《擔任がやたらくっついてくるんだが……》勉強會

「淺野君……好きよ」

「せ、先生?」

真っ直ぐすぎる視線と聲に乗せた、突然すぎる告白。

僕は全に電流が走ったような覚げして、微だにすることもできなかった。

完全に真っ白な頭の中に浮かぶただ一つの事実。

まさか先生が……僕の事を……す、好き?

そうこうしているに狀況は変化する。

先生は僕との距離を詰め、上目遣いで優しい視線を送ってきた。

しの間、目を閉じてなさい」

「え?」

聲のトーンはやわらかいが、こちらに否定はさせないような口調で告げた後、口元を小さな笑いで緩めた先生は僕の顔を両手で挾み込む。こ、これって……

「あとは私に任せて」

「先生……」

「目を閉じて」

「は、はい……」

僕は目を閉じ、先生を……

「起きて、淺野君!」

「っ!?」

慌ててを起こす。

すると、ふわふわした淡い夢は雲散霧消し、慣れ親しんだ教室の風景が目に飛び込んできた。あれ?何だろう、この殘念な気分は……

「やっと起きた。おはよ」

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「え?あ、奧野さん……」

ハキハキした聲のする方に目を向けると、セミロングの茶っぽい髪と人懐っこそうな笑顔がそこにある。僕はようやくいつもより1時間早く登校したことを思い出した。

「珍しいね。こんな時間から來てるなんて。まだ私達以外誰も來てないよ?」

「あはは……まあ、その……たまには、ね」

「もしかして、夜眠れなくて勢いで早く學校へ來たはいいけど、席について落ち著いたら眠たくなったとか?」

「うっ……」

全くもってその通りです。

ていうか、モテない思春期男子のにあんなことがあって何もないわけがない。まだそこまで悟りを開いていない。

僕の反応を図星とけ取ったのか、奧野さんは得意げに笑い、前の席に腰を下ろす。

それと同時に、柑橘系の爽やかな香りが、ふわりと鼻腔をくすぐった。

は教室の扉をちらりと確認した後、僕に向けて頭を下げてくる。

「その……昨日はいきなりごめんね。なんか、つい……」

「あ、いや、その……別に気にしないでいいから。僕もほら、全然大丈夫だし」

本當はまだ混気味ですが……。

そんな僕の返事に、奧野さんは急にそっぽを向いて、窓の外に視線を向けた。

「それはそれで問題なんだけど……」

「えっ?」

「何でもない。ねえ、淺野君……」

「何?」

「淺野君は、先生の事、どう思う?」

「え、ど、どうって……」

「もしかして、好きなの?」

「はい!?」

タイムリーな質問に、心臓が飛び出すような焦りをじながら、窓の外の景と奧野さんを互に見る。

朝一でこんな質問が來るなんて、誰が予想できるだろう?

すると、何かに呼び起こされるように、ベッドで仰向けになった先生の表が……

「あっ、いきなり変なこと聞いてゴメン!私、ちょっと用事済ませてくる!」

「あ、うん」

奧野さんは立ち上がるなり、ものすごいスピードで駆け出し、教室を出て行った。

リア充の人って、こんな朝っぱらから予定が詰まってるのか……。

時計に目をやると、まだ朝のホームルームまで30分以上時間がある。どうやらもうひと眠りできそうだ。さっきので目が覚めたから、眠れるかはわからないけど……。

僕は再び機に突っ伏し、とりあえず目を閉じた。

*******

「朝っぱらから寢言で『先生』とか言ってるもんなぁ……さすが先生、強敵……」

私はポケットの中に手をれ、淡い緑のハンカチを取り出す。

「……うん。頑張ろう」

*******

「おはようございます」

朝のホームルームが始まり、先生が教室にってくると、一気に空気が引き締まり、本當の意味で一日が始まる。

ただ今日はしだけ違った。

「…………」

先生の視線がちょいちょいこっちを向いてくる。

普段はくっついてくるものの、何度も視線を向けてきたりはしない。

そのことに僕は違和を覚えた……けど……。

こっちはこっちで、昨日の出來事や今朝の夢やらで、まともに目を合わせられない!

一度考え出したら、頭の中が散らかってどうにもならなくなりそうなので、固く目を閉じ、思考を中斷……いや、これも無理だ。眠ってると思われるから。

ていうか、もしかして……先生、昨日の事を気にしてるんじゃ……いや、あの時は……でも、僕に気を遣ってくれただけかも……。

そりゃあ、誰だって好きでもない相手からあんな事されたら嫌に決まってるし……。

うん、決めた。今日の夜、謝りに行こう。

*******

「淺野君!」

放課後になり、テストも近いので真っ直ぐ帰ろうとすると、奧野さんから聲をかけられた。

「奧野さん、どうしたの?」

「あの……そろそろ期末テストでしょ?もしよかったら、一緒に勉強しない?」

「え?い、いいけど。ただ僕の績じゃあ、奧野さんの役にはあまり立たないかも……」

「全然大丈夫だよ!その……誰かが一緒の方が集中できるというか……」

「そっか。じゃあ図書室行こうか」

「う~ん、いくらあの図書室でも、この時期はもう混んでるかも」

「え!?そんなことあるの!?」

「そりゃあね、てかさらっと失禮だね。ふふっ」

「あはは……」

「補習室はどうかしら?」

「「っ!!」」

いつの間にか、先生が僕達の背後に立っていた。

梅雨のジメジメなど吹き飛ぶような涼しい表のまま、眼鏡の位置を整え、僕達をじっと見つめる。

奧野さんは何故かジト目で先生を見ていた。

「私が勉強を見てあげるわ」

「いいんですか?私達だけ特別とか」

「教室の後ろの壁にってあるプリントを見てないのかしら?テスト前の特別授業の告知なんだけど。誰も來なくて、どうしようかと思っていたの」

後ろを振り向くと、確かにプリントがセロハンテープでり付けてあった……いつの間に。

*******

誰もいない廊下を、先生と奧野さんが並んで歩く後ろ姿を眺めながら、またまた想定外の狀況になった事に、心穏やかじゃなくなる。

せめてもうし時間を置いてからの方が……なんて言ってられないか。

前の2人は話に夢中のようだ。

「先生、ちょっと強引すぎやしませんか?」

「全然そんなことはないけど」

「今日は私に譲ってくれてもいいんじゃないですかね」

「時間は有限よ。誰かに譲る時間なんて1秒たりともないわ」

「……ケチ」

「何のことかしら」

「まあ、いいですけど」

「……二人って仲良いんですね」

「「…………」」

「あれ?な、何か二人共、目が……」

えっ、何?すごい怖いんだけど……。

*******

「じゃあ、始めましょうか」

長機に、右端から僕、先生、奧野さんの順番で座り、教科書やノートを広げる。正直、張しまくりだけど、勉強に集中していれば、この時間は乗りきれるはず……!

すると、奧野さんが手を挙げるのが見えた。

「あの、先生」

「何かしら」

「何で先生が真ん中に座るんですか?」

「教師だからよ」

「……それらしい事を言ってるようで全然納得できない理由なんですが」

「じゃあ、始めましょう」

「ちょっと待ってください!異議あり!」

何が理由かよくわからないまま、席を決めるのに10分近くかかってしまった。

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