《嫁ぎ先の旦那様に溺されています。》婚約者と大事な友達。

思わず、私から離れていく大和を追おうとしたところで、高槻さんに腕を摑まれると――、

「莉緒、どうするつもりだ?」

――と、彼は聞いてくる。

「誤解を解かないと――」

「解く必要はない」

冷たく高槻さんは言い放つ。

「――で、でも!」

「お前は、俺の何だ?」

「それは……」

「約束しただろう? それに、お前は俺には借りがあることを忘れたのか?」

「――ッ」

まったくが乗っていない聲

そして事実だけを告げてくる言葉に私は思わずを噛みしめる。

――それは痛いくらいに。

「まったく……、帰るぞ」

高槻さんは、短く必要があるから話したと言わんばかりに呟いたあと、私から手を離す。

もう、その頃には大和の姿は無くて――、諦めるしかなかった。

彼が電話で手配したのか、車はすぐに校門前に到著する。

そして、高槻さんに招かれるような形で車に乗ったあと、車は走り出す。

その際に、大勢の生徒も何かあったのか? と、言ったじで見ていたので明日中には今日の出來事は伝わると思う。

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正直、頭が痛い。

それに何より――、理由は分からないけど……、大和に婚約者や許嫁が誤解だということを伝えられないことが辛かった。

私が乗る車は、今日は神社の方角ではなく反対方向へと走り出すけど……、理由を聞いても何も答えてはくれないのだと思い口を噤む。

「高槻様、宮さんはどうかしたのですか?」

「そうだな……」

ぶっきらぼうに、櫟原さんに返答する高槻さん。

そんな彼は、ルームミラー越しに私の方を心配そうな目で見てきた気がするけど、気持ち的に落ち込んでいた私は、深く考えることはしなかった。

しばらく車は走り都心部に到著。

何時も暮らしている場所とはまったく異なった都心。

車を降りたあとは――、

「櫟原、何かあれば電話をする」

「わかりました」

そんな二人の會話を聞きながら、どうして山形駅前にきたのかと疑問に思ってしまう。

「今日は、お前の服などを購する」

「服ですか?」

唐突な言葉に私は疑問を浮かべてしまうと同時に――、

「私、お金なんて300円くらいしか持ってないですよ?」

「はぁ……、金なら俺が出す。一応、お前は俺のところに嫁いできたという事になっているからな。嫁いできたということは妻ということだ。妻が、みすぼらしい恰好をしていたら夫の沽券に関わる」

「…………それも、私の借金ですか?」

「そうだが、何か文句でもあるのか?」

「――いえ、何でもないです……。ただ、安い服にしてもらえたら……」

「高槻様」

「分かっている!」

「莉緒、さっきは……。いや――なんでもない」

「高槻様……」

「――ッ」

「とにかくだ! 今日の服は、俺のおごりだ」

それだけ言うと、彼は先に駅の方へと向かって歩き出してしまう。

どうして、いきなり方針転換が為されたのか分からないけど……。

「宮さん。何があったのかは分かりませんが、高槻様のことをよろしくお願いします」

丁寧な口調で頭を下げてくる櫟原さん。

「分かりました。仕事ですものね?」

「……はい。よろしくお願いします」

――そう、仕事だから仕方ない。

俺様な高槻さんの言う事を聞くもの借金があるからだし、仕事だから。

なら我慢するしかない。

すぐに前を歩いていた彼を追いかける。

「あの、どこに行くんですか?」

「服を買いにいくと言っただろう?」

私は、何処にいくの? と、聞いたのに服を購しにいくと答えてくるあたり、私には細かい説明は不要と思っているが伝わってくる。

仕事なのだから付いていくけど。

到著したのは都心の駅ビルで、ファッションやコスメなどブランド店もっているビルで、季節を意識した服も置いてあるので高校の同級生(子)達にも人気がある。

――ただし、金額は高く高校生のお小遣いでは買うのは大変。

そんな駅ビルの中に、彼はっていくので仕方なく私も同行する。

そして――、ブランド店に何の気負いもなくっていく高槻さんに私は思わず唾をゴクリと飲み干す。

「……さ、……三萬円……」

高槻さんが試著してみろと持ってきた春を意識したワンピース。

それを手渡されて試著室にったのはいいけど、価格を見て目を見開く。

高すぎて、高すぎて! こんなの試著でも著られない!

「――あ、あの……」

「どうした? 著替えは終わったのか?」

「いえ、これはちょっと高すぎるかなって……」

高すぎるどころか、宮家の3ヵ月分の食費に相當しますけどね! と、言う突っ込みは、心の中だけに留めておく。

「たいして高くはないだろう? 本來なら、もっと上のを――」

「分かりました! すぐに著替えます!」

これ以上、高いモノを持ってこられたら困る。

ただ――、慌てていたこともあって、バランスを崩してしまい転倒――と、いうか転倒しかけたところで誰かにを支えてもらって何とか転倒を避けることが出來た。

「まったく……お前は……」

「ごめんなさ……きゃあああああ」

パンッ! と、言う心地よい音が、そのあと店に響き渡った。

一応、洋服を何著か購してもらったけど……、そのあとは下著を購する事に――。

斷ることはできなかった。

何故なら――。

「お前な……。転ぶところを助けた恩人に平手打ちをしてくるとは、どういう了見だ?」

「ごめんなさい……。でも、それは……」

試著を急がせる高槻さんが悪いのでは? と思っても――。

「何か言い訳でもあるのか? ――なら聞かせてもらおうか?」

――と、いう言葉に綺麗に封殺されてしまった。

ちなみに下著は、何年も使っていたモノを見咎められた結果、新しいのを購することになった。

それから、3時間が経過。

多くの手荷を両手に抱えた高槻さんの後ろ姿を見ながら、あとを付いていく。

「高槻さん」

「何だ?」

「あの、重くないんですか?」

「ふむ……。そうでもないな」

本當に重さをじさせない様子にしだけ、やっぱり男の人だよねと心してしまうと共に、大和の事が思い出されて気持ちが落ち込む。

「どうかしたのか?」

「何でもないです」

いまは仕事。

余計なことを考えないように集中しないと。

「…………そうか。し待っていろ」

高槻さんは、そう言うとスマートフォンを取り出す。

話し相手は、どうやら櫟原さんのようで。

「車を手配した。ついてこい」

「はい」

私は大人しくついていく。

到著した場所は、駅ビルの目の前。

そこに車は停まっていた。

「高槻様、東京都心ではありませんがすぐに車に」

「分かっている」

を車のトランクに高槻さんが載せる。

そして、私と高槻さんが車に乗ると、車はすぐに走り出す。

「宮さん、しは気分転換になりましたか?」

車の運転をしている櫟原さんが話しかけてくるけど、気分転換になるどころか高すぎる価格のブランド品をたくさん購したので、私は神疲れしていた。

これなら、家に帰ったらすぐに眠れそう。

それから程なくして高槻神社に到著した。

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