《後輩は積極的》第5話

「ねぇ〜先ぱ〜い」

「なんだよ……」

合コンでバイト先の子高生と出會うなんて、偶然と言うのは怖い。

実ちゃんはなんだか楽しそうな様子で、俺の膝をで回していた。

いや、どこのキャバ嬢だよ。

俺はそんな事を考えながら、一気に楽しくなくなった合コンをどうやって抜け出すかを考えていた。

「先輩……もしかして帰りたいとか考えてます?」

実ちゃんが小聲で言ってくる。

俺は周りを見て、無言でうなずく。

「じゃぁ、私と抜け出しちゃいますか?」

「え? 良いのか?」

「えぇ、一人で抜け出すよりも、二人で抜け出した方が自然です」

「自然? 何がだ?」

「良いから、みんながカラオケに夢中になってる今のうちに……」

そう言って実ちゃんは、俺の背中を押して部屋から出る。

一応、金は機の上に置いてきたし、問題は無いだろう。

みんなそれぞれで楽しんでいるようだし、これでやっと帰れる。

そんな事を思っていると、実ちゃんが俺の背中をとんとんと叩いてきた。

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「殘念でしたね先輩」

「嬉しそうに言わないでもらえる? はぁ……折角來たのに、こんなに早く終わるなんて……」

カラオケ店を出て、俺は実ちゃんと駅に向かってあるいていた。

時刻はまだ晝をし過ぎた位の時間で、俺はこれからどうしようかと考えていた。

「先輩どうせ今から暇ですよね?」

「どうせとか言うのやめてもらえる……まぁ、暇だけど」

「なら遊びに行きましょうよ! 折角ですし!」

「いや、実ちゃんは験生だろ? 全く、帰って勉強しなさい」

「バイト先のパートさん達に言いふらしますよ? 子高生狙って、先輩が合コンに來てたって」

「うっ……お、脅すのかよ……」

「別にぃ〜、私は脅しているつもりはありませんよ?」

「はぁ……まぁ、確かに用事がないのも事実だし、良いよ。仕方無いからつき合うよ」

「やった! じゃあ、行きますか!」

実ちゃんはそう言うと、俺の手を引いて先に進んでいく。

なんで合コンに來たはずが、こんな事になってしまったのだろうか?

「あぁ〜楽しかった!」

「ど、どれだけ買うんだよ……」

俺は実ちゃんの買いにつき合わされ、日が暮れるまで荷持ちをさせられていた。

「最近の高校生は金持ってるのなぁ」

「そりゃあ稼いでますからね」

「だからって買いすぎでしょ……」

俺は大量の荷をベンチに置き、実ちゃんと公園のベンチで一休みをしていた。

「いやぁ〜今日は連れ回しちゃってすいませんねぇ〜」

「本當に悪いと思ってるなら、しくらい持ってよ」

「え〜嫌ですよぉ〜、私はか弱いの子何ですもん」

「へぇ〜か弱い……ねぇ……」

「なんですかその目は?」

「別に……」

か弱いとはほど遠いと思うのは俺だけだろうか?

俺は苦笑いをしながら、笑顔で尋ねてくる実ちゃんから目を反らす。

「さて、そろそろ帰ろうか」

「はい、もちろん送って行ってくれますよね?」

「その當たり前のじ、やめようよ……」

俺は肩を落として実ちゃんを家に送っていき、家に帰った。

「はぁ……今日は散々だったな……」

折角の合コンだったと言うのに、何もないまま終わってしまった。

まさか実ちゃんが、居るなんて思いもしなかった。

「はぁ……まぁ良いか。俺には當分、そう言う縁は無いのかもな……」

俺はそんな事を考えながら、自分のアパートの階段を上がる。

「ん、家の前に誰か……って、まじかよ」

俺は自分の部屋の前で、インターホンを連打する相手に顔をひきつらせる。

「ま、間宮先輩……」

「あ、帰って來た」

「な、何かご用でしょうか……」

間宮子(まみや みこ)さん、俺の大學の先輩であり、ミスコンで優勝するほどの貌を持っている。

「合コンだったんですってねぇ〜」

「せ、先輩には関係無いじゃないですか……」

「岬君、君が學校で何って言われてるか知ってる?」

「知りませんよ」

「私のか、彼氏なんて言われてるのよ? そんな君が合コンなんて行ったら、私が捨てられたみたいになるでしょ?」

「な、ならないと思いますよ……俺と先輩はつき合ってないんですから」

「君がそう言ってても、周りはそう思わないの! 良いからご飯! 早くしてよね!」

「そんな橫暴な!」

俺に安息の地は無いのだろうか?

そんな事を考えながら、俺は自分の部屋に先輩と一緒にっていく。

「うふふ〜」

今日の私はすごく機嫌が良かった。

嫌々行った合コンで、まさか先輩と會えるなんて。

しかも、そのままデートまで出來ちゃうなんて、本當に運が良かった。

「先輩……」

私は口元を歪め、ニヤニヤしながら今日の先輩の様子を思い出す。

「可かったなぁ〜」

私が近づいただけで、先輩は顔を真っ赤にしていた。

そんな可い先輩も私は大好きだ。

「はぁ……會いたいなぁ……ずっと一緒に居たいなぁ……」

私はそんな事を思いながら、バイトのシフトを確認する。

翌日、俺は大學で合コンを主催した友人に聲を掛けられた。

「おう、昨日はお疲れ!」

「あぁ、すぐに抜けて悪かったな」

「いやいや、合コンだし、抜け出す男が居ても不思議じゃねーよ。それよりも……どうだった?」

「は? どうだったって?」

「とぼけんなよ! あの可子高生とやったんだろ?」

俺はその言葉を聞いた瞬間、驚きで目をパチクリさせた。

「や、やるわけねーだろ!!」

「なんだよ、奧手だな。つき合ったんだろ?」

「つき合ってもねーよ! 普通に帰っただけだ!」

「はぁ!? 何もせずにそのまま帰ったのか? なんで合コンに來たんだよ……」

「い、々あるんだよ……」

「まぁ、そうだよな。お前には間宮先輩が居るし」

「違うって言ってんだろ!」

「え? これも違うのか?」

「まったく……誰がそんな事を……」

こんな噂が出回っているから、俺に彼が出來ないのかもしれない……。

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