される王語》疲れた日

雙方、ふたつのピンクの瞳がこちらを見て離さない。

ここまで見られるのもどうなんだろう…

失禮とか考えないのかな。

外面はしっかりしとこうとニコッと笑っておく。すると、ラベンナ王はみるみるに顔が笑顔になっていった。

そして、私の椅子の隣に立つと腕にしがみついてくる。

「このひと!わたくしのおうじさまですわね!わたくしがけっこんしてあげますわ!

しあわせにしてくださいな!」

そうニコニコと笑う姿は一見、小さいこながらの可らしさがあるかもしれない。が、

いくら私と一つ年下の4歳だからといって、ここまで教育がなされていないのはどうなんだろうか。

この子、仮にも私の妹で王なんだよね?

人の服をグイグイ引っ張るなんて言語道斷。しかも、王族がそんな軽々しく結婚だなんて……どこか上から目線だし。

どんな教育をしているんだ。とドミニカ様に視線を向ければ、ドミニカ様は口を歪め笑っていた。

「あらまぁ、ラベンナ。大膽ね……。でも、結婚だなんて…素敵ね。」

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思わず、背中に悪寒が走った。

「そうですわよね!おかあさま!

さぁ、おうじさま。わたくしをしあわせにするとちかってくださいませ!

まえに、おかあさまからききましたわ!

ちかいをするとぜったいにまもってくれるんですわ!」

そういって無邪気に笑いながら私の腕を引っ張るこの子に私は驚きが隠せなかった。

今、なんて言った…?

誓いだって?

確かに、この國には婚約者になる人、自分にとって何者にも変えられない大切な人、または人に永遠の思いや幸せにすることを伝える『誓い』がある。それは王族だって同じで、むしろ、王族はそれが撤回できない。

一度やったらそれが決まりだ。

法律と同じように規範で決まっており、破れないのだ。

それをまだおよそ4歳のが知っている。

確かに、は憧れるだろう。だが、4歳児が結婚なんて考えるものなのか?

私はその瞬間、あるひとつの疑問が浮上した。

ラベンナは言ったのだ、お母様から聞いた・・・・・・・・と。

ドミニカ様は、私とこの子ラベンナを結婚させようとでも考えているんだろうか。

まさか…そんな……ね?

そのあと、どうにか『誓い』はできない。とラベンナ王に伝え、その後散々泣きじゃくられた。

そうして、ラベンナ王が落ち著いたと思ったら、そこからドミニカ様とラベンナ様の他もない(どうでもいい)話が始まる。

私が王宮に帰れたのは日が大分傾いた時だった。

私はその日1日が一番長くじた。

ラベンナ王は落ち著きがなく、気品もなかった。後宮でどれほど甘やかされたのかよく分かった。

ドミニカ様は……時折、特にラベンナ王が私に抱きついたり引っ付いたりと、スキンシップが激しい時のあの歪んだ笑い口。

そして、卑しいほどの目。

私は忘れられなかった。

その日以降、私は父上と母上の言いつけな関係なく後宮に自分から近づこうとは一切しなかった。

「レオン。…どうだった、後宮は。」

あれから數日が経ち、今は歴史を學んでいるときだった。

父上が勉學の時間に私の部屋に來るなんて初めてのことだった。

きっと、やっと空いた時間にわざわざいらっしゃったのだろう。呼んでくれれば私が足を運ぶのに。

家庭教師は恐れおののき、挨拶をして部屋からさがる。

「そうですね…」

あの日、ドミニカ様と會って話したこと、聞いた事。そして、見たを丁寧に伝えた。

父上は椅子に座り腕を組みそれを靜かに聞いていた。その目には何が映っているのか。

「そうか。レオン、アイツの娘には會ったか?」

「はい。出會いましたが……あの子は本當に王族ですか?」

私はずっと不信を抱いていた。あの無邪気に笑うピンクの瞳。あれはカスティリア王族であればありえないことだ。

我々、カスティリア王族には代々続く瞳のがある。それはき通るような青

王族特有のもので、象徴とも言える。

父上も、もちろん私もその青の瞳だ。

だが、彼はピンクだった。先祖返りか…そんなことがありえるのか。

「…私は、あのを抱いた…いや、あのと子作りした覚えはないぞ。だから、お前の想像通りだ。」

やはり、そうか。

ということは、あの子は王族でもなんでもないんだな。

そう思うと良かったと安心してしまう自分がいた。それほど、私はあの子もあの人も苦手になっていたんだな…

「そのままでいいのですか?…いくらこちらが放置しているとはいってもそんな不貞は許されないのでは?」

「いや、面倒だ。なにより俺はあのも、あのが勝手に作った子供も大嫌いだ。関わりたくもない。金はやっている。後は、好きにすればいい。…何も無ければ、このままさ。」

「…わかりました。」

父上はそう返事する私に、し口角を上げ適當に頭をでる。

この人は世間では恐ろしいといわれ、他國では魔王とも呼ばれているような人だ。

だが、私はとても優しい人なのだと思う。

そして、數ヶ月後、私の母上は呆気なく亡くなってしまったのだ。

病で。

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