《人間嫌いな俺とビッチな姉と弟と病院

次に俺が目を覚ました時、場所は屋上ではなく、天井の白い......ここはどこだ?

「あ、鍋島さん目が覚めたんですね!」

「沙霧は!っていてぇ......」

「ダメですよ安靜にしてなきゃ!ま、傷はそんなに酷くはないですし、どちらかというと神的なショックが大きかったみたいですね」

あの後、一どうなったんだ?

「先程までは胡桃さんと神野さんとおっしゃられる方がいたのですが、流石に夜遅くなるということで帰られました」

「そう....ですか。々とありがとうございます」

「また何かありましたらそちらのボタンでお呼び出しください。では失禮します」

そう告げ、看護師さんは病室を後にした。

「睦月、目覚ましたんだ。よかった......」

看護師さんとれ替わるようにして姉貴、有棲が病室へとってくる。

「あぁ、傷も深くないみたいだし、し安靜にしてれば大丈夫みたいだ」

「本當に良かった......さっきまでは萌ちゃんと神野さん?って子も居たんだけどね。2人が言うに2人が駆けつけた時にはハサミがお腹に刺さってる鍋島を見て、沙霧が笑ってて、2人が救急車を呼んでくれたみたいね」

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なにがあったの?と続ける姉貴。

「俺たち、姉貴も知っての通り仲良かったろ?昔から沙霧の背中を追いかけてた俺はあいつとある約束をしたんだ」

“ずっと一緒にいよう”

「元々、馴染っていう距離がずっと一緒にいれるもんだと思ったし、特別そのことを意識したことはなかった」

「だけど、付き合うようになって好き嫌いが絡んでくるようになった時、流石に俺も意識したよ。それであの日の沙霧の発言だ。小さい頃に約束したことなんだ。もうお互い覚えてることはないだろう。そう思ってた」

「だけど沙霧は違ってたわね。彼は心を支配したいとか訳わかんないこと言ってたけど要は睦月を誰にも取られたくなかったのよ」

「それで?なんで睦月が刺されることになったの?」

「俺はなからずあの日、沙霧に幻滅したし、それが発端で人と関わりを持つのが怖くなった。今更一緒にいようって約束があるなんて言われても一緒に居たいと思うわけがない」

「だけどそれすらも一緒にいるための手段の一つだったって沙霧は言ったのよね?」

「あぁ、だから俺はお前と一緒にいたくもないし、お前がいう2人の未來なんてものは存在しないと言った。それを聞いた沙霧が自分の手首を切って死ぬって」

「それで止めにったところを?」

「睦月なら來てくれると思ったって言われた後、一刺しだ」

「やっぱり私は沙霧、あの子を許すことはできないわね」

「あの時、この前會った時に止めてさえいれば......」

「姉貴、沙霧に會ってたのか?」

「ええ、睦月が2日ほど學校行かなかった時に萌ちゃんからメールが來たのよ。彼が何を思ってこっちに來たのか分かんなかったから彼と會ったの。その時に力ずくでも止めてさえいれば......ごめんね睦月」

「姉貴が謝ることじゃねえよ。これは俺と沙霧の中の問題だったんだ」

「私は沙霧の素直になれない心だと思った。私があそこで余計なことを言ったから......」

「姉貴、あんまり自分を責めんなって。まさか沙霧が人を刺すなんて誰一人として思ってなかった。これは不慮の事故だ」

沙霧は今、一何をしてるんだ?

「不慮の事故?あの子はわざと睦月を刺したのよ?あの子は!あの子は睦月を殺そうと!」

「姉貴!頼むから落ち著いてくれ......沙霧は、沙霧は今どうしてる?」

「ハサミが刺さってる時點で々と學校側も疑ってるけど睦月が目を覚ますまでは何も分からないって今日は自宅に帰ったらしいわ」

「あの場にいたのは俺1人だったからな」

「睦月、もしかしてあなた沙霧を守ろうとしてるの?」

守る?いや違う。俺は......

「あいつがあーなっちまったのはきっと俺のせいなんだ。ずっと俺が沙霧に甘えて、それをあいつも良しとしてた。だから今回のことはそれに対して俺が報いればいい」

俺たちはきっと気づかないうちにお互いに依存をしていたのだろう。

いつも引っ張ってくれる沙霧に俺は依存し、沙霧はいつも自分を肯定してくれてついて來てくれる俺に。

「綺麗事かもしれねえけど結局今回のことは2人の思いが生んだ事だ。まさか刺されると思ってはなかったが、俺が刺さりにいったとなればあいつが何か言われる事ないと思う」

「睦月、あなた本當でそれでいいの?」

「あぁ、全部考えて決めた事だ。彼は最後俺を殺しにかかった。もう沙霧自もきっと俺を見限ったからだと思うしな。この傷でチャラならそれが1番だ」

「そう......睦月がそう決めたのなら私は何も言わないわ。これで本當で終わるのかしら?だけどまた沙霧が何かするようであれば私は......」

姉貴は何かをいようとしたがその言葉を抑え、俺に笑顔で、

「じゃ、私は家に帰るから!あっ、それとも泊まってしい?久しぶりに添い寢でも」

「いいからもう帰れって」

「釣れないなぁ。ま、あの2人にもお禮をちゃんと言っときなさいね。また明日來るから!」

姉貴にお休みと一言告げ俺も目を閉じる。

あの時、意識が薄れていく中で沙霧は胡桃萌は遊び人で、快に溺れた本當のビッチだと言っていた気がする。

俺はその言葉を額面通りけ取った。薄れゆく意識の中でその言葉が噓か本當かの區別ができず、俺は結局1人なのだと絶した。

だが、心配して屋上に來てくれて、そして病院にまで付いて來てくれてまでしているのならそれは胡桃にも、そして神野にも失禮だ。

 

沙霧はただ俺に追い打ちをかけたかっただけなのかもしれない。

 

だが、沙霧の言っていたことが100%本當だとしたら?

俺はこれまで通り、胡桃と一緒に居ることができるのだろうか?

胡桃は悪いやつじゃない。むしろ俺にとっては再び人を信じたいと思えるようになったきっかけだ。

もし、それが事実なら胡桃は俺のことを信頼してくれてはいなかったのだろうか?

 確かにお互いの過去を言うような2人ではなかった。だけど、彼は結局俺自を信じてくれていなかったのか?

自分の行き場のない気持ちが押し寄せ何が何だか分からなくなっている。

......やめよう。事実かどうかも分からない中、考えるのは本當じゃなかった時に失禮だ。

俺は噓だということを信じ、そのまま眠りについた。

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