《人間嫌いな俺とビッチなビッチの私

……

病院のベッドに橫たわる鍋島。

先生の話ではキズはそんなに重傷ではなく、どちらかというと神的なものがトドメをさしたんじゃないかと言ってた。

重傷じゃなくて本當に良かった......

だけど.......

私はちゃんと自分の口から私の過去を話そうと思ってた。

狀況を判斷したら鍋島が言ったことを認められず東雲さんが逆上したのだと思う。

そしてハサミで鍋島を刺した後、彼は彼にそれを告げた。

 その時は鍋島の意識がなくなっていったこと、

東雲さんへの憎悪から気にすることはなかったけど、私の口からではなく彼の口から鍋島に知られてしまったことが今思えばかなりのショックだった。

私は鍋島を決して信頼していなかったわけじゃないのに......

鍋島のことを好きになる気持ちが強くなるにつれ、

否定されるのが怖かった。

だから好きだという気持ちを最初に意識した時、緒にして済むのならそうしたいと思った。

元々過去に干渉する2人ではなかったし、たとえ噂で彼の耳に屆いたとしても彼は私に尋ねることはなかったと思う。

だからこそ、東雲さんにあのタイミングで言われたのは私にとっては最悪だった。

ちゃんと告げようと決意した矢先、そしてその言葉を聞いた時の彼の表を見ると私は、東雲さんと同じく彼の気持ちを裏切ってしまったのかもしれない。いや、そうだよね......

元は噓告白をした私が、

“私があなたを信じる”

の言葉から私たちの関係は本格的に始まった。

鍋島からしたら私のことを信じるようになったのに、お前は最初から俺を信じてはくれていなかったって

なるよね。

容も容だし......

私はどんな顔で再び鍋島と顔を合わせればいいのだろう?

目が覚めた時に私がいないほうがいいのかな?

 

鍋島は私のことを今どう思ってるのだろう?

今まで好きだと思う人ができても、マイナスなが心に芽生えることはなかった。

人を好きになるって楽しいことばかりだと思ってた

けど、こんなにも苦しいことなんだね......

「有棲さん、私帰ります」

「萌ちゃん帰っちゃうの?」

「鍋島が目を覚ました時に私がいない方がいいと思うんです。また、明日にでも鍋島には會いに來ますから」

「そっか、ならまた近いうちに睦月に會いに來てあげて!萌ちゃん何か悩んでるようだけど、何かあったらいつでも相談乗るわよ?」

「また、お願いします!」

 

「胡桃さんが帰るのなら私も帰ります。鍋島くんにはよろしく言っておいてください」

「なら私もおいとましようかなー?」

「蒔田先生はちゃんといてくださいね?保健の先生なんだから!」

「はい......大人しくしておきます」

いつもは生徒をからかうことに命を捧げている蒔田

先生も有棲さんにはタジタジのようだ。

 「ねえ、胡桃さん?あなたの反応を見ると、東雲さんが鍋島くんに言ったことってやっぱり本當だったの?」

は無意識だ思うけど、今この質問はよしてしかった。

「今まで噂で回って來たりしなかった?」

「うーん、まあビッチらしいってのは聞いたことがあるし、むしろ私は雨宮さん達の方が格が悪いって

思ってたから」

「そう、東雲さんが言ったことが事実なら私を軽蔑

する?」

「そうだね。私はまだ誰かとしたことはないし、するのなら時期が來てからしたいって思ってる。

ま、きっとしっかりした気持ちがあっても好きって気持ちには勝てなくてしちゃうのかなっとも思うけど」

「ま、それにやったことのない私が胡桃さんに偉そうには言いたくはないしね。でも、いつかその日が來て、自分の気持ちに勝てたらその時は軽蔑しようかな!」

「何なのよそれ」

「だからね!敵に塩を送るわけじゃないけど鍋島くんにもちゃんと手遅れになる前に伝えた方がいいと思うよ?本気で好きなんだよね?」

「里知ってたの?」

「むしろあれで気づくなって言う方が無理な話だよ!」

「モタモタしてると私が鍋島くんを貰っちゃうよ!

なーんてね♪じゃあね......萌!」

1番苦手なタイプだと思ってた里が気付けば1番本音で話せられる相手になった。

思い悩むのもこれで最後だ。

思いっきり前を見よ!鍋島が好きだから!

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