《擔任がやたらくっついてくるんだが……》お買い

「ありがとうございました~」

僕は學校の授業で使う水著のった袋を片手に、足早に店を出た。

よかった。間の部分が破れてるのに気づいて……プールは男別だけど、それでも恥をかくことに変わりないからな~。

さて、せっかくショッピングモールまで來たことだし、本屋とかゲームショップでも覗いて……

「こんにちは、淺野君」

「あっ、こんにちは。森原先生…………先生っ!?」

的に挨拶を返したけど、その姿を見て驚きの聲を上げてしまう。

真正面から軽やかな足取りで歩いてきていたのは、僕のクラスの擔任・森原唯先生だ。いつものスーツ姿だから、すぐにわかった。

「奇遇ね。淺野君もお買い?」

「そうですね、もう済んだんですけど。えーと、先生も何か買いですか?」

「ええ。それで君を見かけたから聲をかけたの。ここはスポーツショップみたいだけど、君は何かスポーツをやってるの?」

「あ、これは授業で使う水著ですよ」

「そう……水著……」

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先生は口元に手を當て、何考える素振りを見せる。何を考えてるのかはわからないが、先生の持つ知的な貌をより一層引き立たせる仕草に、ついつい視線を逸らせずに魅ってしまった。通り過ぎる人も何人か先生をチラ見している。

しばらくそうしていると、ほんのし周りの賑やかな音が遠ざかった気がした。

……何だろう、この覚……。

その答えに行き當たる前に、先生が口を開いた。

「……そう言えば、私もそろそろ水著を買おうと思っていたのよ」

あ、やっぱりいつも通りだ。唐突すぎる。まるで今この場で思いついたかのようだ。

でも、先生の水著姿かぁ…………いや、何で妄想を始めてるんだ僕は。危ない危ない。

ちなみに、競泳水著でもビキニでも、余裕で妄想可能でした!!

「どうかしたの?顔赤いけど」

「な、な、何でも、ないです!」

「そう……じゃあ、もし時間があるなら、今から水著を選ぶの手伝ってくれないかしら?」

「え?…………ええ!?」

な、な、何で僕に!?

先生からの突然の申し出に、いつも通り慌てふためいてしまう自分がいる。いや、これは仕方ないだろう。

せ、先生の水著選び?な、何でいきなり……。

すると、先生は寂しそうに小首を傾げた。

「ダメかしら?」

「い、いや、でもさすがに……ほら、一緒に水著を選んでるとことか誰かに見られたら……」

僕と先生が付き合ってるなんて考える人はどこにもいないだろうけど、それでも休日に先生と生徒が……っていうのは大丈夫なんだろうか?今さらな気もするけど、ここは人目もあるし……。

すると、先生はまたしの間考える素振りを見せ、意を決したように頷いた。

「……そうね。ここでし待っててくれる?」

「え?あ、はい……」

先生はくるりと背を向け、颯爽と歩いて行き、そのまま人波に紛れ、あっという間に背中が見えなくなった。

……どうしたんだろう?

*******

數分後……。

「お待たせ」

「え……あ……」

戻ってきた先生の姿に、僕は口をパクパクさせるだけで、上手く言葉を紡げなかった。

目の前にいる先生は、眼鏡を外し、Tシャツに青いデニムというシンプルな服裝になっていた。手に持っている袋には、おそらくスーツがっているんだろう。ていうか、わざわざ買ってきたのか……。

もう一度よく見ると、眼鏡を外した先生はやっぱり綺麗過ぎて……シンプルな服裝も、かえってそのスタイルを引き立たせている。

そして何より……眼鏡をかけたスーツ姿のクールなイメージとは違い、今は快活な魅力に満ちあふれていた。

「…………」

ぼーっと見ていると、先生がすっと顔を逸らした。頬がほんのり紅い気がする。

「……あまりじっと見られると、恥ずかしいのだけれど。前も言ったように、眼鏡をかけないのは落ち著かないから」

「す、すいません!」

もしかして、眼鏡をかけていない狀態は、あまり見られたくないのかな?

まあ何にせよ、これで水著を……ん?

「あの……先生……」

「何?」

「やっぱり僕、の水著売り場に行くのは遠慮したいと言いますか……」

「大丈夫よ。私がいるから」

「え?そうは言われましても、の人しかいなかったら、気まずいというか……」

「大丈夫よ」

……何が?

*******

さっきは、スーツ姿じゃない先生となら並んで歩くのも大丈夫だと思ったけど……

「うわ、すっげえ人……」

「あの人、モデルかな?」

「蕓能人みたい……」

「beautiful!!」

うん、これはこれで……歩きづらいです。さらに……

「隣にいるの男は……」

「何というか……」

「Oh……」

『釣り合ってない』

わかってるよ!

自分が一番わかってるから!!それ以上言わないで!!泣くぞ!!!

「ねえ、淺野君」

「は、はい」

「その……私達は端から見て、どんな関係に見えるのかしら?」

「え?」

「姉弟……かしら?」

「ど、どうでしょうか?」

「それとも……」

「っ!」

先生が突然腕を絡めてきた。

ふわりと甘い香りに包まれ、肘の辺りにかならかいが押しつけられる。

途端に自分の中の何かが強烈に脈打ち、顔が熱くなった。

「せ、先生……」

「何?」

「いや、その……腕……」

「二人で歩くのだから、腕を組まないのは不自然でしょう?」

それは絶対に違う……!

何だろう……眼鏡を外して雰囲気を変えただけで、なんかいつもと行まで別人……いや、くっついてくるのはいつも通りか。

僕は數秒間瞑目し、しでも気持ちが落ち著くよう……うん、やっぱ無理だ。

「ほ、ほら……二人って言ってもんな組み合わせがありますし……」

「そうね。とりあえずこのまま歩きましょう」

何故!?とは口にできなかった。

「先生、あの……」

「気にしないで。さあ、行きましょう」

「え、ちょっ……」

先生にやや強引に腕を引かれ、僕はそのまま水著売り場まで連行された。

*******

、どしたの?顔赤いけど」

「あ、あ、淺野君が……めっちゃ人と……腕、組んでる……」

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