《これって悪役令嬢?!私の生き方貫きます!》香との出會い

「は~い、凄く大きな聲だったけど

何か用?」

ジルがまりと香の方を見る。

「げっ!僕、用事思い出しちゃった!

帰る...」

まりがジルのしっぽを摑む。

「いつも、しっぽ摑むけど、

結構痛いんだからねっ!!」

「逃げるから、いけないんでしょうがっ!」

「何で呼び出されたか、

分かってるわよね?」

「う、うん」

香をこの世界に連れて來てくれたのは

謝するわ。でもミリカの記憶、

戻さなかったわね?」

「それが、知らない世界でやって行くのに

どれだけ淋しくて、大変か分かる?」

「だって!トト様の用事も、忙しくて...」

「なら、トト様に伝えなさい。

部下のミスは、主のミスだって」

「そ、そんな~」

ジルの耳が垂れ、項垂れている。

「まり、こっちでも、全然変わってない。

あんまり言うと、ジル君可哀想だよ」

香~」

ジルが香の後ろに隠れる。

香、あんまり、甘やかさないっ!」

香は、いつもまりの事を許してくれ、

フォローしてくれる寛容な人柄だった。

コン、コン、コン。

「ねーさん、ルーファス王子、帰るから

伝えといてくれって」

ロイが、部屋にやってくる。

ジルが、助かった~と思いながら

帰って行く。

「どうぞ、って」

「あれっ、お友達?」

「ミリカさんって言うの、宜しくね」

「初めまして、宜しくお願い致します」

香が、微笑む。

「よ、宜しくお願い致しますっ!」

ロイの顔が真っ赤になっている。

おや、落ちたか?

「じゃ、じゃあ、ミリカさん、ごゆっくり」

ロイが、ギクシャクして部屋を出て行く。

「弟?」

「そうなの、イケメンでしょ?

結構口うるさいけど、いい子なのよ」

「こっちの人って、なんかイケメン多いよね。

私達の顔だって、なんか人形みたいだし、

違和、半端ないわ」

「ほんとだよね」

「それにしても、香どうして

こっち來ちゃったの?」

「それがさ、まりが車にぶつかった後

私焦っちゃって、車來てるの気が付かなくて、

目が覚めたら、ここにいたってわけ」

「私のせいだね...」

「いいんだよ。もう済んだ事だし、

運命だったのかも。それに、まりにも

會えたしね」

香~」

香が言うには、

ミリカ・ロイヤルフラシンス・アドヴァンス

という名で、アドヴァンス商會という

貿易をしているらしい。

「知ってる。お母様もひいきにしてるみたい」

「そうなんだ、結構大きいみたいよ」

「そうそう、目が覚めた日もさ、

いきなり王子の誕生日とかで、訳も分からず

出席させらせてさ~」

香もいたの?」

「困ったの、なんのって。父が張り切り

まくっちゃって、隣の家には、負けられない

とか、なんとかでさ」

「どういう、意味?」

「さぁ、來たばっかりだし、よく分かんない。

見得の張り合い的な?」

「私も、いたんだよ」

「まさかさ、王子に啖呵きってた人って

まり?大きな聲だったし、

會場ざわついてたからね」

「そうだよ。ついね....」

「ここにも、まりみたいな奴いるんだって。

ちょっと、嬉しかったのよ。

まさか本人だったとはね」

「うけるね、それきっかけで、婚約したんだ」

「ルーファスがしつこくてさ。

しょうがなくだよ....」

「よく言うよ。あんなド級クラスの

イケメンつかまえといて。

遠目からしか見てないけど眩しかったわ~」

「私の事はいいの。それより何か

困ってる事ない?」

「う~ん、強いて言うなら、タピオカが

飲めない事?」

「何それ、うっすい悩み!」

「いやいや、私にとっては、死活問題です」

「じゃあさ、作っちゃいますか!」

「いいね~。それでさ、上手く行ったら

アドヴァンス商會で売りに出すか!」

この事が後に、とんでもない

事件が起ころうとは、

知るよしもなかったのだった。

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