《ボクの彼は頭がおかしい。》

TAKE2

雨が降っている日は傘を差して學校まで歩く。

距離は一キロとちょっとだから、たいしたことはない。

その日もいつもと同じように、一人のんきに考え事をしながら通學路を歩いていた。

食わず嫌いって本當に損をするものなのだろうか。

食べたくない、と思うのは――

一臺の車が僕の隣にピタリと止まった。

黒いバン。

いかにも怪しいじの。

周りに人はいなかったし、この車の目的は僕で間違いない。

差していた傘を左に傾け、バンの細部を観察しようとする。

突然、後部座席の窓が開いた。

「ごきげんよう」

五月だった。

なんだ、拍子抜け。

「おはよう五月。車で登校なんて、リッチなものだね」

「そうでしょう?お乗りになる、早瀬さん?」

「ぜひ」

と、こんなじでお邪魔させてもらった。

車に乗り込み、再びそれがき出してから気付く。

…運転してるおっさん誰だ。

明らかに五月父ではない。

「五月、このおじさん親戚?」

ヒソヒソと彼に尋ねる。

「ううん、知らない人」

「…え、どういうこと?」

「ヒッチハイクしたであります!」

何でケロロ軍曹なんだよ。

まぁいいや。

それにしても、通學途中にヒッチハイクをするなんてこの人はやっぱりただ者じゃないなぁ。

どうりで彼の足元にも傘が置いてあるわけだ。

……あ、アレだ。

僕の視界に、一枚の大きな畫用紙のようなモノがとらえられた。

の傘の隣に何気なく置かれている。

ヒッチハイクをする時に使う、よくあるスケッチブックである。

學校まで乗せてください、みたいなじのことが書かれているのだろうと思いながら手にとってみると……

『カリフォルニアまで』

「五月、この車どこに向かってるの?」

「それに書いてあるとおり、カリフォルニアですのよ早瀬さん」

今すぐ降ろせ。

    人が読んでいる<ボクの彼女は頭がおかしい。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください