《擔任がやたらくっついてくるんだが……》プール行こうよ!

「ねえねえ!お兄ちゃん、プール行こうよ!」

賑やかな朝食を終え、洗いを片づけて一息ついたところで、若葉が提案してきた。まあ、昨日あんなに宿題を頑張ってた事だし、そのぐらい連れて行ってやってもいいかもしれない。ていうか、そのぐらいしないと、年上の面目が立たない。

「いいよ。じゃあ、行こうか。水著は持ってきた?」

「もちろん持ってきてるよ♪お兄ちゃん好みのとってもセクシーなやつ!」

「はいはい。じゃあ、準備できたら行こうか。晝ご飯も向こうで食べればいいし」

「うん!やったぁ♪」

「……じゃあ、私も水著をとってくるわ」

「わっ!びっくりしたぁ!」

いつの間にか背後に立っていた先生に、若葉が驚いて飛び退く。本當に気配消すの上手いんだよなぁ。裏でスパイや忍者をやっていたとしても不思議じゃない。

「どうして驚いてるの?」

「あっ、いえ……先生、今日は休みなんですか?」

「ええ。その…………私も一緒に行っていいかしら?」

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先生が遠慮がちに尋ねてくる。

斷る理由などないので、僕はすぐに勢いよく頷いた。決して邪な気持ちはないことはわかってほしい。

「もちろんですよ!」

「お兄ちゃん、鼻の下がびてる……」

「ち、違うよ!こういうのは人數が多いほうが楽しいから……」

「噓だ!お姉さんの水著姿見たいだけでしょ!お兄ちゃんのエッチ!」

僕と若葉の言い爭いを余所に、先生はドアノブを握りながら、こちらを振り返った。

「じゃあ、この前の水著持って行くわ」

「……この前の水著?何の話?」

「いやいや、何でもない何でもない!さっ、早く若葉も水著に著替えて!」

「いやいや、ここで著替えてどうすんの?落ち著いてよ。あ・せ・り・す・ぎ!」

一人テンパる僕に、若葉がしらっとした視線を向けてくる。いや、仕方ないじゃん。先生がいきなりあんな事言い出すから……いや、別に若葉なら知られても……よくないな。試著室での話とか特に……。

「さっ、いやらしい顔してないで、お兄ちゃんも早く準備して!」

若葉に背中をバシバシ叩かれながら、僕は先生の水著姿を思い出していた。

*******

うわぁ……。

私が住んでる町では考えられないくらい大きなプールだなぁ。

波が出るプールや、アスレチック付きのプール。ウォータースライダーなんかがあって、プールにる前からテンション上がりまくりだよ!

でも、最初の驚きは別のものに向けられていた。

「若葉さん。どうかしたの?」

「いえ、何でもありません!」

何なの、あのは!!

昨日、お風呂でも見たけど、ボンッ!キュッ!ボンッ!じゃん!完璧じゃん!若葉の理想じゃん!羨ましすぎるよ!

なんか周りのの人達も、著替えながらこっちをチラ見してるし……。

「ねえ、あの人、モデルさんか何かかな?」

白~い」

「スタイル良すぎじゃね?」

「めっちゃ人……」

お姉さんは、周りのそんな視線なんかまったく気にならないみたい。まあ、この人はお兄ちゃんにさえ見てもらえればいいんだろうね。

それより…………何でこの人、お兄ちゃんの事が好きなの!?

おかしいよ!あのお兄ちゃんだよ!?

だし、スポーツはダメダメだし……もう若葉がお嫁さんになってあげるしかないと思ってたお兄ちゃんが……!

理由を聞きたいけど、お風呂の時は誤魔化されたし……

昨晩……

『あの……』

『?』

『どうしてお兄ちゃんの事が好きなんですか?』

『何の話かしら』

『え?……お兄ちゃんの事……好きですよね?』

『何の話かしら?』

『だって、あんなにをくっつけて……』

『…………』

『あっ、何布団に潛ってるんですか~!』

まあ、今はいいや。どうせ今日でお兄ちゃんは年下の魅力に目覚めるわけだし。

*******

「お兄ちゃん、お待たせ~!」

適當な場所で待っていると、若葉の聲が聞こえてきたので振り返……

「……お待たせ」

「せんせ……ゆ、唯さん」

衝撃のあまり、名前呼びを忘れて、先生と呼んでしまうところだった。

白い水著と白いが眩しすぎて……直視するのを躊躇ってしまう。

その水著姿はやっぱり綺麗で……普段の真面目でクールなスーツ姿とのギャップが激しくて……ビキニタイプだから出が激しいはずなのに、束ねて元に垂らした黒髪から醸し出される雰囲気は、清楚な大和子そのもので……

視線をあちこち彷徨わせていると、先生が距離を詰め、顔を至近距離から見つめてきた。

「大丈夫?熱中癥かしら」

「あっ、いや、全然大丈夫です!はい!」

しどろもどろになりながら返事をしていると、背後から膝カックンをされ、転びそうになる。

「お兄ちゃん。ここに可い年下のがいるのに、何でさっきから、描寫がないのかな?」

「ご、ごめん……ていうか、若葉。その格好……」

若葉は、學校のスクール水著に真ん中に平仮名で大きく『ひだか』と書かれたワッペンを取り付けていた。何ていうか……普通に小學生だ。

そして、本人はやたらドヤ顔を見せつけている。

「へっへーん。これでお兄ちゃんは若葉にイチコロだって聞いたもん!」

「だ、誰に?」

「パパ」

叔父さん……あなたは自分の娘に何を教えているんでしょうか?母さんか叔母さんに言いつけますよ?

「……君はああいうじの水著が好きなの?」

「違います」

先生、ちょっとでも信じないでください。あと「著てもいいけど」とか言わないでください。

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