《人間嫌いな俺とビッチな》胡桃萌から宣戦布告
次に目が覚めた時にはもう朝だった。
リビングに出ると姉からの書き置きと朝ごはんが置いてあった。
『もし気にるようなことをしてしまったの
ならごめんね。お姉ちゃんはいつでも睦月の味方
だから!夜は抜いてもいいけど朝ごはんはしっかり食べること!」
姉貴が謝る必要なんてないのにと思ったが、
だがそれは同時に姉貴らしく溫かい言葉にも思えた。
それにしても毎回朝ごはんって、、
姉貴、実は朝ごはんの神に金でももらってるんじゃねえか?
 ずっと心に閉まってきた昔のことを思い出し、
気持ちは重たかったが、こんな軽口が叩けるのも姉貴のおかげかもしれないな。
そんなことを思いながら朝ごはんを食べ、
家を出た。
玄関についた俺は下駄箱に何か紙がっていることに気づく。
『晝休憩、屋上で待ってます』
何で昨日の今日でまたこんないたずらを....
俺はその紙を破り捨てた。紙を破った瞬間、
なぜか胡桃の顔が思い浮かんだような気がしたが俺は気にせず教室へと向かった。
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…………
キーンコーンカーンコーン
晝休憩開始のチャイムが鳴り響き、授業中は靜かだった教室が賑やかに変わる。
 いつも気にすることなかったのだが、今日はこの
空間に1人でいるのは俺には辛かった。
 1人になれる場所か....
俺は何も考えることなく屋上へと向かった。
屋上のドアを開けると胡桃萌が誰かを待って
いるようだった。
あっ...破り捨てた紙に屋上に來いって書いて
あったような気がせんでもない。
今からでも遅くない、引き返そう。たまたま
屋上に來てしまっただけで俺は行く気もなかったし、俺はもう誰とも関わり合いたくない。
俺はそっと扉に背を向ける。
 そのまま歩き出そうとしたその時、
「なんで來たくせに帰ろうとしてるのよ!」
 ここ1週間で聴き慣れてしまった胡桃萌の聲が後ろ
から響く。
「俺にはもう関わるなと言ったはずだ」
「匿名で出したら來てくれるって思ったんだよね~
鍋島何気に律儀だし」
「俺は1人になりたかったからここに來ただけだ。
呼び出されたのは関係ない」
「理由はどうであれ鍋島は今屋上にいる。
 私はそれだけで満足よ」
「姉貴から話は聞いたんだろ?なら話は早い。俺は
もう人と関わりを持ちたくない、それだけだ。
じゃあな」
今更胡桃と話したところで何にもならない。
俺は話を切り上げて去ろうとする。
「待って!私の話を聞いて?」
「だから話すことなんて....」
「ごめん!」
俺の話を遮るように彼は俺にそう言った。
「え?お前、今なんて?」
俺は思わず聞き返してしまった。
「鍋島に馴染に裏切られた過去があったなんて知らなかった。そうじゃなくても遊び覚で私酷いこと
してたのに、噓告白なんて馬鹿げたことしてごめん
なさい!」
「いや、別に俺じゃなくても噓告白とかするのはおかしいと思うぞ?」
胡桃の言いに思わず突っ込んでしまう俺。
「だから、またさらに傷口をえぐっちゃうようなことしたからって謝ってるの。わかってる?」
「なんで謝ってるお前が偉そうなんだよ。
いいよ別に、もう人を好きになる気もなかったから。それにあの告白自がどうでもよかったしな。」
「やっぱり....鍋島本當で私の告白気にしてなかった
んだ....」
「あぁ、だからお前が気にすることないし、謝る必要もない。だからもういい、じゃあな」
今度こそはと屋上を立ち去ろうとする俺。
しかし、
「だから最後まで人の話聞いてよ!」
と呼び戻されてしまった。
「今までね、噓告白とか見て笑ってる立場であまり
悪いことって意識したことなかったの。
でもこうして鍋島に噓告白して、これが人を傷つけることって気づいて、返事がどうとかじゃなくてすごく罪悪があるの」
「だから別に俺は....」
「私、鍋島に惚れてもらえるよう頑張る!」
....は?
胡桃さっきから俺の話を聞いていないのだろうか?
話が全然前に進んでない....
「私は鍋島にまた人と関われるようになってほしい。だから私に惚れてもらうの!」
「なんで人と関われることとお前に俺が惚れることが関係あるんだ?」
「だーかーらー!人と関われるようになるためにまずは1人から始めてみようってことだよ!」
「お前馬鹿なのか?なんでそれで俺が胡桃に惚れな
きゃいけないんだよ」
「鍋島が私の告白を斷ったからよ!噓告白だろうが振り逃げなんて許さないわ!」
「やっぱりそこじゃねーか!どうしてもお前は振られたのが気にらないんだろ?お前の都合で人の過去に首突っ込んでくるんじゃねーよ!」
俺は間髪れずにさらにこう続けた。
「それにな、人と関われたとしてもいつか裏切られる日が來るのが怖いんだよ。俺はなんの面白みもない
人間だ。そんなやつみんなすぐ見切って捨てるさ、
だから俺は....」
俺の言葉を遮るように俺の視界が一瞬真っ白になる。
 
そして再び視界が付きだした時、胡桃は俺を抱き
しめるようにして立っていた。
「勘違いしないでよ。これは好きな気持ちのぎゅー
じゃないから。めのぎゅーよ!」
なんだめのぎゅーって....
 
好きでもないやつにこんなことできちゃうからお前はビッチなんだよ....
「余計なお世話だよ、離れてくれ。それにここを人にでも見られたら大変だ。もうお前のその気持ちだけで十分だ」
「じゃあ私はこれまで通り惚れてもらえるように頑張っていいってことね!」
「なんでそうなるんだ....それにお前、俺と噂が立ってグループかられなくなったらどうすんだよ」
「んー、まあ一気に落ちぶれるよねぇ。でも鍋島が
見捨てない限り1人にはならないよ?」
「それにね、鍋島が人を信じれないのはよーくわかったから。なら、私があなたを信じる。だからこれまで通り惚れさせれるよう頑張ってもいいかな?」
「お前に俺の過去がどうとか関係ないだろ?どうしてそこまでお前は....」
「私の告白を振った罪は大きいってことよ。
わかったならそれでよし。私はお腹空いちゃったから教室戻るからねー」
最後に言いたいことだけ言って去って行きやがった。人の話を聞かないのは胡桃、お前だよ。
でも、
「私があなたを信じる」か....
 面と向かってそんなことを言われたのは初めてだった。
 
「なあ沙霧、お前は俺のことを信じてくれていたか?」
ふとそんな言葉が口から顔を出す。
俺は裏切られた、その一心が強くなっていたがあいつは俺のことを信じてくれていたのか?もし気づかないうちに俺が裏切ってしまっていたら....でも、今となっては聞くこともできないよな....
俺が人と心から関われる日が來るのだろうか?
15年間一緒だった馴染に裏切られ、今の俺にもう
失うものはない。
 
 最後に胡桃の言葉を信じてみてもいいのかも
しれないな。
先ほどまでとうって変わったように青空が広がる空が俺に
エールを送ってるようだった。
もしも変わってしまうなら
第二の詩集です。
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