《擔任がやたらくっついてくるんだが……》言い訳
「そう……そんなことがあったのね」
僕の説明を聞いた森原先生は、口元にを當て、ふむふむと頷く。まあ、仕事から帰ってきて、いきなりあんな事を言われても訳わからないだろう……奧野さんと若葉は苦笑いしていた。
先生はゲーム畫面を確認し、何度か頷いてから、ゆっくりと口を開く。
「淺野君」
「あ、はい……」
「お疲れ様」
先生は僕に向き直り、やわらかく微笑んだ。
さっきのゲームのキャラクターよりしく、生々しく、輝く微笑は、當たり前のように心を揺さぶり、顔が熱くなるのをじる。
ちなみに、何を労われているのかはわからない。
「お姉さん……めっちゃ喜んでる」
「まあ、擔任教師の反応としてはどうかと思うけど……」
2人のヒソヒソ聲に反応した先生は、今度はそちらに向き直った。
「奧野さん。帰宅を早めてよかったの?あなたの家族はもっとあなたと家族の時間を過ごしたかったと思うのだけど。確かに友人との時間は大切だし、一度しかない高校生活だから、そういう時間を楽しみたい気持ちはわかるけど……」
Advertisement
「また……いいことは言ってるんだけど……うん、もういいです」
「そう……」
先生、奧野さんの家族のことまで考えて……流石だな。なんというか……さっきゲームのキャラクターと比べたのが、申し訳ないくらいだ。奧野さんとのやり取りは何故かたまにハラハラさせられるけど。仲良いはずなのに。
先生は帰りがけに買ってきたがったスーパーの袋をし掲げた。
「じゃあ、夕飯の支度を始めましょうか」
「そういえば、先生が食事作りに來てくれてるんだよね。朝飯もそうだったの?」
「うん!お姉さん、私よりもずっと早起きだよ!私が起きた頃には布団が畳まれてたし……」
「へえ…………ん?ちょっと待って。布団?どういうこと?」
奧野さんの視線が僕の方を向く。その視線の意味するところは、僕でもすぐにわかった。
しかし、僕が口を開くより先に、先生が學校での真面目な雰囲気で話し始めた。
「保護者役よ。さすがに未年の男の子が、1週間とはいえ、小學生のの子を一人で面倒を見るのは難しいから、私が泊まり込むことにしたのよ」
「ま、またもっともらしい理由を……先生ダメですよ!寢泊まりするなんて!先生、人だし……淺野君が、ま、間違いを犯しそうになったらどうするんですか!」
「大丈夫よ」
奧野さんの當たり前の疑問に先生は即答する。先生……そんなに信用してもらえるなんて……。
僕が心していると、先生は目を細め、さらに続けた。
「考えてもみなさい、奧野さん。彼の格はあなたもある程度理解してるでしょう?彼は私がどんな恰好で眠っていようが、指一本れないわ、確実に」
……あれ?絶大な信頼を得ているはずなのに、何だか責められている気がする……心なしか視線も冷たいような……何でだろう?
「ええ。確かにそうかもしれません。淺野君、鈍だし、そういうとこで度なさそうだし……あっ、ごめんね?その……悪く言うつもりはないんだよ?」
うん。わかってるよ、奧野さん。でも、ちょっと傷ついたのはなんでだろう?き、気のせいだよね?
奧野さんは先生に向かい、さらに言葉をぶつける。
「でも……やっぱりいけないことだと思います!うっかり先生のとか見ちゃったら、淺野君だってオオカミになっちゃうだろうし……!」
「大丈夫だよ?なら一昨日見たけど、何も起きてないし」
「ええ!?若葉ちゃん、本當!?せ、先生……まで見せたんですか!?そこまでやるのはさすがに卑怯です!」
「事故よ」
「せ、説得力が……」
「お姉ちゃん。実は、その件は若葉のせいなの。本當に事故なの」
「そ、そっか…………でも、淺野君、見たの?」
いきなり先日の話を振られ、頭の中に先生のが鮮明に蘇る。
生まれて初めて見たの……そのあまりのしさに「いいからいいから!やっぱり思い出さなくていいから!二度と思い出しちゃダメだからね!?」そんな殺生な……。
「奧野さん。強制はよくないわ。あれは事故だったのだから……もしかしたら、將來的に責任が発生するかもしれないけど」
「後半、小聲でとんでもないことを口走った気がするんですが……」
「私と淺野君は、擔任教師と生徒の関係よ」
「いやいや、今さらそんなんじゃ誤魔化せませんよ」
「とってつけたがすごいよ、お姉さん……」
「…………」
うわぁ、どうしよう……會話にれないや。三人寄ればしいって言うけど、本當にすごいな……ていうか、そろそろお腹空いてきたんだけど。
「と、とりあえず……夕飯にしませんか?先生が帰ってきて、だいぶ時間も経つし……」
「「「…………」」」
3人からの視線を一に集めてが強張るが、何のこれしき……いや、やっぱり怖い。三者三様の視線に込められている意味までは考えたくはなかった。
そんな中、1番最初に沈黙を破ったのは先生だった。
「確かにそうね。祐一君」
あえて名前を強調するあたり、先生のことは唯さん呼びに切り替えなさいということだろう。
「あ、あの……」
奧野さんがもじもじしながら、視線をあちこち彷徨わせている。
…………これは、間違いない。
「トイレならそこをっぉ!?」
いきなり背中に2カ所痛みが走る。い、一何が?
