《人間嫌いな俺とビッチな睦月の葛藤と1枚の紙切れ

 

「なんで、あいつ俺に手作り弁當なんか、、」

…………

家に帰り、俺はベットに寢転びながら思う。

 

胡桃萌が俺に作ってきてくれた弁當。あいつ

からは想像もできないくらい味しかった。

 

見た目、発言、行からして典型的なギャル系ビッチだと思ってたがまさか料理ができるなんてな....

ただそんなことは今の俺には関係ない。

「はぁ、、」

俺の口からため息がれる。 俺はあいつことを完全に舐めていた。

[好きでもないやつに手作りの弁當を作る。]

この行為が示すことはただ一つだろう。

胡桃萌は本気で俺を惚れさせようとしている。

 

だが、もちろん俺は惚れてなどいない。惚れるなど

したら胡桃の思う壺だ。それに他人に心を開き、裏切られるのはもう免だ。

そんな俺の気持ちなど知らない胡桃は構い無しに俺のパーソナルスペースに踏み込んでくる。それは自分に惚れさせると決めている彼からしたらごく自然なのだろう。

 

だが問題は胡桃ではなく俺自だ。俺自が完全に

拒めば終わるはずなのになぜか俺はそれをしようとしない。デートにだって待ち合わせ場所に行かなければいい、弁當だって投げ捨ててやればあいつも俺に近寄ることはなくなったはずだ。

なのに俺はこの期に及んでなにをむ?あいつの中では罰ゲームだ。そこにおろか

関係も生まれない。

もうあいつには関わらないようにしよう。話しかけ

られたところで無視をすればいい。それでいいんだ。

「なんで、あいつ俺に手作り弁當なんか....」

手作り弁當、カップルからしたらどんなに微笑ましい響きのある言葉だろう。だが、その響きが俺にあの頃の記憶を思い出させる。

……

“ねえ、睦月はほっとくとに悪いものばっかり食べるから私が弁當作るよ”

……

“これ味しいでしょ!人に味しいって言ってもらえること考えるとワクワクして料理も楽しくできちゃうんだよね”

……

“え?睦月?あんなの馴染だから仕方なく一緒にいるに決まってるじゃん、それなのに勝手に勘違いされて好きとか言われちゃうしさー”

……

“馬鹿だよね~本気で好きなわけないじゃん。

馴染だから斷りずらかっただけ。斷ったら家は隣同士、昔からの知り合いなのに気まずく

なるじゃん”

俺の目から一粒の涙が頬を伝う。

今更どうして涙が出るのだろう?人を信じたいって気持ちがまだ殘っていたのかもしれない。

だが、人を信じて裏切られることが決まっているのなら関わりを持たなければいい。

 人間関係をリセットしたくて地元を離れたのにまたそこで悩んではなんの意味もない。

中途半端な気持ちが俺を邪魔するのならなんてものは閉じてしまえばいいんだ。

ふと弁當箱を見ると何か紙切れが挾まっていた。

『これ、私の攜帯番號とメッセージアプリのIDだから登録しておいてね』

その紙切れを見ると、楽しそうに話しかけてくる胡桃の顔が浮かぶ。

ビリッ!!

メッセージが書いた紙切れも破って読めなくすればそれはただのゴミ。

 俺はそこに書かれた番號もI Dもメモをする

ことなくそれをゴミ箱へとれる。

明日胡桃に弁當箱を返し、このふざけたゲームも全て終わりにしよう。

頬に流れ落ち、そして渇き始めていた涙を拭い、俺はそう決意したのだった。

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