《ボクの彼は頭がおかしい。》出待ち

「ごめん早瀬くん、先に帰ってて」

「え、どうして?」

「…今からお説教があるんです」

放課後になり、五月の教室に向かうと、そこには慌てた様子の彼がいた。

毎度の事ながら職員室に呼び出されたらしい。

「何をやらかしたの?」

「べつに…」と、彼は答えた。

(あのエリカ様よりもしくかっこいい五月様であった)

「じゃ、そういうことだから先に帰ってて」

映畫のワンシーンみたく手をひらひらさせて、僕に背を向け歩き出す五月。

のオーラを放つ後姿が、やけに鮮明だった。

さて。

特にする事もないので、五月が先生に呼び出された理由でも調べてみることにする。

答えはすぐに出た。

五月のクラスメートさんからの報によると……

「誰かがマンガ持って來てて、で、それが先生に見つかっちゃって――」

どうしたことか、五月が誰かさんをかばって「わたしが持って來ました!ワンピース、面白いんですよ。特にゾロの腹巻きスタイルとか。先生もこの機會にぜひ読んでみてください」とか何とか言ったらしい。

僕には全く理解できない、彼のその行

我々の通う高校は、地元ではそれなりに有名な進學高校であり、校則は々厳しめ。

マンガを一冊持ってくるだけで、わざわざ職員室に呼び出されるような、そんな高校です。

ただ、変なところでゆるかったりもする。

「五月もモノ好きですよね」

「うんうん。だって早瀬くんと付き合ってるぐらいだもんね」

やかましいわ五月のクラスメート。

まぁ、そういうわけで事件の真相も解けたし、帰りますか。

と、見せかけて…。

僕はいったん學校を出た。

そして近くにあるコンビニにる。

五月の好きなお菓子をいくつか買い、もう一度學校へと戻る。

すれ違うといけないので、校門で彼が出てくるのを待つ。

數分後、いや、多分正確には1時間30分後ぐらい。

五月が昇降口から姿を現した。

「お疲れさま」

そう言って聲をかける。

は立ち止まり、僕を見つめてただ驚いたような表をしていた。

「はい、これ」

先ほど購したお菓子を五月に手渡す。

依然として無言の彼

突っ立ったままでこうとしない。

「どうしたの」

僕は彼の顔を覗き込んだ。

大きくて綺麗な瞳に吸い込まれそうになる。

ほんのりと赤く染まった頬が可らしさと気をいっぺんにじさせる。

世界一です、はい。

あまりのしさに見とれている僕。

「早瀬くん…ありがと…」

目をそらしながらボソボソ言う五月。

いつもと違うこのじ。

なんていうか、もう、単純に、イイ!

「じゃ、校門で見つめ合ってるのもアレなんで、帰りますか」

そう言って彼の手をひく。

「…うん」

嬉しそうにうなずく五月。

これが見れただけで僕は満足です。

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