《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》ツンデレさんなんですか?
結局、家店を周り適當に家などを見繕い、チェーン展開している外食レストランで食事を摂ったあと、新しい住居となる家に著いた頃には、午後23時を過ぎていた。
家では電気代節約ということで、21時頃には寢ていたので正直言って睡魔は限界に達していた。
さらに、久しぶりの外食という事もあり半年ぶりのおを食べた事で、私の満腹中樞神経は満足してしまったらしく、神社に到著する前に意識は途絶え途絶えに!
「宮さん」
何だか私の名前を呼ぶ聲が聞こえる。
でも、眠くて上の瞼と下の瞼が仲良しになってしまっていて、意識も朦朧としていて反応できない。
「高槻様、どうしましょうか?」
「まったく――。こいつは……。櫟原、購してきた布団があったな?」
「はい」
「それをコイツが寢泊まりする部屋まで運んでくれ」
「そうしますと――」
「コイツは俺が連れていく。一応は、この俺に嫁りするという事になっているからな。別の男が抱き上げていたら々と不味いだろう?」
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「分かりました」
――そんな會話がされていたのを私は寢ていたから気が付くことは無かった。
そして……。
――翌朝。
「ここは……」
私は、ぼーっとしたまま部屋の中を見渡す。
そして自分が布団の中にって寢ていることに気が付くと同時に、自分が寢ていた部屋が、アパートでは無い事にハッ! として思い至る。
「ここって……、神社の母屋だよね……」
一人呟きながら、自の嗜みを確認するけれど著ているのは學生服で、スカートなどに皺が出來てしまっている。
「ああっ……」
クリーニング……。
絶! うちにはアイロン掛けは、お母さんが使っていたのが壊れてから無かった。
大家の藤田さんから借りていたけど、借りられる距離じゃないし……。
「どうしよう……」
「起きたか」
両手で頭を抱えていると、二人の男が襖を開けてってくる。
「宮さん、起きられましたか?」
そう紳士的に語り掛けてきたのは櫟原さん。
「はい。何か、昨日はすいません」
「いえいえ。気になさらずに」
「それに用意してもらった布団や私のことも此処まで運んでくれたんですよね?」
「布団を運んで敷いたのは私ですが、宮さんを、この部屋まで運んだのは高槻様です」
「――え?」
「ふん。一応、お前は俺に嫁りするという裁をとっているんだ。別の男に抱えさせて運ばせるような真似を第三者が見ていたら困るだろう? だから、俺が運んだんだ」
……そう……なんだ……。
「ありがとうございます」
何と言うか、あれだよね?
高槻って人はツンデレ? ツンツン? そんなじがする。
言葉遣いや態度こそ野だけど、本當のところはそうでもないような?
「禮はいい。それよりもだ。まずは朝食の準備と境の掃き掃除をしておいてくれ」
「分かりました」
制服のまま、私は朝食をササッと作る。
幸い、臺所などの水回りはリフォームをした際に新調されたようで、ステンレス製のシステムキッチンに、大型の冷蔵庫にオーブン、電子レンジと言ったモノまで揃っている。
これなら大抵の料理は出來る。
「えっと……、冷蔵庫は…………えっ?」
何と! 冷蔵庫の中は空っぽ。
これで朝食を作れとか無理!
一、男陣は普段は何を食べているの? って思うくらい。
これでは何も作れない。
報告に向かう為に、臺所から彼が居るであろう居間にると、ちょうど眼鏡を掛けた彼がノートパソコンに向かいあって何かをしていた。
眼鏡をするだけで雰囲気がすごくやわらかくじたのは気のせいではないと思う。
ハッ! として気を取り直して――、
「――あ、あの高槻さん」
「総司と呼べ」
「――で、でも……」
男の人を下の名前で呼んだことの無い私にはハードルが高い。
「一応、外向けにはお前は俺のところに嫁りするという事になっているんだ。苗字で呼んでいたら不審に思われる。仕事だと割り切って呼べばいい」
「……分かりました」
それなら、それで仕方ない。
意識を切り替えて仕事として――、
「総司さん」
「なんだ?」
「冷蔵庫の中ですけど、何もっていません」
「……」
「……」
二人して無言でし見つめ合う。
「おい! 櫟原!」
「何でしょうか? お呼びでしょうか?」
「莉緒が冷蔵庫に何もっていないと言っているぞ?」
「冷蔵庫の中は、高槻様が店で買いをしてくるから任せろと言っておりましたので――」
「……そういえば、そんなことを言った気がするな」
「はい。思い出していただけて幸いです」
「……」
無言で私を見てくる高槻さ――じゃなくて総司さん。
「朝食は櫟原に何か買いに行かせる。食べられないモノとかはないか?」
「はい。何でも大丈夫です」
「そうか。櫟原」
「分かっています」
すぐに母屋から出ていく櫟原さん。
「お前は境の掃き掃除でもしておいてくれ。それと、その箱の中に仕事著がっているから、それを著て仕事をするようにな」
「分かりました」
箱を開けると、そこには綺麗に折りたたまされた巫裝がっている。
もちろん、白い草履もっていて――。
「著付け方は分かるか?」
「はい」
「そうか。なら早く仕事に取り掛かってくれ」
それだけ言うと、総司さんの視線はノートパソコンの畫面に向かってしまう。
その表は真剣そのもので――、
「失禮します」
私は居間から出ると自分の部屋に戻り、巫裝に著替えたあと母屋を出て境へと向かう。
そして境を見て思う。
境は、すごく綺麗で掃除する場所なんてどこにもないのにと。
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