでも良いわよ」

「だ、ダメだよ!」

「なんで?」

紗彌は大きな瞳で高志を真っ直ぐ見ながら尋ねてくる。

そんな紗彌の事を相変わらず可いなと思いながら、高志は答える。

「だ、だって……そんな人に見られたら……」

「私は高志しか見えないから良いもん」

「い、いや……他の人に紗彌のを見られるのが……嫌っていうか……」

高志のそんな言葉に、紗彌はきゅんとしながら、またしても小悪魔のような笑みを浮かべて、高志の頬に手を添える。

「うふふ……高志は私を一人占めしたいの?」

「そ、そりゃあ……紗彌は可いし……で、でもあんまり束縛する気はないぞ!」

「私は高志に束縛されたいなぁ……」

「な、何言ってんだよ……」

紗彌はそんな高志の首を抱きしめ、耳元で囁く。

「高志になら……私は何をされても良いよ……」

高志は心臓の鼓が早くなるのをじながら、たどたどしい手つきで紗彌の背中に手を回す。

「さ、紗彌……その……外はやめよう。な? 修學旅行から帰ったら……か、必ず……その……するから」

「本當?」

「うん……本當」

「……ん……じゃあ、約束ね」

「う、うん」

そう言うと、紗彌はもう一度高志にキスをし、高志の膝の上から下りる。

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