《擔任がやたらくっついてくるんだが……》火花
夏休みにり、僕はクーラーの効いた部屋で一日中ゲームを……できずに、學校の図書室で真面目に勉強していた。
正面には森原先生。
隣には奧野さん。
他には司書の先生が、奧の司書室で読書しているだけだ。
外からセミの鳴き聲や部活をやっている人達の掛け聲が聞こえてくるけど、それらもどこか遠く、室は靜寂が保たれていた。
それと同時に、じろぎ一つさえ遠慮するような張も……。
「ごめん、淺野君、ちょっと消しゴム借りるね」
「はい、どうぞ」
「…………」
「先生?」
「いえ、何でもないわ」
「むむっ」
「…………」
今、目の前でバチッと火花が散ったような……気のせいだよね?
何だろう、この空気……背筋にゾクゾクと悪寒が……エアコンが効き過ぎてるのかな?
このままでは何かに押し潰されてしまいそうだったので、僕は無駄だとわかっていながら、とりあえず提案してみる。
「あの……そろそろ終わりにしませんか?」
「「ダメ」」
にべもない返事に僕はがっくりと項垂れる。どうしてだ。どうしてこうなった。
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昨晩……。
攜帯がいきなり震え、誰かと思い、畫面を確認すると、思いもよらぬ人の名前が表示されていた。
僕は深呼吸し、落ち著いて通話狀態にする。
「……はい」
「もしもし淺野君。今大丈夫?」
「え?あ、奧野さん!はい、こんばんは!!」
「わっ、びっくりしたぁ!……ど、どうしたの?いきなり大きな聲出して……」
終業式の日に連絡先は換したけど、まさか本當にかかってくるとは思わなかった。
「淺野くーん、どうしたの、大丈夫?」
「あ、ごめん。同級生から連絡網以外で電話がかかってくるなんて初めてで、つい……」
「え?あ、うん、あの……今のは哀しくなるから聞かなかったことにしておくね。あの、実は……」
あれ?し引かれたような……いや、気にするな。
「その、今度……」
「?」
何かを躊躇うような沈黙に首をかしげていると、意を決したように息を吸うのが聞こえてきた。
「こ、今度!一緒に夏休みの宿題終わらせない!?」
「え、あ、は、はい……」
そのいきなりの大聲と有無を言わさぬ迫力に、考える余裕もないまま了承してしまう。
「あぁ……わ、私ったら……本當は……」
何故か彼のき聲が聞こえてきた。
「奧野さん?」
「え?ううん、何でもない、何でもないよ!じゃあ、いつにしようか?」
こうして、まず奧野さんと一緒に夏休みの宿題を終わらせることになった。それにしても奧野さんって本當に勉強熱心だなあ、見習わなくちゃ。
*******
「なんつーか、アンタ……本當に勉強熱心ね……」
「違うのよ~!本當はデートにいたかったんだってば~!」
*******
再び攜帯が震えだしたので畫面に目を向けると、今度は森原先生からだ。念の為『ああああ』と登録してあるので、なんか変なじだ。そういえば先生は僕の名前を何て登録してるんだろう?
攜帯を耳に當てると、すっかり耳に馴染んだ聲が聞こえてきた。
「淺野君、今いいかしら?」
「せ、先生……はい、大丈夫です」
いつも通りの凜とした聲音に、つい居住まいを正してしまう。電話越しだからか、その聲はやけに無機質な響きがした。
それと同時に、先日の花火大會のことを思い出す。
……あのってやっぱり……。
「淺野君?どうかしたの?」
「いえ、いきなりだったので。その……僕、何かやらかしたんでしょうか?」
「違うわ。聲が聴きたかったから電話してみただけよ」
「え?」
「冗談よ」
「で、ですよねー……」
よしっ、今のは冗談だって何となく気づけた!
そんな些細なことに喜んでいると、先生が淡々と告げた。
「淺野君、明日學校に來なさい」
「あはは。先生、また冗談ですか?」
「いえ、これは冗談ではないわ」
「…………え?」
「実は、一學期最後の小テストなんだけど、君は解答欄を全てずらして解答してたの」
「え?」
「それで、明日午前中だけ補習を行おうと思うのだけれど」
「……ええ!?」
相変わらずだが、いきなりすぎる!てか、あの小テストって補習があったのか!?
