《キミと紡ぐ【BL編】》第2話

俺は母親が居るのとは反対側の口角を、僅かばかり上げる。

――イイザマ。

俺の心の聲が聞こえたかのように、檜山が俺を見た。

目が合ったのは、一瞬。

だけどその一瞬で、彼とは何かが繋がった気がした。

すぐに俺から母親へと視線を戻した檜山は、何事もなかったように面談を続けた。

「ねぇ、先生。どうしてあの時、スカしたの?」

「あの時?」

突然の質問に、檜山は靜かに俺を見返す。

無言だったのは、數秒。

小さく息を吐くと、やれやれと言うように機に左肘を付いてこめかみを支えた。

「質問してるのは、私の方が先なんだけどね。……お母さんのじゃなく、『君』の三者面談だったからだよ」

視線を機の上の申書に落としたままの檜山に「さすが」と思う。

あれはもう、何ヶ月も前の話。

俺の今の言葉だけで、すぐに思い當たるなんて。

――あなたは知らないんだろうな。

あの時から彼は、俺の『特別』になった。

「あ、そ。先生への答えは、『教え方』の問題じゃない、だよ。人間には、得手、不得手ってあるだろ? 合う、合わない、とかさ。俺は英語が苦手なんだ。――どうしても合わない」

「合わないんです」

「え?」

檜山は肘を付いていない方の手で日誌を持って、ポン、と軽く俺の頭を叩いた。

「先生には敬語」

「えっ…、今更かよ」

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