《ボクの彼は頭がおかしい。》親切心
「15分以に來て!」
午後8時。
部屋で勉強に勤しんでいると、五月から突然の呼び出しを食らった。
妙に焦ったじの喋り方。
嫌な予がする。
せっかくの週末なのに、やれやれ。
なんにせよ僕に斷る権限などあるはずがないのだから、車庫の奧の方にとめてある埃をかぶった自転車を引っ張り出して彼の家まで猛ダッシュする。
あぁ、何の用かな。
どうせ…たいした用なんてないのだろうけど。
15分はオーバー。
でも、ドゥーマイベストしたし怒られることはないだろう。
五月母に挨拶をし、それから彼の部屋にる。
扉を開けて――
すぐに閉めた。
目を閉じて直前に見た景を思い返す。
床に敷き詰められた新聞紙。
その上に散らかっている髪のらしき黒い線狀のもの。
変な髪形の青年。
青ざめた三人。
この部屋にる事は許されない。
僕はそう思った。
しかし今さら逃げられるはずもなく、すぐに五月に捕まってしまった。
「なんで閉めちゃうの?ほら、ってって!」
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凄い形相の五月にがっちりと右腕を摑まれた。
逃げられそうにない。
くそう。
無理やり部屋に連れ込まれる。
「こんばんは早瀬くん」
「こ、ここんばんはぁ」
「ども」
ん、この組み合わせは初めてなんじゃないだろうか。
五月、小雪さん、雫さん、そしてなんと仙人くん。
見るも無殘に髪のがほとんど無くなってる、いびつな頭の仙人くん。
驚くべき事に、彼のトレードマークである『その辺のの子よりも長いロングヘアー』が綺麗さっぱり消滅していた!!
仙人くんのこと覚えてる人いるのかな。
五月がボーカルのロックバンド、平開化のベース擔當で、僕らから見たら一つ下の一年生。
あ、いま気付いたんだけど仙人くんと雫さんって同い年だ。
どうでもいいか(いや、そうでもないか)。
とりあえず、仙人くんの隣に座りこむ。
いつもは無表の彼なんだけど、このときばかりは僕が來たことによってどうやら安心しているらしかった。
「あの、いきさつを教えてもらえるかな?」と、僕は彼に尋ねた。
「いいですよ」と、仙人くんは答えた。
1人スタジオで練習(ベース)をした帰り、五月と小雪さんに運悪く出くわしてしまった仙人くん。
理由も分からぬまま五月の家に連れ込まれ、ガールズトークに華を咲かせる2人を彼はただただ眺めていたらしい。
やがて一通り喋り倒して満足した様子の五月が、こんなことを言い始めたのだという。
「前から気になってたんだけど…そのロン、なんなのさ?」
「…なんなのさと言われましても」
「あ、分かった!切るのがめんどくさいからばしてるんでしょ!そうでしょ?」
「まぁ、そんなもんです」
「そかそか。でもねぇ、それじゃの子にはモテないと思うよ」
「別に興味ないんで」
「あぁあ、強がっちゃって。仕方ないな、私が特別にカットしてあげるよ」
「は?」
「小雪ー、洗面所からハサミ一式持ってきて」
數分後。
「ちょっとヤバイかも」
「たしかにこれは……変」
慌てた様子の五月と小雪さん。
「そうだ、助っ人を呼ぼう」
五月は攜帯を取り出し、誰かを呼び出した。
數分後。
「サツ姉!こんばんはです!」
やってきたのは雫さん。
コイツじゃダメだ、と心の中で仙人くんは思ったらしい。
僕もきっと、彼の立場だったら同じようなことを思っただろう。
さらに數分後。
事態は先ほどよりも悪化。明らかな悪化。
髪のはどんどん無くなっていくし、形は折れ曲がった自転車のかごみたいなじでそりゃもう悲慘。
どうしようかどうしよう、どうしようもない、ということになって、本當に仕方がないので後始末係として僕を呼び出したらしい。
そうして現在に至る。
「これからどうすんの?小雪さんと雫さんはここに泊まっていくのかな?」
「そのつもりだよ」と、小雪さん。
「は、はい。サツ姉がイイって言ってくれてるので」と、雫さん。
それがいいんだろうね。
もう夜も遅いし、暗いし危ないし。
「じゃあ僕は仙人くんと帰るよ」
そう言って、僕といびつな頭の仙人くんは立ち上がった。
部屋を出る際、五月が申し訳なさそうに仙人くんに謝っていた。
仙人くんは凄まじく寛大な男みたいで、五月のことを一切責めなかった。
ちょっとカッコよかった。
そして落ち込んでる五月がものすごく可かった。
彼にバレないよう、小雪さんに「仙人くんはこっちでどうにかしますんで、五月のほうはよろしくお願いします」と伝えておいた。
これで大丈夫だろう。
その晩。
仙人くんは家に泊まっていった。
男の友人を泊めたのは初めてであった。
夜通し起きていて、まず映畫を見た。
『タイタニック』
その後はひたすら二人で將棋に沒頭した。
五回ぐらい負けた。
あとは全部勝った。
勝ち數は分からない。
しだけ、いびつな頭の仙人くんと仲良くなれた気がした。
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