「もちろん、夏休み中だから用事があるなら無理にとは言わないけど……ただ、君のお母さんはアイツに用事なんてないと言ってたわ」
「は、はい……」
確かに……まったくもってその通りだ。
とはいえ、夏休みに學校に行くのは気が進まない。部活にもってないのに。
何かやる気を出すアイディアは……あ。
「そ、それじゃあ、図書室を使って補習とかできますか?」
「君から提案なんて珍しいわね。どうかしたの?」
「ええ。考えがありまして」
「?」
*******
當日。
図書室の片隅で、僕はこまっていた。
「淺野君」
「これはどういうことかしら?」
「え?ほら、こっちの方が効率いいなと思って……宿題は終わるし、わからないところは教えてもらえるし……図書室だから調べもすぐにできますし」
あれ?我ながらナイス判斷だと思ったんだけど……もしかして……いや、この二人が仲悪いわけが……きっと全てまとめて済ませようとした僕の怠慢が責められているんだろう。
申し訳ない気持ちになっていると、奧野さんはにこやかに、先生はクールに向かい合っていた。
「じゃあ、先生……よろしくお願いします」
「ええ、それじゃあ始めましょう」
そして今に至る。
勉強は進んでいる。それは間違いない。小テストはきっちり満點を獲れたし、宿題も順調に進んでいる。でも、何だろう……テスト勉強の時もそうだったけど、普通の授業とは質の違う張が……。
「淺野君、ここ間違ってるわ」
「あ、はい!っ!」
返事をするのと同じくらいのタイミングで、ふくらはぎを先生の腳がでていく。
甘なが足を優しく刺激して、何だかが癒されていく気がした。
「淺野君?ん?あっ!先生、今、淺野君に変なことしてませんでした!?」
「何の事かしら」
「むむっ、あ、淺野君、ちょっとノート見せて!」
「え?あ、うん」
奧野さんが椅子をこちらにかし、距離を詰め……か、肩がめっちゃ當たってる。しかも、柑橘系の爽やかな香りが鼻腔をくすぐりだして、落ち著かない気分になる。
「奧野さん、し離れなさい」
「わ、私はノートを見せてもらってるだけです!」
「…………」
「っ」
このタイミングで先生から足マッサージきた!!
片や奧野さんは周りをキョロキョロ見回し、一人で頷いた。まるで誰もいないことを確認しているみたいだ。
「あの、先生こそ、やけに淺野君に構いますね」
「別に。普通よ」
「じゃあ!わ、わ、私の距離も普通です!」
奧野さんはさらにくっついてくる。
ど、どうしよう、肘の辺りにが……。
先生ほどじゃないけど、それでも確かならかさと弾力のある膨らみは、僕の頼りない理をガンガンすり減らした。
「……淺野君」
先生がじっと僕を見て、いや睨んでくる。おそらくお前が自分でどうにかしろという事だろう。
「えっと、奧野さん……?」
「…………」
今度は奧野さんが至近距離から見つめてくる。長い睫が揺れ、切なげな瞳はしっかりとこちらを見據え、僕は二の句をつげなくなる。
視線を逸らし、先生に目を向けると、無表のまま、薄紅のが小さくき、二文字の言葉を形づくった気がした。
『ばか』
や、やばい、どうすればいいのか皆目見當がつかない。
あわあわと二人を互に見て慌てていると、いつの間にか背後には司書の先生が立っていた。
「貴方達……図書室では靜かになさい」
「「はい」」
「……すみません」
ひとまず、今日の勉強會はこれでお開きとなった。
*******
「あ~やっちゃった~!絶対に変なだと思われてる~!」
「でも、肩、大きかったな…………ふふっ」
*******
「へえ、森原先生にも意外な一面があるのね?」
「……何の事でしょうか、先輩」
*******
「ふぅ……ようやく解放された……」
勉強に付き合ってくれるのは嬉しいんだけど、夏休みにってから1週間も経っていないのに飛ばしすぎた。宿題はかなり進んだけど、意味なくダラダラ過ごすのも、休みの醍醐味だと思うんです……。
考えながら自転車を漕いでいると、もう家が見えてきた。
さて、昨日買っておいたかき氷でも食べよう……。
午後のダラダラに思いを馳せ、ドアノブに手をかけようとしたその時、誰もいないはずの家から、誰かが出てきた。
「あ~!お兄ちゃん帰ってきた!」
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