《キミと紡ぐ【BL編】》第12話
「矢野!!」
階段を駆け下りてきたのだろう奧野が、校舎から走り出てくる。
「今度はあんた、何コカしたんだよ?」
笑ってやった俺を、走ってきた勢いのままで抱き締める。
「まだ、日付変わってないよな?」
息を切らせながら耳元で言う聲に、「あ? どうだろ?」と腕時計を見ようとした。
――のに。
両頬を手で挾まれて、けなくなる。
次の瞬間には、キスされた。
「……ちょッ……、まっ……」
これって、ディープ……――。
「……はッ、……ん……っ……」
溢れた唾が零れて、顎を伝う。
拭おうとする俺の手を摑んで、それすらも許さず、奧野はキスし続けた。
「――お前ね。教師としての僕と、お前の言葉の両方を葉えようと思ったら、卒業式終わってからの『今日』しかないって気付いてたか?」
長いキスが終わった途端、もう1度抱き締められて。
いきなりグチられた。
「おで全然、絵が手につかなくて完しないったら……」
「ちょっと待て。ギリギリにしか完しないのは、いつもの事だろ」
呆れた聲で返す。
「――けど。返事はけ取ったよ」
あいつの長い指がれるのと、頬や耳にキスしてくれるのをじけながら、背を抱き締め返して夜空を見上げた。
「月が綺麗ですね」
「いやそこは。せめて夜空見上げながら言えよ」
俺を抱き締めながら笑っている、あいつをじる。
「ちくしょう……」
これからもこんなふうに、くやしいけど俺は、こいつに夢中であり続けるのだろう。
闇に浮かぶ燈りが、イヤんなるほど本當に――。
「月が……」
それ以上は、聲には出せなかった。
我、君ヲス……――。
          
ほんじつのむだぶん
mixi・pixivで無駄文ライターを自稱している私が、 日頃mixiで公開している日記(無駄文と呼んでいます)を 小説家になろうでも掲載してみようと思い実行に移しました。 これは1日1本を目安に続けていこうと思います。 ご笑納くだされば幸いです。
8 178右目を無くした少年の戀のお話
事故で右目を失った少年『春斗』は 高校三年間でどう生きるのか─ 卑屈な少年ととにかく明るい少女の戀の物語
8 59僕と彼女たちのありきたりなようで、ありきたりではない日常。
高校2年生という中途半端な時期に転校してきた筧優希。彼は転校前に様々な事があり、戀愛に否定的だった。 しかしそんな彼の周りには知ってか知らずか、様々なな女子生徒が集まる。 ークールなスポーツ特待生 ーテンション高めの彼専屬のメイド ー10年間、彼を待っていた幼馴染 ー追っ掛けの義理の妹 果たして誰が彼のハートを射止めるのか? そして彼はもう一度戀愛をするのだろうか? そんな彼らが織りなす青春日常コメディ 「頼むから、今日ぐらいは靜かに過ごさせて・・・」 「黙れリア充」と主人公の親友 ✳︎不定期更新です。
8 115甘え上手な彼女2
甘え上手で可愛いヒロイン、宮岡紗彌(みやおか さや)。 そんな紗彌とはちがい普通の高校生の八重高志(やえ たかし) 付き合い始めて、初めての夏がやって來た! 海や山! 花火大會にお祭りなど、夏はイベントが目白押し! しかし! そんな二人に破局の危機!? そして、なんとあの二人が急接近?? 毎日夜21時更新! コメントや評価もお待ちしております!
8 108付き合ってから結婚するまで
少し前に間違って消してしまった「付き合ってから結婚するまで」シリーズを1から書き直してみました。 毎週土曜日更新。 主人公五十嵐優人と、幼なじみでヒロインの工藤陽菜が付き合い、結婚するまでのストーリーとなっております。 また、結婚してからのストーリーも「付き合って結婚した後」として、連載中です。
8 162婚約破棄された令嬢は歓喜に震える
エルメシア王國第2王子バルガスの婚約者である侯爵令嬢ステファニーは、良き婚約者である様に幼き時の約束を守りつつ生活していた。 しかし卒業パーティーでバルガスから突然の婚約破棄を言い渡された。 バルガスに寄り添った侯爵令嬢のヴェルローズを次の婚約者に指名して2人高笑いをする中、バルガスが望むならとステファニーは見事なカーテシーをして破棄を受け入れた。 婚約破棄後からバルガスは様々なざまぁに見舞われる。 泣き蟲おっとり令嬢が俺様王子に、ざまぁ(?)する物語です。 *殘酷な描寫は一応の保険です 2022.11.4本編完結! 2022.12.2番外編完結!
8 159