《ボクの彼は頭がおかしい。》サンマの子

今日は五月家のご両親が留守ということで、家にお邪魔してご飯を一緒に食べる日。

夕飯の準備のためにスーパーに來ています。

お魚コーナーでサンマの値段を見てびっくり。

高い。

「サンマ、今年も不漁みたいだね」

「ちょっと高いね」と、うなずく五月。

「食べたかったけどやめとこうか」

「…私に任せて」

「え?」

夕食後、巫さん姿の五月が居間に現れた。

「え?」

「じゃあ、世界の危機を救いにいきましょう」

「え?」

僕の困などお構いなしに、家を出てタクシーを拾い近所の川までやってきた。

服が濡れることもお構いなしに、五月は夜の川にズブズブっていき、両手を握りしめ何やら祈りのポーズを取っている。

それを無言で見つめる僕。

しばらく放っておいたのだが、數分も立つと五月の顔に薄っすらと汗が浮かび始めた。

「え?」

寒いぐらいの気溫で、水に浸かっていればなおさらは冷えているはずなのだが…。

まさかこの子…

「早瀬くんっ」

突然彼が振り返った。

そしてニコッと笑う。

「今から穫れるよ!」

よく分からなかったけれど、僕はうなずいた。

翌日。

ニュースではサンマの大漁が話題になっていた。主婦たちは大助かりだろう。

ただし、五月は調が優れず學校を休んだ。

先生たちからは「またお前の彼がサボって!」と散々嫌味を言われたが、僕は毅然とした態度で反抗した。

あんなにも小さな肩に、世界の秋刀魚漁の命運がかかっていて、そして彼は自らを犠牲にしながらも世界を救っているのだ。

みんなには本當の事は言えないけれど、僕が彼の味方になってなんとしてでも支え続ける。

そう。

これは、僕と彼だけが知っている、 世界のについての語だ。

「明日學校休むからこんなじで私のこと守ってね!」

新海監督に謝ってこい。

    人が読んでいる<ボクの彼女は頭がおかしい。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください