《後輩は積極的》第23話

「あ、あれって……」

「どうしたんですか?」

「いや、あの店員が……ってイテテテッ!!」

レジの店員を指さした瞬間、実ちゃんは俺の足を踵(かかと)でグリグリしてきた。

「な、なにするんだよ!」

「先輩もうあれですか? バイト先変えますか? そんなに綺麗なの居る店がいいですか?」

「違う違う! そうじゃなくて、あの店員がうちの大學の生徒だって言いたかったんだよ!」

「あ、そうだったんですか? 友達ですか?」

「いや、ただ何回か講義で見かけて……あ、あの痛いからそろそろやめてくれない?」

「あ、すいません。私は痛くないので」

「そうだろうね!!」

なんでこんなに実ちゃんは不機嫌なのだろうか?

さっきまでそんな様子は一切無かったのに、今の実ちゃんは頬を膨らませて、ジト目でこちらを見ている。

「あいつ、ここでバイトしてたのか……」

「隨分綺麗な人ですね!」

「なんで綺麗を強調するかな……」

なんでかは知らないが、怒ってしまった実ちゃんを放って、俺は店員の方を見る。

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名前は古瀬優華(ふるせ ゆうか)。

結構可いから、大學では結構目立っていたと思う。

「まぁ、そう言っても數回話した程度なんだが……」

「へぇー、話したことはあるんですねー」

「そろそろ機嫌直してくれない? なんで怒ってるのか分からないけど……」

「自分で考えて下さい!」

俺と不機嫌な実ちゃんは、食事を終えて店を出た。

実ちゃんはまだ不機嫌だ。

実ちゃん、いい加減に……」

「フン! どうせ私は綺麗じゃないですもん!」

「いや、何を言ってるんだよ……それに、実ちゃんは十分可いだろ?」

俺がそう言った瞬間、実ちゃんの耳がぴくりといた。

「い、今……なんと?」

「え? だから可いって……」

「ど、どの辺がですか!?」

「うぉ! ち、近いって!」

俺が実ちゃんに可いと言った瞬間、実ちゃんは顔を赤くして俺に迫ってくる。

俺はそんな実ちゃんから距離をとって話す。

「いや、普通に可いと思うよ、目も大きいし、スタイルも良いし」

「も、もぉ〜先輩ったらぁ〜、私のどこを見てるんですかぁ? この変態!」

「面倒くせぇ……」

結局機嫌が良くなっても罵倒するのかよ……。

俺はそんな実ちゃんを家に送っていき、自分の家に帰宅する。

そんな帰り道の途中……。

「ん? なんだあの人、ふらふらして」

家に帰る途中、俺は住宅街でふらふらしながら歩いているを見かけた。

合でも悪いのだろうか?

俺がそんな事を思いながら、そのを見ていると、とうとう倒れてしまった。

「まじかよ!」

俺は慌ててそのの元に駆け寄る。

「大丈夫ですか?」

「う、う……うぅ〜」

「き、君は……」

俺はそのの顔を見て驚いた。

「古瀬?」

「だ、だれ?」

まぁ、確かにそうなるよな。

とにかく、気分を落ち著かせるためにどこか橫に慣れる場所に連れて行こう。

俺は近くの公園のベンチに彼を運び、ベンチに寢かせた。

「大丈夫か?」

「あ、ありがとう……気分が悪くて……めまいが……」

「バイト中、まめに水分補給しないとダメだぞ? それに一日忙しかったから疲れたんだろ、軽い熱中癥みたいになったんだな」

俺はそう言いながら、バックからペットボトルの飲みを差し出す。

「とりあえず水分取れ、顔真っ青だぞ?」

「う、うん……ありがとう」

古瀬はそう言ってペットボトルの蓋をあけて、飲みを飲む。

しすればまた立ってるようになるだろ。

「同じ大學の古瀬だろ? 俺は岬次郎、同じ大學の二年だ」

「あ……えっと……間宮先輩の彼s……」

「彼氏じゃない」

「そ、そうなの?」

俺はまだ顔の青い古瀬の隣に座り、ため息を吐く。

古瀬はしして、気分がし戻り、ベンチに座り直す。

「ありがとう、岬君」

「気にすんな、俺も最初の頃は油と熱さでやられた」

「岬君もバイトしてる?」

「あぁ、俺の店は古瀬の店からし離れてるけどな」

「そうなんだ、今日はバイト帰り?」

「あぁ、気が付かなかったと思うが、古瀬の店にさっき行ったんだぞ?」

「え、そうだったの?」

慣れていないとファーストフード店の仕事は大変だ。

しかも夏場は暑さもある。

俺は歩けるようになった古瀬を家まで送ることにした。

「ここでいいか?」

「うん、ありがとう。今度はちゃんとこまめに水分補給してバイトするね」

「あぁ、気をつけろよ? じゃあな」

「うん……ばいばい」

俺は古瀬を送り屆け、再び自分の家に向かう。

「え? 大學に行くの? 夏休みなのに?」

バイトから帰ると、待ってましたと言わんばかりに間宮先輩が家の前で待っていた。

俺はそんな先輩に晩飯を作り、大學に行く理由を話す。

「ちょっと図書館に用があるので」

「ふーん、珍しいわね」

「調べをしたくて」

図書館には、俺が所屬する溫泉サークルの先輩達が殘した、溫泉雑誌や溫泉に関する資料が置かれている。

俺の目的はそれだ。

今度店の皆で行く溫泉をその中から選べないかと考えていた。

「なんでも良いけど、今日もやるわよ! 朝まで!」

「先輩……夏休みなってから、俺の部屋によくゲームしにきますけど、暇なんですか?」

「そ、そんなことないわよ! こ、この前だって、コンパのおいがあって、斷るの大変だったんだから!」

「へいへい、そうですか……明日は朝から大學行くんですから、お手らかに頼みますよ」

「大丈夫よ、朝の四時位までなら平気でしょ?」

「日付は越えない方向でお願い出來ないでしょうか………」

結局その日は先輩に付き合って、朝五時までゲームをしていた。

ジャンルがFPSだったため、二人でオンライン対戦をしたのだが、どちらもムキになってしまい、一睡もしないまま朝になってしまった。

本當にこの人が來るとろくな事がない……。

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