《キミと紡ぐ【BL編】》第5話
奧野は僅かに驚いた顔をして、しの間の後、フッと笑った。
「ありがとう。僕も矢野のこと好きだよ」
軽い調子で返してくる。
「それは――。生徒として……って事なんだろうな」
指を握ったままの俺の手はそのままに、「勿論そうだよ」とどうという事もないように微笑んだ。
「意外と絵には真剣な処も好きだし、僕が行っていた大學に合格してくれたのも嬉しい」
教え子だし、今度は後輩になる、と。あくまで教師としての顔をして言った。
「俺、は――…」
くやしくて、イラだたしくて、握る手に力を込める。
震えてんのなんて、もうとっくに伝わっているんだろう。
「生徒として、言ったんじゃねぇよッ!」
手を引っ張って、倉を摑むようにして。さっきまで俺が座っていたイスに、奧野を座らせた。
ガタンッ! と。イスが大きく軋む音がして、痛みに奧野が顔をしかめる。
「お前ね――」
文句を言おうとした奧野を睨みつけて、手は離さずに、座面の彼の腰の橫へと膝を付いた。
呆気に取られているのか、引いているのか。
何も言わない奧野の両肩に、手を置く。
止めろと言わない彼に、を近付ける。
がれ合う寸前、あいつは顔を逸らせた。
          
ほんじつのむだぶん
mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
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