《擔任がやたらくっついてくるんだが……》風呂上がり
先生の素晴らしい料理の腕前や、若葉の手伝いもあり、夕食の支度は思っていたより早くできた。
途中から若葉が先生をずっと見てたけど、やっぱり先生くらい人だと、子から見ても憧れるんだろうなぁ。食いるように見てたし。普段から見てる僕やクラスの皆でも、授業中に見とれることがあるからなぁ。
「……お兄ちゃん、さっきから先生の方見すぎ」
「えっ、いや別に……」
「このオッパイ星人。変態。オッパイ星人」
「違うよ!何言ってんだよ!しかも、オッパイ星人って二回言ったな!」
「大事なことだから二回言いました。若葉だって、あと3年たもすれば……」
若葉はぷんすか怒りながら、皿をテーブルに運ぶ。まったく……確かに見てたけど、別に変なことを考えていた訳じゃなくて……しかも、オッパイ星人とか……僕はそんなんじゃ……。
「…………」
何の気なしに視線を先生に向けると、まったく同じタイミングで先生がこちらを向き、視線が思いきりぶつかる。
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先生は、こちらに考えを悟らせないクールな表のまま、首を傾げた。
「……そうなの?」
「ち、違います!違いますよ!」
「……そう」
先生は自分の元に視線を落とし、そこに手を置いた。かな膨らみに細い指が微かに沈み、瑞々しい弾力がそこにあるのを想像してしまう。
今そんな仕草を見せられると、自然とこちらの目が、そこに引きつけられてしまう。
そこで、若葉が間にってきた。
「ああ、もう!二人共、はやく食べようよ!」
*******
3人で作った料理の味に満足し、片付けを終え、ひと息つくと、先生が洗面所の方へ向かい、すぐに戻ってきた。
「お風呂の方はいつでもれるわ」
「いつの間に……」
ていうか、お風呂の用意までしてくれたのか……先生にここまでしてもらってはさすがに申し訳なさすぎる気が……。
僕が「ありがとうございます」と頭を下げていると、はやく汗を流したいのか、若葉は嬉しそうに立ち上がり、僕に抱きついてきた。
「じゃあ、私る~♪もちろん、お兄ちゃんと!」
「いや、一人で大丈夫だろ」
「え~!いいじゃんいいじゃん!…………ダメ?」
ささっと目の前に來て、うるうるとした瞳と上目遣いの合技を披してくる若葉。正直これには僕も弱い。去年は、気がついたらケーキを買わされてしまった。
僕の様子を見て、もう一押しすればいけると思ったのか、若葉はさらに距離を詰め、鼻先に息がかかる位置まで顔を寄せてきた。近い。
すると、突然若葉のが宙に浮く。
いつ移したのか、若葉の背後に回っていた先生が、ひょいっと抱き上げていた。
「若葉さん、そこまでよ。祐一君が困ってるわ」
「うう~、離して~!」
若葉がじたばたと暴れても、先生のホールドが強すぎるのか、びくともしない。
「お兄ちゃんからも何か言ってよ~!若葉と一緒にお風呂りたいって言ってよ~!」
それはさすがに言えない。
だってロリコン認定されるから。
さらに、若葉を抱きかかえた先生が、凍てつく波でも放ちそうな瞳を向けてくるから。
とはいえ、妹分をここで無礙に扱うのも気が進まない。
「あの……先生、別に風呂ぐらいなら大丈夫ですよ」
「…………」
若葉は喜んでいるが、その聲が耳にらないくらいに視線が冷たい。何だろう……エアコン効き過ぎてるのかなぁ?
場の空気を取り繕うようにエアコンのリモコンを確認しようとすると、先生がゆっくりと口を開いた。あれ?顔が赤いような……。
「じゃあ、條件があるわ」
「?」
「……祐一君が、変なことをしないように……私が見張ります」
…………………………………………………………え?
*******
はい。結局、先生と若葉が二人で風呂にることになりました。
何というか……皆さん、ヘタレでごめんなさい……誰に謝ってんだろう、僕は。
それよりも、今、我が家の浴槽には先生が……當たり前だけど、その……は、で。
考えるだけで、妙に顔が熱くなり、頭の中に鮮明な映像が浮かんでくる。
そういえば……ちょっと前に僕の後ろでになってたんだよな……その後、水著姿まで見たし……。
「こ、これ以上考えるのは止めよう!」
あえて口に出すことで、何とか思考を斷ち切り、とりあえず腕立て伏せを始めた。何でかはわからないけど。
一回、二回、三回と繰り返しているに、徐々に意識が腕の筋に集中していき……
「お兄ちゃ~~~~ん!」
ドタバタと騒がしい足音が近づいてきたので、腕立て伏せを中斷し、顔を向けると、バスタオルを巻いただけの姿で、湯気をほこほこ立たせながら、こちらに駆け寄ってきた。
「はぁ……そんな格好で出てくるなよ」
「無反応!?お兄ちゃん、この格好を見て何とも思わないの!?」
「いや、だって小さい頃から見慣れてるし」
「はっ……お兄ちゃん、もしかして……枯れ……」
「言わせないよ!?だから見慣れてるって言ったじゃんか!」
「ふぅん。じゃあ、これはどう?」
若葉はタオルのすすっと捲り、太ももをぎりぎりの部分までわにし出した。どこで習ったんだ、そんなの。
と、そこで……
「若葉さん、何をやっているの?」
「げっ!」
「はぁ!?」
「私が髪を洗っている間に逃げ出したのね。ダメじゃない、そんな格好で」
「せ、せせせ、先生!そ、その格好!」
先生は、若葉とまったく同じ格好をしていた。
普段はスーツに包まれた、かな曲線を描く完璧なスタイルを、今は薄っぺらいタオルで1枚で包んでいる。
全的にきとおるような白いは、まるで品のようで、わになった深いの谷間や、しなやかな腳からは、飾りのように幾つもの水滴が煌めいていた。
心音がを突き破って、周りに聞こえそうなくらいに高鳴り始める。
目を離さなきゃいけないのに目を離せない。
先生は僕の視線に気づいたのか、タオルを持つ手をぎゅっと握りしめた。
「……タオルを巻いてるから、気にしないで」
無理です。
先生の上気した頬がさらに赤くなり、やや伏し目がちになる。
それがこちらにも伝わり、より一層顔が熱くなる。手で顔を仰いでみても、もちろん熱いままだ。
そんな僕の様子を見ながら、先生は若葉に手招きした。
「若葉さん行きましょう。髪をきちんと乾かさないと」
「は~い……わわっ」
渋々踵を返した若葉は、畳の上に置かれていた新聞紙に足をらせた。
それを見て反的に、若葉が頭を打たないように、自然とがく。
しかし、若葉は前のめりに倒れ……
「きゃっ!」
「っ!」
咄嗟に先生のに巻かれたタオルを摑んだ。
そして、若葉に摑まれたタオルはあっさりと床に落ちる。
彼に駆け寄ろうとした僕の目の前にあるのは先生の……
「いたた…………あ」
「「…………」」
鼻の辺りに熱いものをじるのと同時に、僕の意識はぷつりと途切れた。
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