《擔任がやたらくっついてくるんだが……》何でヒロインに年下キャラがいないの!?

「今日はお仕事…………彼が若葉さんと二人っきりになる…………でも、行かなきゃ………」

「じゃあ、眠ってる間に行ってきますの……いえ、さすがにそれは……昨日、あんなにアプローチしたし……」

*******

「お兄ちゃん、このゲームは何?若葉に説明して」

「…………まだ朝6時なんだけど」

どうしてすっかり著替えて、僕の上にがっているんだ、こいつは。昨日の出來事もあって、あまり眠れてないのに……。

僕は、眠たい目を何とかこじ開け、欠混じりに若葉が差し出してきたゲームを手に取る。

それは、この前先生に薦められるままに買ったゲームと、同じ制作會社が去年発売したゲームだ。中古で安く売っていたから買っていたのだ。

「お兄ちゃん、ダメだよ……」

若葉は何だか殘念そうに目を伏せる。まあ、確かに従兄がこういうゲームをやっているのは、あまりいい気分はしないのかもしれない。

とはいえ、やめるつもりもないけど。先生からの課題でもあるし。

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「若葉。個人の趣味にあれこれ口を出すのはよくないよ。お兄ちゃんだって、こういうゲームを通じて、心をしでも理解しようという勉強熱心さがあるからこそ……」

「違うよ。そんなクソみたいな事はどうでもいいよ」

なんかちょっと汚い言葉で罵られた……!

しょっくに打ちのめされていると、若葉は僕にゲームをつき出してきた。

「何で……何で、このゲーム……ヒロインに年下がってないの!?」

「そこ!?」

確かにこのゲーム、攻略キャラは皆同い年か年上だ。大抵のシミュレーションゲームは年下のヒロインがいるんだけど、このゲームはやや年上推しな気がする。

しかし、そんなこと言われたって……。

「お兄ちゃん、おかしいよ!こんな可い年下ヒロインが傍にいるのに、ゲームですら攻略しないなんて!」

「若葉、落ち著け。お前は今、よくわからないことを言ってるから」

「しかも……ヒロインに教師が……!!」

「たまたまだよ」

「……何だか、お兄ちゃんが洗脳されている気がする」

若葉は何やらブツブツ言いながら、ようやくをどけてくれる。しかし、もう完全に目が覚めてしまったので、ひとまずだけ起こすことにした。

「先生はもう仕事に行ったのか……」

「うん。殘念だったね。先生、眠ってるお兄ちゃんの隣で著替えてたよ」

「え、本當に!?」

「ウ・ソ♪」

「…………」

やめてくれよ……お前まで……。

「じゃあ、お兄ちゃん。朝飯食べたら、二人で私が持ってきたゲームやろうよ」

「ああ、いいよ。シューティングゲーム?パズルゲーム?」

「じゃ~ん!これだよ♪」

「えーと、どれどれ……これ、シミュレーションゲームじゃんか……」

そもそも二人でやるゲームではない。もっと言うなら、従妹が薦めてくるゲームでもない気が……。

「これ……一人でやるゲームじゃんか。つーか、何でお前、こんなの持ってんの?」

「お父さんのベッドの下にあったよ!」

「…………」

聞きたくなかった!

叔父さん、何やってんの?いや、娯楽は自由だけど、隠すならちゃんと隠そうよ。ベッドの下とか……それじゃあ、僕と一緒か……。

「あれ?確か叔父さんって、叔母さんより年下じゃなかったっけ?」

「うん、なんか無いものねだりって言ってたよ♪」

「そ、そうなんだ……」

「最初は年下だと思ってたらしいよ。話した後で、お小遣いもらっちゃった♪」

「…………」

今、日高家の闇を垣間見た気がする……僕も後で叔父さんからお小遣いをもらおう。

「さ、お兄ちゃん。そんな話は置いといて、朝飯食べたら、ゲームするよ!」

「えっ?だから、まだ朝の6時……ちょっ、おま……ジャージ引っ張らないで!シャツがそうとしないで!」

*******

若葉に言われるままに顔を洗い、朝飯を食べ、ゲームをセットした僕は、ソフトの説明書を読み、ヒロインの設定だけ頭にれた。

「本當に全員年下なんだ……」

「何、そのやる気なさそうな言い方。年下の魅力に気づかないなんて、お兄ちゃんの人生損しかしてないよ」

絶対にそんなことはない。

昨日だって先生のはだ……いや、思い出すな、しかし、忘れたくはない!

「お兄ちゃん?」

「いや、何でもないよ」

かぶりを振って、ぽわぽわと浮かんでくる昨日の映像を振り払う。しかし、全部を振り払う事は出來なかった。今、説明書をパラパラ捲っている右手には、先生のがしっかり蘇っていた。

さらに、元にもらかなと……

いや、待て待て……!!

「あ~もう!!何、一人で顔真っ赤にしてるの!?」

*******

「おっはよ~ゆいゆい!!!」

「……楠田先生。朝から元気なのは結構ですが、頭をわしわしでないでください」

「なになに?やけに他人行儀ねえ?せっかくMAXハイテンションで話しかけてあげたのに」

「職場ですから」

「でも、その職場の廊下で、さっきまで顔赤くして思い出し笑いしながら歩いていたのは誰?」

「お、思い出し笑いなんて……」

「あの子ににおっぱいでもらせたとか?」

「っ!」

「あなた、いだらすごいもんね~」

「……私が生徒にそんなふしだらな真似をするはずないじゃないですか。學校とは神聖な場所で、教師と生徒の関係というのは……」

「これほどわかりやすいウソもないわね。ま、頑張りなさい。何かあったら、この経験富なお姉さんに相談してね♪」

「……ありがとうございます。二つしか歳変わりませんけど」

*******

「よし……私は帰ってきた……!」

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