《ボクの彼は頭がおかしい。》耐久レース①

「映畫見に行こう」

「いいけど、五本ぐらい見るんだよね?」

「いや、それはちょっと――」

「ほら行くよー」

映畫館に來ました。

夏休みだからなのか、ものすごく人が多い。

まぁでも涼しいし、何よりこの甘ったるい映畫館獨特の匂い。

大好です。

「大好?」と、隣で首をひねる五月。

しまった、思わず聲に出していたらしい。

「この匂いがね、好きなんだ」

「ふーん、つまんない」

頬を膨らませてみせる五月。

僕がそれに対して何も答えないでいると、彼が腕に巻きついてきた。

「ほんとの大好はわたしのくせに」

今のは聞かなかったことにしよう。

「一気にチケット買っとこうよ」

「いいけど、五月はどれ観たいの?」

「これとこれとこれとこれとこれ!」

本気だったのか。

さすがに五本は辛いものがある。

神的にも、経済的にも。

「無理してそんなに観る必要ないんじゃないかな?」

「無理してない。観たいの」

「ほんとに?でもさぁやっぱり――」

「言う通りにしないと、ここでぐよ?」

「は?」

一応言っておくとここはチケット売り場。

後ろには長い行列ができているわけで、常識的な人なら一瞬でチケットを買って後ろの方々になるべく早く順番を回すであろう、現在のシチュエーション。

そんな中チケットを買わないならぐと言いだした五月。

が、しかし。

僕の中の常識は、強大な悪によって吹き飛ばされた。

ふつふつと湧き上がってくる、『S』という名の本能。

げば?」

サディスト早瀬、ここに降臨。

すると五月、さっきまでの強気な態度はどこへやら。

小さくを丸めてわなわなと震えだした。

量目に大粒の涙をたずさえ、僕に懇願してくる。

「お願い……早瀬くん…………」

結論から言うと、僕は敗北した。

くるしさは他に類を見ないほど完璧なものだった。

私のを見ていいのは早瀬くんだけなんだから、なんて言われてしまったらもう、こちらとしては彼み通り買うしかない。

まぁ、本當は言われてないんだけど。

(妄想しちゃいました)

そういうわけで地獄の映畫五本耐久レースの始まり始まり。

つづく。

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