《ボクの彼は頭がおかしい。》珍しく走る②

五月が教室に強制送還されてからは、特に何事もなく時間は過ぎ、今日の授業はすべて終了。

さぁ、バイトに行こう。

雫さんと同じシフトなので、ある程度の心積もりをして店る。

數時間後。

あっけなく終わった。

著替えを済ませ、雫さんと店を出る。

「今日もお疲れ様。じゃあまたね」

雫さんに挨拶をして、帰ろうとする。

「……先輩!」

が、呼び止められた。

「どうしたの?」

「あ、えっと、あれです……はい」

「ん?」

「その…………んと……うぅ……先輩…ライブのとき………………カッコよかったです……」

ライブ、あぁあのお祭のときのか。

雫さんに褒められるなんてものすごくレアなんじゃないだろうか。

しかもカッコイイとまで言われて。

……あ!!!

そこで僕は気付いた。

五月の第一の予言。

にカッコイイと言われる』

よく分からないけれどもしかしてこれ的中しちゃいました?

(だって雫さんなんだもん)

もしそうだとしたら第二、第三の予言も……。

「ありがと雫さん。じゃあまたね!」

僕はそう言うと、彼の返事も待たずに大急ぎで駆け出した。

目的地はもちろん、五月のところである。

やれやれ。

まさか自分が五月の戯言を信じるハメになるとは。

『慣れ』

恐ろしい言葉である。

吹き出る汗も気にせず、息を切らせながら走ること十五分。

ようやく到著。

の部屋を見上げながら、攜帯に電話をかける。

呼び出し音が鳴って……すぐに繋がった。

「もしもし」

「もしもし、早瀬です」

「おぉ、早瀬くん、ちょうど聲聞きたかったとこ」

「そうなの?」

「うん、そうだよ。早瀬くんがバイトしてる間って、ネッシー探したりピラミッド作ったり、とにかくつまんない事しかすることなくて。暇で暇でヒマラヤ山脈だったよ」

「なんか壯大なセリフ」

「まぁね」

「……でも、本當のところ暇じゃなくて何だったの?」

「暇じゃなくて……」

「うん」

「……寂しかったです」

「最初から素直にそう言いなさい」

「ちぇっ」

「それ可い。でね、今、五月の家の前にいるん――」

「ホントに!?」

そこで電話は切られた。

の部屋の電気が消され、それからわずか三秒後、五月が玄関から飛び出してきた。

「本だ!」

そう言って抱きついてくる五月。

「汗かいてるからやめたほうがいいかも」と、僕は言った。

「バカ。そんなの気にしないよ」

の腕にこめられた力が一段と強くなる。

気にしないって言ってくれてるんだから、いいか。

僕も彼の背中に手を回し、そっと抱きしめた。

「五月」そうして名を呼ぶ。

僕のから顔をあげ、クリクリとした綺麗な瞳で見つめてくる五月。

めちゃくちゃ至近距離。

あぁ萌え死ぬ。

「五月の予言を実現させようと思う」

「え。急にどうしたの?」と、彼は笑っている。

「なんていうか……まぁ、信じてみる気になっただけ」

「なんか早瀬くんっぽくない」

が目を閉じた。

第二の予言。

『とあるとキスをする』

僕も目を閉じ、ゆっくりと彼にキスをした。

「これで三番目の予言も當たるんだよね?」

「うん、私がぜっっったい実現させる」

頼もしい限りです。

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