振り向くと、そこには誰もいなかった。
「お姉ちゃんもご飯一緒に食べようよ!」
「う、うん!ありがとう!……ばーか」
「祐一君。あとで追加の課題図書を教えてあげる」
「ええぇ!?」
何でこのタイミングで!?てかこれ以上増やされたら、夏休みどころか冬休みまでかかりそうなんですけど!
三人は僕の方を振り向きもせずにスタスタと居間へと向かう。
この後、奧野さんも一緒に夕食の準備をし、一緒に食べた。
冷たい部長の甘い素顔【完】
冷徹で堅物な部長 話せばいい人なのに みんな分かってくれない 部長には私だけが知ってる素顔がある ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 園部爽(そのべ さわ)28歳 OL × 秦野將軍(はたの しょうい)35歳 部長 ・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・:・:・:*:・ 2020.8.1 連載開始
8 69引きこもり姫の戀愛事情~戀愛?そんなことより読書させてください!~
この世に生を受けて17年。戀愛、友情、挫折からの希望…そんなものは二次元の世界で結構。 私の読書の邪魔をしないでください。とか言ってたのに… 何故私に見合いが來るんだ。家事などしません。 ただ本に埋もれていたいのです。OK?……っておい!人の話聞けや! 私は読書がしたいんです。読書の邪魔をするならこの婚約すぐに取り消しますからね!! 本の引きこもり蟲・根尾凜音の壯絶なる戦いの火蓋が切られた。
8 186男がほとんどいない世界に転生したんですけど
部活帰りに事故で死んでしまった主人公。 主人公は神様に転生させてもらうことになった。そして転生してみたらなんとそこは男が1度は想像したことがあるだろう圧倒的ハーレムな世界だった。 ここでの男女比は狂っている。 そんなおかしな世界で主人公は部活のやりすぎでしていなかった青春をこの世界でしていこうと決意する。次々に現れるヒロイン達や怪しい人、頭のおかしい人など色んな人達に主人公は振り回させながらも純粋に戀を楽しんだり、學校生活を楽しんでいく。 この話はその転生した世界で主人公がどう生きていくかのお話です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ この作品はなろうやカクヨムなどでも連載しています。 こちらに掲載しているものは編集版です。 投稿は書き終わったらすぐに投稿するので不定期です。 必ず1週間に1回は投稿したいとは思ってはいます。 1話約3000文字以上くらいで書いています。 誤字脫字や表現が子供っぽいことが多々あると思います。それでも良ければ読んでくださるとありがたいです。 第一章が終わったので、ノベルバでこの作品を更新するのはストップさせていただきます。 作者の勝手で大変申し訳ないです。 続きを読みたいと言う人は……是非カクヨムなどで見て欲しいです。
8 197獻身遊戯 ~エリートな彼とTLちっくな戀人ごっこ~
女性なら誰もが惹かれるイケメン銀行マンの穂高清澄(ほだかきよすみ)は、『ミスターパーフェクト』と呼ばれている。 取引先の社員である日野愛莉(ひのあいり)は、ひょんなことから彼とエッチをする関係になってしまった! トラウマから戀愛ご無沙汰だった二人は、胸をきゅんきゅんさせながら手探りの戀人ごっこにハマっていき──?
8 56婚約破棄予定と言われたので透明になって見たら婚約者の本性を知り悩んでいます
侯爵家令嬢の私…イサベル・マリア・キルシュは昔からの親同士の決めた會ったこともない婚約者ニルス・ダーヴィト・シャーヴァン公爵令息様と 16歳の學園入學の際にラーデマッハ學園で初めてお會いすることになる。 しかし彼の態度は酷いものだった。 人混みが嫌いでこの世から消えたいと思い透明薬の研究を進めてついに完成したイサベルは薬で透明になり婚約者の本性を知っていくことに…。
8 116【連載版】無能令嬢と呼ばれ婚約破棄された侯爵令嬢。前世は『伝説の大魔女』でした。覚醒後、冷遇してきた魔法學園にざまぁして、國を救う。
短編版の連載開始です。序盤の方から短編にない新キャラ等も登場予定です。 魔法王國で唯一魔法が使えない『無能令嬢』リンジー・ハリンソン。ある日、公衆の面前で婚約者アンドルー王子から婚約破棄を言い渡される。學院ではいじめられ、侯爵家である家族には冷遇され、使用人からもいびられる毎日。居場所のない日々だったが、ある日謎の旅人に出會い、『伝説の大魔女』だった前世の記憶がよみがえる。そして、伝説の虛(ゼロ)級魔法使いとして覚醒。とりあえず、學院でいじめてきた生徒たちを圧倒。掌返しをするアンドルーも拒否。家族や使用人にもざまぁします。さて、次はなにをしよう……と悩んでいたら、國王陛下から呼び出し?國を救って欲しい?辺境の魔物討伐?とりあえず、褒美を頂けるなら無雙しちゃいましょう。 チート級魔法での無雙あり。ざまぁあり。
8 65