《ボクの彼は頭がおかしい。》その日の夜にて
機に座って古文単語の暗記に沒頭していると、マナーモードにしていた攜帯が重く低いうめき聲とともに振しだした。
電話だ。
「もしもし」
「もしもしこんばんは」
「こんばんは」
「五月です」
「どうも、早瀬です」
「え、早瀬って…まさかあの常盤貴子好きで有名な早瀬くんですか?」
「おそらく、はい」
僕は日本の優さんだと、今流行っている若い人たちよりも一つ上の世代の方たちのほうが好きです。
たとえば、常盤貴子さんとか、深津絵里さんとか、松たか子さんとか、竹結子さんとか。
うん、どうでもいいですね。
「でね、早瀬くん……」
五月の聲のトーンが急激に落ちた。
シリアスモード突ですか。
「どうしたの?」
「うん、えっと、まぁ、あれだよ。んとね、そのー……」
「なんか五月らしくない」
「そうかも、ね」
それからちょっとした沈黙。
電話での沈黙は死んでも慣れそうにない。
なんか変な汗が出てくるから、嫌いです。
數秒後。
「…1つ……聞きたいことがあるんですけど」
そばにあったタオルで顔の汗を拭いていると、五月が靜かに言った。
「どうぞ、何でも聞いてください」と僕は答えた。
彼は、うん、と電話の向こうで言った。
なぜだか分からないけど、汗が止まらなかった。
「前から聞きたかったんだけど…………
…えっとね………………
……早瀬くんって結局オタクなの?どうなの?」
何でこのタイミングで?
絶対聞きたかったこと違うでしょ。
とある腐女子が乙女ゲームの當て馬役に転生してしまった話
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