《後輩は積極的》第18話

「石川さん! 荷持とうか?」

「あ、大丈夫。そんなに重たくないから」

男子達と合流し、私たちは夏祭りを楽しんでいた。

的に金魚すくい、お馴染みの屋臺がところ狹しと並んでいた。

「石川さんは夏休み何してたの?」

「えっと、バイトと勉強かな?」

鬱陶しい……。

正直そんな事を思ってしまうほど、先ほどから男子が代わる代わるに私に話し掛けてくる。

「バイト? どこでやってるの!?」

「えっと……」

「はいはい、男子。実が困ってるでしょ」

「てか、下心丸見えだし」

鬱陶しいと思っていたら、友人の子達が間にってくれた。

ありがたいが、元はといえばこの子達のせいなのだが……。

「私らにも構いなさいよ!」

「えぇ……俺らの目的は石川で……」

「あんたらごときが、実と釣り合う訳ないでしょ」

「なんだとぉ!?」

「大男なんてものはねぇ……」

なんだか良く分からないけど、言い爭いを始めてしまったクラスメイト達。

私は先ほど買ったリンゴ飴を舐めながら、早く終わらないかと様子を眺めていた。

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確かに他にもの子が居るんだから、平等に扱うべきだと思う。

「はぁ……」

私はため息を吐きながら、スマホを取り出す。

すると、スマホSNSには一件の通知が來ていた。

確認してみると、通知の主は先輩だった。

ようやく返信が來た。

私は直ぐにアプリを開いて、メッセージを確認する。

【溫泉ナウ】

そのメッセージと一緒に、先輩が居るのであろう溫泉の寫真が送られて來た。

私はその寫真を見て、思わずニヤケてしまう。

私は直ぐに自分の浴姿を寫真に撮り先輩に送る。

【どうですか? 可いですか?】

寫真とともに、私はメッセージを送る。

すると、今度は直ぐに先輩からメッセージが返ってきた。

【良いと思うよ】

【可いかを聞いてるんですが?】

【可いよ】

【興します?】

【何でだよ】

思わず先輩とのやりとりに夢中になってしまう。

やっぱり先輩とのやりとりは楽しい。

友達と祭りに來ているのを忘れてしまう。

実?」

「え、あぁごめん。終わった?」

「お待たせ! もう大丈夫よ! 実に近づいた男子は、二學期から子全員から無視される事にしたから!」

「酷すぎない?」

私はそんな事を話しつつ、先輩に返信を返す。

【水著姿を想像して、何回しました?】

【何もしてねーよ!!】

「まったく……」

俺は実ちゃんからのメッセージにため息を吐く。

「お、なんだ岬。彼か?」

「違いますよ」

桐谷さんからの言葉に俺はそう答えてスマホをポケットにしまう。

俺たちは現在、全員でお祭りに來ていた。

メンツがメンツなだけにかなり目立つ。

正直あまり目立ちたくない俺からすれば、正直離れて歩きたい。

「なかなか混んでいるね」

「そうっすね、出店も普通だけどなんかテンション上がるっすね」

地元の祭りにしては、結構規模が大きかった。

家族連れやカップルなど、いろいろな人たちが居る。

まぁ、異彩を放っているの俺らだろうけど……。

「蒼! さっきのでカップルは6組目だ! 発させて來て良いか!?」

「蒼、かき氷食べたい」

「岬君、私には綿飴買ってきて」

高部先輩はカップルを見つける度、鋭い視線をカップルに向け、伊島先輩は桐谷先輩にべったりとしがみつき、間宮先輩はいつものように俺にわがままを言ってくる。

「先輩自分で買ってきて下さい」

「いやよ、面倒だし」

「じゃあ食うなよ……」

そんな文句を言いながらも、俺は先輩の言うとおりに綿飴を買いに向かう。

綿飴屋には列が出來ており、並ばなければならなかった。

「先輩め……これを知ってて俺に行かせたな……」

俺は文句を言いながらも列に並び、綿飴を購する。

「はぁ……し並んだな……ってあれ?」

周りを見ると、いつの間にか皆の姿が消えていた。

綿飴を買っているうちに皆は先に行ってしまったらしい。

「はぁ……折角買ってきたのに……しは待ってろよ……」

不満を口にしながら、俺は綿飴にかじりつく。

どうせ、見つけた時には「もうお腹いっぱい」とか言うんだ。

だったら、もったいないので食べてしまおう。

俺は皆を探して歩き始める。

そう遠くには行って居ないと思うのだが、人が多いせいで先が良く見えない。

「はぁ……最悪電話するか」

そんな事を考えていると、突然俺は後ろから両目を塞がれた。

「だ〜れだ?」

この覚は最近経験した。

しかし、この聲の主が俺の予想通りだとしたら、彼はなぜここに居るのか気になった。

「えっと……もしかして実ちゃん?」

「ピンポーン正解でーす!」

その聲と共に俺の視界が明るくなり、目の前に浴姿の実ちゃんが現れる。

「ビックリしたな、友達と來てるの?」

「はい! 先輩こそ、今日はバイトを休んで一人で夏祭りですか? 寂しいですねぇ〜」

「違うわ! 今日はサークル活だ。この後は飲み會」

「へぇ〜、じゃ…じゃあ、他の人も一緒なんですか?」

「あぁ、でもはぐれちゃってね。皆を探してたところだよ。そう言う実ちゃんは? 一人だよね?」

「いやぁ〜私もはぐれちゃって」

「そういうことね……じゃあ、一緒に探すか」

「え!? 良いんですか!?」

「あぁ……々と心配だしね」

「? なんでですか?」

「気にしなくて良いよ」

だってさっきから実ちゃんを狙った男達が、ちらちら実ちゃんを見ているし、話しかけようとスタンバイしている。

実ちゃんはお世辭抜きで可い。

だから、悪い男に何かされないか心配だった。

夏だし、変な奴も多いだろう。

だから俺は、実ちゃんを守る為に、友達の元まで実ちゃんを送り屆けようと決めた。

「じゃあ、行こうか」

「はい! あ、それより先輩、私に言うことありません?」

「言うこと? 何かな?」

「いや、私浴ですよ?」

「知ってるよ?」

「どうですか?」

「あ、うん。可いよ」

「……なんか、社辭令が否めないんですけど」

「まぁ、半分社辭令だし……ってイテテテ!! お腹を抓るのはやめてよ!」

不機嫌そうに頬を膨らませる実ちゃんと、俺は並んで祭り會場を歩き始めた。

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