《ボクの彼は頭がおかしい。》深夜のメール

目を覚ますと、十通の信メールが僕の攜帯に屆いていた。

寢ている深夜の時間帯に十通……珍しいこともあるものだ。

(僕の攜帯にメアドが登録されているのは、五月、小雪さん、大雪くん、非常時の為にクラスメート一名、父、母、五月母、とまぁこのぐらいである。ないのは分かっている)

ここだけの話ちょっとワクワクしながら信ボックスを開いてみると、全部五月からだった。

がっかりしたような、そうでもないような。はい。

とにかく、上から順に見ていくことにする。

一通目。

時間 02:19

from 五月

本文 ハートの絵文字のみ

二通目。

本文 け

三通目。

本文 す

四通目。

本文 い

五通目。

本文 だ

六通目。

本文 ん

七通目。

本文 く

八通目。

本文 せ

九通目。

本文 や

十通目。

時間 02:13

from 五月

本文 は

やりたいことは分かるし、彼にしては直球ストレートに勝負してきたなぁというじである。

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ただ、逆から読むのは々面倒だったのでせめてもうし配慮してくれればよかったのに、と思わなくもない。

『は や せ く ん だ い す け ♡』

夜中じゃなくて普通に夜の八時ぐらいに送ってくれればよかったのに、と思わなくもない。

そして「だいすけ」って誰だ、と思わなくもない。

問題なのは、わざと「だいすけ」にしたのかそれとも素で間違えたのか、という點であるように思わなくもない。

最近、こういうパターンの文章が増えてきたので、そろそろ手抜きがバレそうだなぁと、思わなくもない。

「だいすけ」の謎はその日のうちに解けた。

學校に著き、「だいすけ」について五月に尋ねる。

「一番最後のメールの下のほうに続きあるから見てみて」と、彼は答えた。

なるほどね。

今すぐにでもそれを確認したかったのだけれど、その日は運悪く攜帯を持ってきていなかった。

家に帰ってからじゃなければ謎は解き明かされないということか。

それから數時間後の午後十時過ぎ、ようやく帰宅。

(その日はバイトであった。なぜか雫さんが巫さん姿で登場するというハプニングがあったが、それはまた別の語。またの機會にお話しよう)

ご飯も食べず、急いで二階に駆け上がる。

ベッドの上に放り出された攜帯を手にとり、例の一番最後のメールをもう一度開いてみた。

一通目。

時間 02:19

from 五月

本文 ハートの絵文字のみ

(以下、ものすごく改行してあり、そしてこう書かれていた)

っていう子があなたの部屋に住み著いてるの知ってた?

この間遊びに來た時にHなDVDないかなぁ、あったら捨てなきゃなぁってクローゼット開けたら、居たのね、そのだいすけ君が。

とりあえずこんにちはって挨拶して――

それ以上は読んでいられなかった。

こんなの五月の作り話に決まっていると頭では分かっているのだけれど、なんだか無に怖くなってしまって。

だって実際、そう言われてみると確かにクローゼットの中から人の気配をじるし、いやいま何か変な音したし、いやいやいやマジですかマジなんですかこれ。

もはやラブコメなんてジャンル飛び越えてません?

最近話の方向がちょっとおかし……ハッ。

また訳の分からぬことを考えてしまっていた。

うん、なんだか奇妙だ。

どうして僕はクローゼットに一歩一歩近づいているのだろう?

どうして僕の右手はクローゼットの取ってに手をかけたのだろう?

どうして?

完全に僕の意思に反している――

クローゼットの扉が開いた。

中に誰かいた。

本気で焦っちゃって、無我夢中でソイツ引っ張り出して、(でも怪我させちゃマズイなとか本能的に思ったんだろうね)ベッドに向かって思いっきり背負い投げした。

そのまま僕もベッドにダイブしてジャックナイフ固めを華麗に決めた。

パニクっててこの時のことよく覚えてないんですけど、しばらくしてから相手が五月だと気付きました。

「必死な早瀬くん超可い!この表、たまらん!!」

隠し撮りされてたらしく、ビデオを再生しながら興冷めやらぬ様子の彼

…とりあえずどこも痛めてないみたいで良かった。

「早瀬くんに襲われてるッ!本能剝き出しの早瀬くんに襲われてる!!うはぁ積極的!!」

…やっぱ怪我してりゃ良かったのに。

「みんなにも見せてあげなきゃ」

…え?

翌日、僕のジャックナイフ畫がユーチューブにアップされていた。

瞬く間に全校に広まっていた。しにたい。

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